ニュージーランドニュース「物価上昇率7.2%」ほか

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2022年11月号掲載

農業の排出規制を提案

アーダーン首相は先月、ショー気候変動大臣、オコナー農業大臣、危機管理大臣らと共に、農業分野から排出される温室効果ガスを削減するため、新たな賦課金制度を2025年から導入することを提案した。この提案は、農場レベルの排出ガス分離式付加金や合成窒素肥料の排出量に課金する2つのオプションの導入や、植生カテゴリーを排出量取引制度に統合することなどを骨子とする。このような農業分野の包括的な排出ガス削減スキームの提案は、世界で初めての試みとなる。ニュージーランドでは、国内で排出される温室効果ガスの約半分が農業に由来するとされており、その対策が課題となっている。一方、農業団体はこの動きに強く反対している。

オークランドと水道改革

先月実施された統一地方選挙では、政府が進めている水道三事業改革の是非が争点の一つになった。ウェリントンではこの改革に反対していた現職が敗れ、賛成派の市長が誕生した。一方、オークランドではこの改革に反対する中道右派のウェイン・ブラウン氏が大差で当選し、すでに始まっている改革準備に待ったをかけた。ブラウン市長と会談したアーダーン首相は、水道三事業改革がすでに既定路線であり、もしこのスキームから外れた場合は、オークランド住民が支払う地方税(固定資産税)が7〜14%の負担増となる可能性を指摘した。水道三事業改革は、財政力に差がある67の水道事業体を4つの広域事業体に統合再編し、国庫負担を増額するものである。

物価上昇率7.2%

ニュージーランド統計局が先月発表した今年7〜9月の第2四半期の消費者物価指数(CPI)は、2.2%上昇した。上げ幅が大きいのは食料品の4.1%で、特に果物や野菜は17%も値上がりした。昨年同期と比べた年間インフレ率は7.2%に達した。前年比で軽油価格は72%、ガソリンは19%、建築コストは17%上昇した。人手不足のために賃金も上がっているが、その上昇率は3.4%で物価上昇率の半分に満たない。経済の専門家によれば、このインフレのピークは32年ぶりに7.3%の上昇率を記録した6月期にあり、今後は緩やかに落ち着くと予測されている。中央銀行はインフレーションを抑えるために政策金利を8回連続で引き上げており、現在は3.5%となっている。

派遣校長ついに着任

オークランド日本語補習学校(AJSS)とカンタベリー補習事業校(CJSS)に、日本の文科省から派遣された鈴木哲明校長と米井誠校長がそれぞれ着任する。以前から校長派遣を希望していたAJSSでは、2020年4月に初の派遣校長を迎えるはずだった。しかし、その直前に新型コロナウィルスの流行に伴う国境閉鎖が実施され、校長の入国は不可能となった。同校は3度にわたって移民局にビザ申請を試みたが、政府が定めたエッセンシャルワーカーの要件に該当しないとして却下された。CJSSも前校長が帰国した後1年半にわたり現校長はリモート対応を余儀なくされた。来年度の入学説明会については、オークランドが今月19日に、カンタベリーは12月初旬に実施される。

Text:Kazzy Matsuzaki