Good Kiwi Tucker! vol.199 あなたはナニ活派!?おしゃれなお茶の時間の今

Good Kiwi Tucker! GOURMET

2022年11月号掲載

春になると、お庭がきれいなカフェでアフタヌーン・ティーに興じるのがけっこう前から好きだった。この国ではハイ・ティー(ハイ・ティーは本来は夕食に近いと呼ばれることが多いけれど、 段のケーキ・スタンドに、上から順にプチ・ケーキ、スコーン、サンドイッチと、一口大の楽しい食べ物がのっていて、それをお紅茶と一緒にいただきまーす!そうそう、これは下の段から始めるのが決まり。まずお食事のサンドイッチ、そしてだんだんと甘いものに…。フフフ、少しずつだけど、いろんなものを優雅につまんで、気分はなんだか英国の貴婦人。イギリス文化を継承したニュージーランドでも、こういう楽しみがあるってステキ。そういえば、最近は日本でも ヌン活 なんて言って、アフタヌーン・ティーが流行っているらしい。たしかに、ちょっと気取ってホテルのティールームで過ごす午後って、スペシャル感がいいもんね。人気が出るのもうなずける。

しかし…残念だけど最近のクライストチャーチでは、アフタヌーン・ティーを出してくれるお店が少ないのだ。そしてどうにか見つけたとしても、少人数ではだめとか、予約必須とかでハードルが高い!あら…サンドイッチでしょ、スコーンでしょ、それからちっちゃいケーキだけど…そんなに急だと用意できないもんなのかしら、がっかり。どうやら、ちゃんとしたアフタヌーン・ティーというのは、真っ白いクロスをかけたテーブルに糊のきいたナプキン…みたいに、しつらえの方にも凝らなきゃいけないらしく、ふだんのテーブルで予約もしないで出してと言えるものではないらしい。そ…そうなのか。たんにおしゃれな食べ物をいろいろのせてそれでどうぞ、じゃなかったのね。

イラスト リカ

それなら、わたしはデボンシャー・ティーでいいでーす。デボンシャー・ティーだったら、クリームとジャムをたっぷりのせたスコーンと、お紅茶だけあれば完成だから。貴族の習慣である豪華なアフタヌーン・ティーを、庶民だって楽しみたい!という考えから生み出されたのがこれなんだそうで、スコーンならだいたいどこのカフェにもあるし…わたしは庶民で全然しあわせだ!ところが、いざここらへんのカフェに出かけてみると、スコーンはあってもクリームやジャムはのせてくれない。せいぜい横についてくるのは、給食にでも出てきそうな四角いバターだけ…。つまり、お手軽そうに見えたデボンシャー・ティーですら、やってくれてるところはまれなのだった!それこそ、クリームもジャムもカフェならありそうなんだけど…できない?

やっぱり、ちょっと特別じゃないとヌン活にはならないのかな〜。それに、最近は お庭のきれいな という条件も揃いにくい。ホテルのティー・ルームも、街中だと外は車の通りだったり、地下だったりで景観はいまいち…。いいお庭のある郊外のおしゃれカフェ+手の込んだおやつ+正統派の食器とリネン類の数々=アフタヌーン・ティーなのだとしたら、コロナ後で地価やら食費やらが上がりまくってるこの国では、もう気楽に味わえないものなんだろうか?わたしだって、優雅にヌン活したいのに〜。自分でスコーンを焼き、クリームを泡立ててジャムをのせてみても、窓から見えるのがうちの庭じゃどうにもサマにならず…庶民のデボ活(シャー活か?すら、どこか手の届かないものに感じる、今年の春なのだった…。

*Tuckerとはキーウィ独特の言葉で、「食べ物」というよりは「お腹に詰め込むもの」という意味

マツザキ リカ

ニュージーランド在住26年。クライストチャーチを拠点に暮らし、心も体も豊かにするキーウィフードの探求に余念がない。おいしいものも不思議なものも、いただきます!

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