NZ独自の野球文化、Kiwi Baseballの実現に向けて

Kiwi Baseballの実現に向けてSPORTS

野球の伝道師 清水直行がオークランド日本語補習学校にやってきた!

「清水さん、こっちにもサインください!」元気いっぱいの子供たちに、笑顔で応える野球の伝道師。オークランド日本語補習学校で開催された野球交流会での一場面。

日本の千葉ロッテマリーンズを引退後、2017年までニュージーランド野球連盟のゼネラルマネジャー補佐や、野球ニュージーランド代表の統括コーチを歴任された清水直行氏。『野球の未来をつくる』という志のもと、日本野球を世界に広げ、ニュージーランドの野球振興に尽力されています。

今回の野球交流会には、成瀬善久投手と吉村裕基選手も参加し、まだボールを握ったことがない子供たちが実際に触れて、投げる、といった野球のおもしろさをたくさん伝えてくれました。

プロのレベルを間近で体感

交流会の中で、子供たちをくぎ付けにしたもの、それは成瀬投手の投球。吉村選手が構えたグローブに目がけて、寸分の狂いもなくボールを投げ込む。ボールが吉村選手に届くたび、パンッと音が響き、そのたびに「すごい!」と子供たちの歓声が沸き起こり、吉村選手のバッティングスイング披露では、空気を切るような重いバットスイング音に、子供たちだけでなく大人も感動する場面も。

交流会の最後には、野球のおもしろさや上達できるコツなど、Q&Aの時間が設けられ、その中でも印象的だったのは、成瀬投手への質問。「野球をしていて良かったことはなんですか」という率直な疑問に対し、「野球はチームスポーツだから、この前まで敵チームにいてホームランを打たれた選手が、同じチームメートとしてリーグ優勝を目指していくことも。だから野球をしていると色んな選手に出会えて、そのたびに色んな思い出ができる。これが野球のおもしろさだったり、良かったことかな」と、エピソードを語ってくれました。

ニュージーランドではクールでかっこいいスポーツとして浸透している野球。今回の交流会でも、実際のプロ野球選手とふれあい、子供たちにとっても、ただ楽しいだけでなく、たくさんの発見もあり、思い出に残ったのではないでしょうか。

ニュージーランド独自の野球文化を

交流会のあと、清水氏からニュージーランドの野球キッズにメッセージをいただきました。

「野球から学ぶことは多くて、例えば、挨拶に代表される礼儀やマナー。それとチームワーク。日本の少年野球のように、仲間と励まし合いながら、練習して試合に臨んでいく。チームプレイを大事にする日本の野球文化を、今後もニュージーランドに送って、Kiwi Baseballを盛り上げていきたい」と熱意を打ち明けてくれました。

ニュージーランド野球の普及についても「もちろんニュージーランドらしい部分も取り入れていきたい。例えば、ボディコンタクトの強さ。冬はラグビー、夏はクリケットのように、スポーツが盛んなこの国だからこそ、一つの球技ではなく、デュアルスポーツという一面で野球を広めてみるのもあり。日本はオフシーズンでも、南半球ではベストシーズンでもあるため、日本野球との連携や交流も充実させていくつもり」と、今後のプランだけでなく、「日本で野球教室を開くときと同じで、『正しいボールの握り方』だったり、手が小さい子供たちの成長や年齢に合わせて、ボールのサイズも考えていきたい。
怪我の防止にもつながり、楽しく触れて慣れて、色んなことを学んでもらって、それで若い選手が育っていくニュージーランドの野球文化を築いていきたい」と、野球振興の環境づくりに対する工夫も語ってくれました。

様々な有志の巡り合いの中、ニュージーランドでの野球教室も実現し、U-15の若い代表チームの野球ワールドカップ出場も果たすまでに。清水氏はさらなる野球振興と発展のため2020年から、沖縄を本拠地にしたプロ野球チーム、琉球ブルーオーシャンズの初代監督に就任。
もしかしたら、近い将来、琉球ブルーオーシャンズ、千葉ロッテマリーンズ、ニュージーランドのプロ野球チームのオークランド・トゥアタラ、さらには太平洋・アジア地域のチーム間で交流試合、、、なんてこともいつか実現するかもしれませんね。今後のニュージーランド野球が楽しみです。

清水直行
清水直行さん

元千葉ロッテマリーンズ投手。
9年連続の規定投球回、2桁勝利の継続など、球団エースとして活躍。
日本代表として第1回ワールド・ベースボール・クラシック優勝にも貢献。
現役引退後、ニュージランド野球連盟GM補佐、代表の統括コーチを歴任。
2019年は千葉ロッテマリーンズ投手コーチを務め、2020年より琉球ブルーオーシャンズ監督。