ニュージーランドで暮らす皆様、こんにちは。今、世界情勢は大きな転換点を迎えています。
3月に入り、アメリカによるイランへの軍事行動が報じられ、金融市場は激しく揺れ動いています。原油価格の高騰、急激な為替変動、そして不安定な株価。これまでコツコツと投資を続けてきた投資家ほど、「このまま持ち続けて大丈夫か」「一度売るべきか」と不安を感じているのではないでしょうか。
1. 投資の「目的」と「時間軸」を思い出す
まず、私たちがなぜ投資を始めたのかを思い出しましょう。以前の記事でお伝えした「長期投資」や「72の法則」※は、数ヶ月の混乱で資産を倍にする魔法ではなく、10年、20年という長い年月をかけて資産を育てる知恵です。
歴史を振り返れば、過去の地政学リスク(テロや紛争)の際も、市場は一時的に大きく下落しましたが、数年単位で見れば回復し、成長を続けてきました。今、感情に任せて売却してしまうことは、将来の回復による利益を放棄することに繋がります。
2.「ドルコスト平均法」※が真価を発揮する時
以前解説した「ドルコスト平均法」は、まさに今のような局面で真価を発揮します。株価が下がっているということは、同じ金額でより多くの「量(口数)」を購入できる「バーゲンセール」の状態です。
「暴落が怖いから積立を止める」のは、実は一番もったいない選択です。安くなった時に買い続けることで、将来市場が回復した際の反発力を最大化できます。機械的に、淡々と続ける。これが有事における最強の防御策です。
3.「逃げ場」としての資産配分(アセットアロケーション)
今回の危機で、原油が急騰しています。特定の国や企業の株だけに資産を集中させていると、こうした有事の影響をダイレクトに受けてしまいます。
ニュージーランド在住の私たちは、NZドル建ての資産だけでなく、グローバルな分散投資を意識することが重要です。もし今、自分のポートフォリオが特定のセクターに偏りすぎて不安を感じるなら、それは「リスクを取りすぎていた」というサインかもしれません。次に市場が落ち着いたタイミングで、より広い分散(インデックスファンドなど)を検討する材料にしましょう。
4. ニュージーランド生活への影響と対策
地政学リスクは投資だけでなく、私たちの生活(インフレ)にも直結します。ガソリン代や輸送費の上昇は、ニュージーランドでの生活コストを押し上げます。投資口座の数字に一喜一憂するよりも、まずは生活防衛資金が確保されているかを確認し、家計の「守り」を固めることも、立派な投資戦略の一部です。
パニックにならない勇気
投資の格言に「強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」という言葉があります。今はまさに「悲観」の時期かもしれませんが、嵐は必ず過ぎ去ります。
パニックにならず、日常を大切にしながら静観すること。それが、皆様にお伝えしたい最も重要な投資スキルです。
※「72の法則」72÷年利=資産が倍になる年数。金利差は成長に大きく影響する。(2024冬号掲載)
※ドルコスト平均法【コツコツ投資】
一定額を継続投資し、平均購入価格を抑える手法。長期投資向き。(2024春号掲載)


池口健一郎
Bancorpグループは、ニュージーランドのオークランドを拠点とした1986年創業の投資銀行グループです。コーポレートファイナンス、トレジャリー、アセットマネジメントやプライベートバンキングなど国内外の企業や投資家のニーズに寄り添った最適なファイナンシャルサービスを展開しております。お客様との長期的な関係を構築できるよう誠実で実践的なアドバイスを提供いたします。
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