インドのモディ首相がニュージーランド訪問
7月11日、インドのモディ首相が、ニュージーランドとの自由貿易協定締結後初めてニュージーランドを公式訪問し、オークランドの政府庁舎でラクソン首相と「2030年までのロードマップ」に合意、2030年までに双方向の貿易額を倍増させる目標や自由貿易協定(FTA)の推進を確認した。さらに、防衛連携、スポーツ・教育・文化面での協力強化を盛り込んだ戦略的パートナーシップが発表され、インド太平洋地域の安定に向けた新たな協力体制が打ち出された。最終イベントが行われたスパーク・アリーナ外では、約1万人の支持者が集まる一方、シーク教分離主義者や反移民を訴える抗議活動グループも集まり、約100人の警察官が警備にあたる緊迫した場面もあったが、ラクソン首相は、40年ぶりとなるインド首相のニュージーランド訪問を「戦略的パートナーシップへの歴史的な転換点」と位置付けている。
年間インフレ率4.1%:2年ぶりの高水準
統計局(Stats NZ)が発表した2026年6月期の年間消費者物価指数(CPI)は4.1%の上昇となり、2年ぶりの高水準を記録した。インフレ加速の最大の要因はガソリン価格の上昇(前年比27.5%増)であり、電気代(同12%増)や固定資産税(同8.8%増)も大きく押し上げた。仮に燃料価格の変動を除いた場合、年間CPIの上昇は2.9%にとどまる。ウィリス(Willis)財務相は、米イラン間の衝突による原油価格の急騰を原因に挙げ、市民生活への影響に懸念を示した。経済アナリストらは、食料や燃料を除いた基礎インフレ率は2.5%程度に落ち着いており、全体的な数字は想定の範囲内と分析している。しかし、依然として物価目標を上回る水準が続いているため、ウエストパック銀行などはニュージーランド準備銀行(RBNZ)が9月以降に利上げを実施し、公定金利(OCR)を年内に3.25%まで引き上げると予想している。
最新世論調査:労働党が20%台へ急落、オポチュニティ党初の5%超え
8月1日~4日実施の納税者連合クーリア(Taxpayers’ Union Curia)の世論調査において、最大野党である労働党(Labour)の支持率が前月比3.7ポイント減の27.8%へ急落し、2024年12月以来の最低水準を記録した。与党陣営では、国民党(National)は0.5ポイント増の31.0%、NZファースト党(NZ First)は9.1%、アクト党(ACT)は7.3%となった。与党3党(国民党40、NZファースト党12、ACT党9)の合計は61議席となり、120議席中過半数を確保できる計算になる。左派陣営では緑の党(Green)が10.1%、マオリ党(Te Pāti Māori)が1.5%となり、左派全体で支持が低迷。最大の注目点は、キウレイ・ウォン(Qiulae Wong)氏率いるオポチュニティ党(Opportunity)が2.8ポイント増の6.1%を記録し、主要世論調査で初めて議席獲得条件である「5%の壁」を突破したことだ。これにより同党は8議席を獲得する計算となる。
有給・病気休暇の仕組みが大きく改定
雇用休暇法案(Employment Leave Bill)が可決され、従来の2003年祝日法に代わる新制度が成立した。政府は、今回の変更で雇用主と労働者の双方にとってシンプルで正確な計算ができる制度になると述べている。企業や給与計算システムの移行にあてられるよう、新制度の導入には24ヵ月の猶予期間が設けられる。主な変更点は以下のとおり。有給・病気・慶弔・家庭内暴力休暇が勤務初日から利用可能となり、時間単位で付与される。また、給与計算の簡素化のため、全種類の休暇で統一された単一の時間給レートを使用。明細書の義務化で透明性を確保する。残業・臨時労働など基本時間外の勤務には、休暇累積の代わりに12.5%の休暇補償手当が支払われる。有給休暇の現金化可能枠が25%へ拡大し、育児休業からの復帰者に対する有給休暇手当の減額措置も廃止されるなど、柔軟性の向上と不利益の解消も実現した。
病気や障がいを持つ18・19歳への求職者手当支給を厳格化
政府は今年11月から、病気や障がいでフルタイム労働が困難な18〜19歳に対する「求職者手当(JobSeeker benefit)」の支給要件を絞り込み、親からの支援が可能な場合は受給対象から除外する方針を示した。約17,800人が影響を受け、うち約2,700人が「健康・障がい」区分にあたる。世帯年収が67,225ドル未満の家庭や、親の長期入院・関係破綻などで援助を受けられない場合は引き続き手当が支給される。アップストン(Upston)社会開発・雇用相は「10代の若者が病気の期間は親が支援すべきであり、回復後は教育や就労に向かうべきだ」と述べ、重症度に応じた「生活支援給付(Supported Living Payment)」への申請可能性も提示した。これに対し緑の党のマーチ(March)議員は「治療費や生活費の負担増加で病状悪化を招く非情な決定だ」と批判。若者のメンタルヘルス危機を助長するとして法案の修正を強く求めている。
社会
ニュージーランド初のスマホ依存症専門治療サービスが開設へ
スマホ依存の問題が高まる中、ニュージーランド初となるスマホ及び画面依存専門の治療サービス「Touchgrass」が、Problem Gambling Foundationによりオークランドで8月に立ち上げられる予定だ。調査では若者の40%がスマホ依存を感じており、依存はメンタルヘルスだけでなく視力低下(近視・ドライアイ)や姿勢悪化といった身体的問題も引き起こしている。13〜24歳とその家族を対象とする本サービスは、自己ヘルプツールや独自のAIチャットボットによる初期対応のほか、専門相談員やユースワーカーによる個別カウンセリングを提供する。専門家は「画面依存は意志の弱さではなく、依存を誘発するアプリ構造によるもの」と指摘。また、依存の裏には他のメンタルヘルス問題や「感情から目を逸らすための回避行動」が潜んでいることも多く、若年層から高齢者の孤独問題まで広範な公衆衛生上の課題となっている。
高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)がニュージーランド初確認、当局が注意呼びかけ
ニュージーランド国内で初となるH5N1型鳥インフルエンザウイルスが、ウェリントン近郊のビーチで回収された野生のトウゾクカモメ(brown skua)から検出された。専門家は「非常に重大な事態」と警告し、今後の感染拡大に懸念を示している。海外では数百万羽の野生鳥類や家禽に加え、アザラシや乳牛などの哺乳類への感染・死亡が報告されている。ニュージーランドの固有種や希少鳥類はすでに絶滅の危機に瀕しているものが多く、ウイルスが侵入すれば壊滅的な打撃を受ける恐れがある。家禽産業や酪農業への影響も危惧されている。当局は状況を注視しており、ヒトへの感染リスクや鶏肉・卵の安全性への影響は「極めて低い」としている。第1次産業省(MPI)は、3羽以上の体調不良や死亡した野生鳥類を見つけた場合、直接触れずに写真や位置情報とともに専用窓口へ通報するよう国民に呼びかけている。
テ・アナウ近郊でM5.9の地震
7月16日午後9時頃、ニュージーランド南島のテ・アナウから北に40km深さ53kmの地点を震源とする大きな地震が発生した。当初マグニチュード6.3と発表されたが、のちにマグニチュード5.9に修正された。南島の広範囲で揺れが観測され、本震の後には7回の余震も観測された。国家緊急事態管理庁(NEMA)は一時的に沿岸部に津波警報・注意報を発令し、高台への避難を呼びかけた。Netflixによる初のニュージーランド現地企画ドラマ『Queenstown』の撮影中だったフランシス・オコナー(Frances O’Connor)らハリウッド出演者やスタッフも罹災したが、Netflixはキャストおよびスタッフ全員の安全を確認したと公表している。7月28日には日本の熊本県でマグニチュード7.1の地震が発生しており、同じ月に相次いで強い地震が観測されたことで、両国が世界有数の地震多発国であるという厳しい現実が皮肉にも浮き彫りとなった。
ノースランド高速道路に36億ドルの官民連携契約が締結
政府は、ノースランド高速道路の第1区間(Warkworth~Te Hana間、全長26km)について、国内史上最大規模となる36億ドルの官民連携協定をNorthway consortiumと締結した。8月から初期工事が始まり、2033年の開通を目指す。本事業は4車線の高速道路建設で、15の橋、2つの地下道、Dome Valleyを貫く約1kmのツイントンネルなどが含まれる。Northwayが設計・建設・維持管理・運用を一括して担い、2058年に交通局(NZTA)へ返還される。従来の発注方式より約2億5,100万ドルのコスト削減が見込まれ、投資1ドルに対し1.6ドルの経済効果が期待されている。また、安全性の向上により、事故による死傷者を145人減少させるほか、移動時間の7〜10分短縮、通行止め時間削減が見込まれる。総工事費の約60%が地元のサプライチェーンへ投入され、地域での雇用や若者向けの見習い機会の創出につながると期待されている。
生活
マウントクックのフッカーバレーに新吊り橋が開通
アオラキ/マウントクック国立公園で親しまれているフッカーバレー・トラックの新吊り橋が、7月28日午後に一般公開された。旧橋は昨年4月の嵐のため浸食され閉鎖。ニュージーランド最長となる全長189mの新しいフッカーバレー吊り橋は、厳しい自然条件とヘリコプター主体の資材搬入という制約を乗り越え、昨年8月からの工事を経て完成した。設計を手掛けた建築・構造エンジニアのクロッカー(Crocker)氏によると、この吊り橋は過酷な山岳環境に対応しつつ、従来の「揺れる」吊り橋に比べて揺れを大幅に抑制。高所や揺れが苦手な人でも安心して渡れる仕様となっている。クロッカー氏は「橋は単なる移動手段ではなく、人と地域を繋ぎ、その場所の象徴や道標となるもの」と語る。過酷な建設環境を乗り越えて完成したこの新吊り橋も、雄大な景観とともに地域の新たなシンボルとして定着することが期待されている。
NZ最高のビール醸造所:ワイカトの小規模醸造所に決定
ニュージーランド醸造家協会が主宰する「ニュージーランド・ビール・アワード2026」の授賞式がダニーデンで開催され、ハミルトン南西に位置する小規模醸造所「Karamu Barrelworks」が最高賞である総合最優秀ブルワリー(Overall Champion NZ Brewing Company)に輝いた。古民家でベルギー方式の自然発酵ビールを手掛ける同社は、昨年の「最優秀マイクロブルワリー」に続く2年連続の快挙となった。また、大手「Emerson’s」は最高賞ビール(Pride of the Plains)および最優秀大型ブルワリー部門(Champion NZ Large Brewery)を受賞。今大会には70社から650銘柄以上が出品され、全体の約8割がメダルを獲得した。審査員は、ニュージーランド産ホップを活かしたIPAやペールエールに加え、独自原料や製法を取り入れたスペシャリティ&実験的ビール部門(Specialty and Experimental)の技術力と完成度の高さを絶賛した。
芸能・スポーツ
Wētā FXが『ストレンジャー・シングス』最終章でエミー賞にノミネート
ウェリントンを拠点とする視覚効果制作会社「Wētā FX」が、Netflixの大ヒットドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』最終章での功績により、エミー賞「優秀特殊視覚効果賞 シーズン/映画部門(Outstanding Special Visual Effects in a Season or a Movie)」にノミネートされた。同社は同作品内で全1,185カットの特殊視覚効果(VFX)を担当。宿敵ヴェクナのビジュアル刷新や、冒頭シーンにおけるウィル役の若返り、危険生物の表現などを手がけた。VFXスーパーバイザーのマーティン・ヒル(Martin Hill)氏らは、チームの才能と熱意が評価されたことへの喜びを表明している。Wētā FXは国際的な評価が高く、過去に『リップリー』『THE LAST OF US』『ゲーム・オブ・スローンズ』で同賞を計4回受賞している。今年のエミー賞授賞式は、9月6日・7日にロサンゼルスで開催される予定だ。
名優サム・ニール死去、78歳
映画『ジュラシック・パーク』シリーズのグラント博士役などで知られるニュージーランド人俳優サム・ニール(Sam Neill)氏が7月13日、オーストラリア・シドニーの病院で亡くなった。78歳だった。代理人のグレンツ氏は、死因が肺炎であったと発表した。ニール氏は2023年より希少な血液がん「血管免疫芽球性T細胞リンパ腫」を患っていたが、CAR-T細胞療法という新しい治療法によって、2026年4月には体内からがんが消えたことを公表していた。セントラル・オタゴにある「Two Paddocks」というワイナリーを趣味で経営していたが、追悼のため世界中からこのワイナリーのワインの注文が殺到し、売上高は1,828%増を記録している。また、生前に支援していたセントラル・オタゴの金鉱山反対運動「Sustainable Tarras」にも寄付や新規支援者が急増するなど、ニール氏を追悼する活動がファンの間で広がっている。
NZの俳優がオードリー・ヘプバーン役に抜擢
ニュージーランド出身の25歳の俳優トーマシン・マッケンジー(Thomasin McKenzie)が、新作伝記映画『Dinner with Audrey』でオードリー・ヘプバーン役を演じることが決定した。本作は、1950年代初期にオードリーが世界的なスター/ファッションアイコンとなる直前、ファッションデザイナーのユベール・ド・ジバンシィと築いた関係性に焦点を当てている。幼少期からヘプバーンのファンだったマッケンジーは、世界中を魅了した彼女を演じることにプレッシャーを感じつつも入念な役作りを実施。ベルギー生まれでロンドンやアメリカでの滞在経験から形成された独特のアクセントを研究、単なるモノマネではなく、ヘプバーンの精神性やエネルギーの表現に重点を置いた。『Jojo Rabbit』などで評価を高めてきたマッケンジーの新たな挑戦として注目を集めている。映画の公開時期は現時点では未定となっている。
ゴルフ・全英オープン:ライアン・フォックス優勝、NZ史上4人目のメジャー制覇
イングランドのロイヤル・バークデールで開催された全英オープンゴルフ選手権で、ニュージーランドのライアン・フォックスが通算10アンダーで悲願のメジャー初優勝を果たした。第3ラウンドでコース記録タイをマークして首位争いに浮上したフォックスは、最終日も粘り強いゴルフを展開。首位のキャメロン・ヤングと並んで迎えた最終18番ホールで見事なティーショットとアプローチを見せ、最後は3.5mのバーディーパットを沈めて1打差で勝利を掴んだ。NZ勢のメジャー制覇はボブ・チャールズ、マイケル・キャンベル、リディア・コーに続く史上4人目。全英オープンを制したのは1963年のボブ・チャールズ以来の快挙となった。この勝利により、フォックスは賞金550万ドル(約8.6億円)のほか、60歳までの全英オープン出場権や、全米プロ、全米オープン、マスターズなどの主要大会への5年間シード権を獲得した。
コモンウェルスゲームズ:NZ勢が大健闘
スコットランドのグラスゴーで7月23日から8月2日まで開催されたコモンウェルスゲームズにおいて、ニュージーランド勢は金10・銀14・銅12の通算36個のメダルを獲得する活躍を見せた。陸上女子100mでは、ゾーイ・ホッブス(Zoe Hobbs)が10秒93のニュージーランド記録兼オセアニア記録で金メダル。競泳男子では、ルイス・クレアバート(Lewis Clareburt)が200mバタフライで金メダル、200m個人メドレーでも銀メダルを獲得。競泳女子はエリカ・フェアウェザー(Erika Fairweather)が400m自由形と1500m自由形で銀メダル、200m自由形で銅メダルを獲得し、1人で3個のメダルを獲得した。ネットボールのシルバーファーンズ(Silver Ferns)は決勝でジャマイカを下し、2010年以来となる金メダル。柔道ではシドニー・アンドリュース(Sydnee Andrews)が女子78kg超級で一本勝ちを決め金メダルを獲得している。
