スペシフィック・インジャリー保険(Specific Injury Cover)とは何か。
ニュージーランドに暮らす日本人向けに、わかりやすく解説します。
ニュージーランドのACC(事故補償公社)には、ケガで働けなくなった場合に収入の最大80%を週次補償として支払う制度があります。日本にはない手厚い仕組みですが、対象となるのは「通常業務ができない」と医師が証明した場合のみ。たとえば足首を骨折しても、在宅でデスクワークが続けられると判断されれば対象外になる可能性があります。給付開始は原則ケガから8日目以降で、補填は収入の上限80%まで、残り20%は自己負担となります。
スペシフィック・インジャリー保険(Specific Injury Cover)は、このACCの隙間を補う「上乗せ」保険です。特定のケガを負った際に、ケガの証明と審査は必要ですが、就業不能の証明がなくても一時金が支払われ、ACCの週次補償と同時受給できます(減額なし)。
対象ケガと給付倍率
ケガの重さによってカテゴリが分かれ、重症ほど倍率が高くなります。給付額は「月額保険金額 × 倍率」の一時金として、クレーム受理後すぐに支払われます。骨折などの比較的軽いケガから麻痺・切断といった重大なケガまで幅広くカバーされており、ケガの種類によって適用される倍率が決まります。なお、同一事故で複数のケガを負った場合は、最も高い倍率のカテゴリが適用されます。
| 対象となるケガの例 | 給付倍率 |
|---|---|
| 顎・頭蓋骨・鎖骨・手首・前腕などの骨折 | ×1〜2倍 |
| 足首・膝蓋骨・脊椎などの骨折、膝・肩の手術(全身麻酔) | ×2〜3倍 |
| 大腿骨・骨盤・股関節の骨折、複数の四肢骨折 | ×3倍 |
| 親指・人差し指の切断、重度熱傷(体表20%以上) | ×6倍 |
| 手・足の切断、片眼の永久的失明、聴力の完全喪失 | ×12倍 |
| 複数四肢の切断・機能喪失、両眼失明、麻痺 | ×18〜60倍 |
Sum Insured(月額保険金額)の考え方
保険金額は月額$500〜$5,000の範囲で自分で設定します。給付額は「月額 × 倍率」の一時金です。設定の目安は、ACCで補えない収入の20%分や育児・家事サポート・通院費など1〜2か月分のコスト。月額が高いほど保険料も上がるため、アドバイザーと相談しながら家計に合った金額を決めましょう。
【具体例|膝蓋骨(膝のお皿)骨折の場合】
月額 $2,500 に設定 → 倍率2倍が適用 → 審査の上、$5,000を受け取り ACCの週次補償(収入の80%)と同時受給可。使い道は自由。
カバーされないケガもあります
指(親指・人差し指以外)の骨折、アキレス腱断裂など手術を伴わない腱・靭帯のケガ、ろっ骨1〜2本の骨折、つま先・足指のみの骨折、自傷行為・犯罪行為に起因するケガは対象外です。
すべてのケガに備えたい場合は、収入保障保険(Income Protection)との組み合わせが一般的です。なお、この保険は単独では加入できず、ライフカバーや収入保障などのメイン保険への追加となります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の保険商品の推奨や財務アドバイスではありません。各保険商品の詳細な条件・除外事項・保険料については、必ず各保険会社のポリシー文書をご確認ください。また、個人の状況に合ったアドバイスについては、ニュージーランドで登録済みのファイナンシャルアドバイザーにご相談ください。

新田 直人
15年以上の経験がある、政府登録ファイナンシャルアドバイザー(FSP55882)として個人保険(生命、健康保険)のアドバイスを提供します。日本語でお気軽にご相談ください。
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