ニュージーランドニュース「自然災害の対策に教訓」ほか

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「西側の一員」外交明確に

ヒプキンス首相は先月、アンザックデーの前にブリスベンを訪問し、 アルバニーゼ豪首相と会談した。両国は安全保障に関して軍事的な協力関係を強化する「プラン・アンザック」を発表した。ヒプキンス首相は、豪州に居住する100万の同胞のために市民権取得の道筋を容易にすることを要望した。同首相は、7月にリトアニアで開催されるNATO首脳会議への招待を受諾しており、西側の一員として権威主義的国家の力による現状変更の試みに反対の立場を明確にした。それは「自由で開かれたインド太平洋」構想の一翼を担うことに繋がる。首相官邸は前首相が果たせなかった年内の訪中実現を模索しているが、中国との関係は経済に限定されたものになるだろう。

最年少市長に大きな試練

昨年10月の統一地方選挙でNZ史上最年少の市長が誕生した南島のゴアが、市長と議会の対立で揺れている。18年間市長だったヒックス氏にわずか8票差で勝利したベル市長は、公約通り人口1万3000人の市政に「変化」をもたらした。しかし、役所内の合意形成のコミュニケーションがうまくいかず、助役の助言は市長が無視し、市長の提案は議会が否決するという相互不信に陥っている。ベル市長は、12歳の時にGPS対応のリストバンドを発明して注目され、ウェリントンのユース・オブ・ザ・イヤーに選ばれたこともある才能の持ち主だが、その指導力が問われている。同市では現状を悲観した1市議が辞職し、その補充のための補選が実施される。

センサスの回答率に懸念

過去最大の費用をかけて実施されたセンサス(国勢調査)の回答率が、過去最低を記録した前回調査を上回るか統計局は気にしている。2006年の調査における回答率は全体で94%(マオリ93%、パシフィカ92%、アジア人91%)だった。次の2013年センサスでは、アジア人の回答率は91%で変わらなかったが、マオリとパシフィカは共に88%に下がった。2018年センサスは、オンライン回答を積極的に導入したにもかかわらず、マオリとパシフィカで回答率が共に77%に急落し(アジア人は90%)対策を迫られた。2013年には9000万ドルで済んだ調査コストは、今回は2億1000万ドルに膨らんだ。センサスの費用はより高く、回答率はより低くなる傾向にある。

自然災害の対策に教訓

今年1月と2月にオークランドはじめ北島各所は、集中豪雨やサイクロンによって甚大な被害を受けた。犠牲者は合計15人、一時避難者は1万人を超え、被害総額は140億ドルに達する。1月27日の洪水におけるオークランド市当局の対応の不備を指摘する独立調査委員会の報告書が先月12日に公表された。同報告書は、当日の対応についてもっと早く非常事態宣言を出すべきであったとし、それを可能にする大災害を想定した関係各所との連携シミュレーションなどの準備が不足していたと指摘した。オークランドのウェイン市長は、不備を陳謝しつつ大災害への準備不足は、他の自治体も同様であろうと述べた。今後も温暖化の影響で気象災害が増える可能性がある。

Text:Kazzy Matsuzaki 

2023年5月号掲載