ニュージーランドニュース「最安ガソリン王者は新規参入のU-GO」ほか

ニュージーランドニュース NZ NEWS

フォンテラがキャンパック工場の閉鎖を計画

ニュージーランドの乳業大手フォンテラ(Fonterra)は、ハミルトンにある缶詰・包装施設キャンパック(Canpac)を7月末に閉鎖する計画を発表した。この施設では約120人が働いているが、今後の雇用が不透明な状況。フォンテラは、医療栄養や高付加価値たんぱく質などの分野に注力するため、現在の一般的なミルクパウダーの包装業務からの転換を図っている。キャンパックは最先端の設備を備えた包装拠点だが、年間の処理量が全体の1%未満と少なく、経済的に困難な状況が続いていた。また、フォンテラは3月に消費者向け事業であるメインランドグループ(Mainland Group)の売却方針を公表しており、IPOまたは事業売却の両面から進行中だ。売却額は25~30億NZドルと見込まれており、フランスのラクタリス(Lactalis)や豪州のベガ(Bega)などが買収に名乗りを上げている。

賃金平等修正案が可決

ニュージーランド政府は、女性が多く働く業界での賃金格差是正を目指した「賃金平等制度(Pay Equity Regime)」を大幅に見直す方針を打ち出し、議会での緊急審議のもと、「賃金平等修正法案(The Pay Equity Amendment Bill)」が与党の賛成多数により可決された。女性労働者の多い分野の労働者が、男性が主流の分野の同様の仕事に比べて賃金が低いと主張できる2020年の現行法を撤廃し、新たな基準を設けるもので、請求のハードルが大幅に引き上げられた。具体的には、請求の基準は「根拠がある」から「実質的な妥当性がある」へ、女性が占める割合は60%から70%に引き上げられ、職種の条件も厳格化された。現在進行中の33件の請求は無効となり、再申請が必要になる。ラクソン(Christopher Luxon)首相は「数十億ドルの節約になる」と述べたが、労働党や緑の党は「女性の権利を後退させる」と批判している。

マオリ党議員、議員全員にワイタンギ条約の学習を義務付ける法案を提出

ニュージーランド最年少の国会議員でマオリ党所属のハナ=ラーフィティ・マイピ=クラーク(Hana-Rāwhiti Maipi-Clarke)氏は、自身初となる議員立法案を提出した。この法案は、すべての国会議員が「ワイタンギ条約(Te Tiriti)」とその原則を理解し、議会での活動において順守することを義務づける内容。法案には、議員に対するワイタンギ条約に関する研修の受講義務も含まれる。マイピ=クラーク氏は「この国会は条約の上に築かれたはずなのに、その精神が議場の外に置かれている」と指摘。マオリ党の議員フェリス(Ferris)氏は「ワイタンギ条約を知らずに国会に入ることが可能である現状は問題だ」と述べている。同氏と党の共同代表は、議会でのハカによる抗議活動により出席停止処分を受けており、今回の法案は「将来の世代が沈黙を強いられないための一歩」だという。

2025年度政府予算

2025年度の政府予算案は経済成長の促進を主眼に打ち出された。目玉施策は企業向けの税優遇措置「インベストメント・ブースト(The Investment Boost)」で、20年間でGDP1%押し上げが期待されている。一方、歳出削減策として、退職年金積立制度であるキーウィセイバー(KiwiSaver)への政府補助は年521ドルから約260ドルに半減。子育て支援の「ベスト・スタート(Best Start)」給付金は所得審査制になり、実質的な支援縮小となった。学生ローン返済の所得基準は据え置かれ、インフレにより実質的な負担増。18、19歳の失業手当の制限は、親の経済的支援が可能な場合には国からの支給を停止する。総額21億ドルの歳出削減の大半は、賃金平等制度の見直しにより割り当てられる。政府はこれを「成長と責任を両立した予算」と説明しているが、批判の声も大きく、格差是正と経済刺激のバランスが問われる内容となっている。

不動産市場は回復の兆し

住宅市場は2024年に下落後、安定しつつあり、今後は金利低下と雇用の回復により価格上昇が見込まれている。Cotality NZの最新データによると、住宅販売件数は過去2年にわたり緩やかに増加中。2025年4月の販売数は前年同月比で4%増、季節調整後の平均を7%上回った。住宅ローン金利の低下がこの回復を後押ししており、住宅価格指数は4カ月連続で上昇、4月には0.3%の伸びを記録した。主要都市ではハミルトンとクライストチャーチが価格上昇を牽引。一方、供給過多の状態は続いており、価格上昇は緩やかにとどまる見通しだ。複数物件を持つ投資家の動きも回復し、全体の24%を占めた。2025年には全国的に5%程度の価格上昇が予測されているが、5月末の中央銀行による政策金利決定が市場に大きな影響を与えると見られている。家賃の上昇は鈍化し、粗利回りは3.9%と2015年以来の高水準になっている。

社会

オークランドで麻疹感染拡大、78人が隔離

5月10日、オークランドで、海外渡航歴のある人物の麻疹(はしか)感染が確認された。ニュージーランド保健局(Health New Zealand)は感染拡大防止のため迅速な対応を行い、感染者が訪れたフェリーやスーパーマーケットなど市内17カ所にいた286人の濃厚接触者に連絡、78人を予防的に隔離した。5月19日現在、新たな麻疹症例は確認されていない。麻しんは非常に感染力が強く、免疫がない人の最大90%が感染するとされている。国内の免疫保持者は約80%で、集団感染を防ぐために必要な95%には達していない。麻疹の症状は発熱、咳、鼻水、発疹などで、通常、ウイルスに初めて感染してから 10〜14日以内に始まる。罹患した人の3分の1は入院治療が必要になるほど重症化する。1969〜2004年生まれの成人や海外渡航予定者は、免疫状況の確認とワクチン接種が推奨されている。

ウェストパック銀行15万8千ドルを間違った口座に送金

オークランド在住の年金生活者アンドリュー・チェ・シット・ボン(Andrew Che Sit Bong)氏は、英国バークレイズ銀行(Barclays Bank)からニュージーランドのウエストパック銀行(Westpack)に15万8,000ドルを送金する際、パソコンのキーボード不良により1桁少なく口座番号を入力したが、ウエストパック銀行はそれを末尾の欠落と解釈し「0」を補って送金、別人の口座に振り込まれた。受取人は返金を拒否し、警察が捜査している。チェ氏は銀行が受取人名と口座番号の照合を怠ったと主張し補償を求めた。バークレイズ銀行はチェ氏に全額を返金したが、自身の責任は認めず、ウエストパック銀行が名前と口座番号の不一致を確認しなかった点を「重大な過失」と指摘。一方、ウエストパック銀行は国際送金には名前照合システムが存在しないことや、顧客側の入力ミスを主因とし、自社の手続きに誤りはないと主張している。

生活

バター価格高騰:500g 12ドルも

ニュージーランド全土でバター価格が急騰している。2025年1月以降、500gバターの価格は最大3ドルも上昇しており、5月現在、主要ブランドであるアンカー(Anchor)とメインランド(Mainland)の500gバターは、小売価格10ドルを超えている。一部地域では、バターの供給不足により、購入制限が設けられている。スーパーマーケット各社は、可能な限りバター価格を低く抑える努力はしているものの、増加した仕入れコストを顧客に転嫁せざるを得ない状況であると述べている。バターの小売価格は一般的に輸出価格と連動する。グローバル・デイリー・トレード(Global Dairy Trade、世界60カ国以上からの買い手と売り手が参加する乳製品のオンライン取引プラットフォーム)のオークションにおけるバター価格は、過去数カ月と比較して大幅に上昇しており、今後さらに値上がりする可能性も報じられている。

ウェリントン空港の巨大鷲とガンダルフ像撤去

ウェリントン空港に12年間展示されていた巨大な鷲とガンダルフの像が、5月9日に撤去された。これは新たなローカルテーマの展示を設置するためだが、詳細は現時点では非公開となっている。撤去された像は、ピーター・ジャクソン監督の『ホビット(The Hobbit)』三部作のプロモーションとして2013年にウェタ・ワークショップ(Wētā Workshop)によって制作されたもので、鷲の像は一体あたり重さが1.2t、翼幅が15mある。2014年には地震で一体が落下する事故があったが、その後耐震対策が施された。空港のCEOマット・クラーク(Matt Clarke)氏は「展示は世界中の旅行者に愛されていたが、今が“巣立ち”の時だ」と述べた。ウェタの共同創設者リチャード・テイラー(Richard Taylor)氏も「新たな物語を作る機会」と前向きなコメントをしている。撤去された鷲の像は、今後の用途は未定ながら保管される予定だ。

2025年トップワイナリー:フェルトン・ロードが2年連続受賞

2025年のニュージーランド「トップ50ワイナリー(Top 50 Wineries)」が発表され、セントラル・オタゴのフェルトン・ロード(Felton Road)が2年連続で1位に選ばれた。審査員のスティーブン・ウォン(Stephen Wong)氏は、同ワイナリーの「純粋さ、バランス、土地への敬意」を高く評価した。2位はワイヘケ島のデスティニー・ベイ(Destiny Bay)、他にマールボロのテ・ファレ・ラ(Te Whare Rā)、フレーミンガム(Framingham)が上位に入賞した。今年から「ベスト・イン・クラス(Best in Class)」部門が設けられ、各ワインスタイルでの優秀銘柄が選出された。また、「ヴィニュロン・オブ・ザ・イヤー(Vigneron of the Year、優秀栽培者賞)」も初開催され、テ・ファレ・ラ(Te Whare Rā)のアナ&ジェイソン・フラワーデイ(Anna and Jason Flowerday)夫妻が受賞した。

「ホビット村」映画セット、ギネス世界記録に認定

ピーター・ジャクソン監督の大ヒット映画『ロード・オブ・ザ・リング(The Lord of the Rings)』や『ホビット(The Hobbit)』の舞台となったホビット村の映画セット(Hobbiton Movie Set)が、「世界最大の映画セット」としてギネス世界記録に認定された。このセットは1999年にワイカト(Waikato)地方のマタマタ(Matamata)そばに建設され、面積は5.5ヘクタールに及ぶ。当初は撮影後に解体される予定だったが、細部にわたる再現度や広大なセットのスケールが高く評価され、のちに恒久的な観光地として整備された。その後、敷地が拡張され、グリーン・ドラゴン・イン(Green Dragon Inn)や内部見学可能なホビット穴も追加。今では年間50万人以上の観光客を集める人気スポットとなっている。観光業界や地元自治体も今回の記録達成を歓迎しており、経済効果や地域の認知度向上に期待が高まっている。

最安ガソリン王者は新規参入のU-GO

これまでニュージーランドで最も安いガソリンと言えばGullアティアムリ店(Ātiamuri)だったが、燃料価格監視サイトGaspyによると、2025年5月現在、最安の地位はオークランドのU-GOワイカラカ店(Waikaraka)に奪われた。U-GOはZエナジーが新たに立ち上げたセルフサービス燃料ブランド。5月19日には91オクタンのガソリンを1Lあたり$2.297で販売していた。かつて「Gull効果」と呼ばれる価格競争の牽引役だったGullは、最近では全国平均との差が縮小している。AAの専門家テリー・コリンズ(Terry Collins)は、Gullの価格戦略が変化しており、代わりにAllied、Waitomo、NPDなどの低価格モデルを採用する独立系企業が価格競争をリードしていると指摘。Gull側は、依然として割引を頻繁に提供し競争を促進していると主張してるが、消費者の間では他社の方が安いという声が増えている。

芸能・スポーツ

ゴルフ:ライアン・フォックスがPGAツアー初優勝

ニュージーランドのプロゴルフプレイヤー、ライアン・フォックス(Ryan Fox)がマートルビーチ・クラシック(Myrtle Beach Classic)でプレーオフを制し、自身初のPGAツアー優勝を果たした。最終ラウンドを終えてフォックス、ヒューズ(Mackenzie Hughes)、ヒッグス(Harry Higgs)の3名が通算15アンダーで並び、プレーオフに突入。フォックスは第1プレーオフホールで見事なチップインバーディーを決め、勝利を収めた。この勝利により、フォックスは約120万NZドルの賞金、300フェデックスカップ(FedEx Cup)ポイント、2025年の全米プロ選手権や2026年のセントリー・トーナメント(Sentry Tournament)への出場権、さらに2年間のPGAツアー出場資格を獲得。フェデックスカップランキングも62位に浮上し、シーズン後半のプレーオフ出場圏内に入った。

ニュージーランドのドラマ『アフター・ザ・パーティー』BAFTAテレビ賞受賞ならず

ウェリントン発のドラマ『アフター・ザ・パーティー(After the Party)』は、英国アカデミー賞(英BAFTA)の国際テレビシリーズ部門にノミネートされていたが、日本の時代劇『将軍(Shogun)』に敗れ、惜しくも受賞を逃した。この部門では他に、オーストラリアの『Colin from Accounts』、アイルランドの『Say Nothing』、アメリカの『True Detective: Night Country』などがノミネートされていた。『アフター・ザ・パーティー』は全6話構成で、主演はニュージーランドの女優ロビン・マルコム(Robyn Malcolm)。物語は、主人公の女性が元夫を性犯罪で告発したことにより、人生が崩壊していく過程を描いている。脚本はダイアン・テイラー、エミリー・パーキンスらが手がけた。なお、『アフター・ザ・パーティー』は昨年のニュージーランド・テレビ賞(2024 NZ Television Awards)で最多受賞を果たしている。

オールブラックスのウォレス・シティティが2027年まで再契約

ワールドラグビーの「ブレイクスルー・プレーヤー・オブ・ザ・イヤー(Breakthrough Player of the Year)」に選ばれたウォレス・シティティ(Wallace Sititi)が、ニュージーランドラグビー協会(NZR)およびチーフス(Chiefs)と2027年末までの契約を結び、チームに残留することが決定した。シティティは2023年にチーフスでスーパーラグビー・パシフィック(Super Rugby Pacific)にデビューし、数カ月後にはオールブラックス(All Blacks)にも選出。2024年には代表の主力としてシーズン後半7試合すべてに先発出場した。昨年はその活躍が認められ、世界と国内の年間最優秀新人賞を受賞。今季は膝のケガにより出遅れたが、現在は復帰しており、チーフスのプレーオフに向けて調整中だ。シティティは「チーフスのプレイスタイルは自分に合っている。さらなる成長のためにもここが最適な場所だ」とコメントしている。

ロイヤル・エディンバラ・ミリタリー・タトゥーが2026年にオークランドへ

世界的な音楽ショー「ロイヤル・エディンバラ・ミリタリー・タトゥー(The Royal Edinburgh Military Tattoo)」が、2026年2月19日、21日にオークランドのイーデン・パーク(Eden Park)で初めて公演を行うことが決定した。これは同イベントの75周年記念公演の一環で、1,000人以上の出演者が参加。スコットランドのバグパイプ、マスバンド、現代的な振付を融合させた壮大な演出が予定されている。演目「The Heroes Who Made Us」には、イギリス軍楽隊、ニュージーランド国防軍、人気の「Top Secret Drum Corps」などが出演。地元のスコットランド系ハイランドダンサーも参加予定で、「地元でこの公演に参加できるのは特別な経験」と述べている。本イベントは文化・経済両面で地域に大きな恩恵をもたらすとされ、観光促進にも寄与する。チケットは2025年5月から販売開始。

タイトルとURLをコピーしました