2024年も、残すところあと2ヵ月となりました。2024年を振り返るといろんな出来事がありました。能登半島地震、日航機衝突事故、トランプ氏暗殺未遂事件、中東紛争の激化や岸田首相不出馬表明など想定外の出来事が多くあったように思います。この春号が発行される数日後にはアメリカの大統領も決まっていることでしょう。このように世界情勢の緊張が高まると株価や為替が大きく変動します。投資家にとって、リスクを減らしながら資産を増やすための基本的な戦略として「分散投資」と「ドルコスト平均法」があります。これらはシンプルでありながら、長期的に成功するための重要な手法です。
分散投資【卵はひとつのかごに盛るな】
分散投資とは、一つの投資先に全てのお金を投入せず、複数の異なる資産や地域、業界に投資することを意味します。これにより、一つの投資の運用パフォーマンスが悪化しても、他の投資で補うことができるため、全体としてのリスクが軽減されます。たとえば、株式、債券、不動産、金など、異なる特性を持つ資産に投資することで、リスクとリターンのバランスを取ることができます。株式市場が不安定な時期でも、債券や金の価格が上昇することでポートフォリオ全体が守られる場合があります。
ドルコスト平均法【コツコツ投資】
ドルコスト平均法は、定期的に一定額を投資する手法です。価格が高い時には少なく、価格が低い時には多く購入することになるため、平均購入価格を抑えることができます。たとえば、毎月1万円ずつ投資信託を購入する場合、価格が上がっているときは少ししか買えませんが、価格が下がっているときは多く買えます。これにより、短期的な市場の変動に左右されず、長期的に見て有利な購入価格を実現できます。
こちらが一括投資とドルコスト平均法(DCA)の比較チャートです。

緑線は、一括投資の場合で、最初に100,000ドルを一度に投資した後、資産価格が変動することで投資の価値が推移します。
青線は、ドルコスト平均法の場合で、毎月10,000ドルを価格に応じて資産購入に充てた結果の価値推移を示しています。
この例では、ドルコスト平均法により、資産価格が下がった月に多くの資産を購入できたことで、特に価格が上昇する後半で投資価値が大きく増加している様子が確認できます。一括投資は初期の購入タイミングに依存しているため、価格変動によってパフォーマンスが異なります。
なぜこれらが重要なのか?
投資は未来を予測するのが難しく、特に初心者にとっては市場の上下動に翻弄されやすいものです。分散投資をすることで、どんな状況でも安定したリターンを期待できる可能性が高まります。また、ドルコスト平均法を使えば、一度に大きな金額を投資するリスクを避けつつ、コツコツと資産を積み上げていくことができます。
まとめ
投資初心者が成功するためには、リスク管理が重要です。分散投資とドルコスト平均法は、シンプルで効果的な戦略として、長期的に資産を増やすことに役立ちます。これらの手法を組み合わせることで、市場の変動に動揺せず、冷静に投資を続けることが可能になります。ニュージーランドは政治経済も安定しながら預金金利は比較的、高金利となっています。資産が円に偏っている場合は分散投資の一つとしてNZドル建てでの投資ポートフォリオを組むことで投資効率を上げ結果的には資産を増やす可能性を高めることができます。


池口健一郎
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