季節の暮らしに役立つ作業療法的健康ヒント(冬編)

予防医学 LIFESTYLE

近年、脳の健康を保つためには「何かに没頭すること」が大切ではないかという研究が注目されています。何かに夢中になれる時間が、脳の健康につながるかもしれないなんて素敵じゃないですか。今回は、そんな素敵な活動の一部を作業療法の視点から私なりに考えてみました。みなさんの生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

キーワードは『没頭』!

没頭とは、何かに夢中になっている状態を意味します。研究では、フローと呼ばれる没頭状態がモニタリングできる装置を装着して、前頭葉や基底核と呼ばれる脳の領域(注意や意欲の関わる部位)の活動変化を観察しています。手作業や計算、楽器や絵画、料理や園芸などの作業の中から少し難しいけれど夢中になれる活動を選択して、このフローの状況を作ります。このフローの状況で得られる効果は認知機能の改善です。加齢に伴って物忘れや記憶障害などが問題となることがありますが、頭の健康を保つために何かに没頭することはとても重要なことのようです。

脳の健康を保つためには「何かに没頭すること」が大切

日常に取り入れる
◆没頭できる活動がある人は、その活動を続けてください。

没頭できる活動がない人は、以下を試してみてください。
◆非利き手で取り組んでみる

いつもは右手で使うお箸やフォーク、スプーンを左手で使ってみる。

いつもは右手で使うお箸やフォーク、スプーンを左手で使ってみる。いつも右手で書く字を左手で書いてみる。一見、単純な活動のようですが、普段使っている手と違う手でお箸やフォーク、スプーンを使う、字を書くようにすると、脳は一生懸命働いて何とかできるように働き始めます。 イライラしないで、コツがつかめるまで、ゆっくりと作業を行ってください。少しの時間でも、脳は普段と違ってたくさんの神経を結び付けて、うまくできた時にはご褒美(ドーパミン)が分泌されます。

まずは試してみよう!

チャレンジ目標
●お箸で豆を20個1分以内に皿から皿に移動する。(非利き手使用)
●アルファベット26文字を原稿用紙に、1分以内にはみ出さないで書き写す。(非利き手使用)

没頭(フロー)や達成感で得られる効果

脳には幸福物質と呼ばれるドーパミンやセロトニン、オキシトシン、β-エンドルフィンと言われるホルモンが存在します。ドーパミンは達成感、セロトニンは精神の安定、オキシトシンは愛情や他者への信頼、β-エンドルフィンはストレス解消に関係しています。これらのホルモンはいずれも脳を活性化させるホルモンですが、年齢を重ねることで分泌が悪くなります。没頭した状態(フロー)や達成感は、これらのホルモンを分泌させることで脳を活性化させます。

ドーパミンやセロトニンなど脳内物質のイメージ
ドーパミンやセロトニンなど脳内物質のイメージ

人は一人で生きているわけではありません。いろいろな活動を他者と協力し、他者から評価されることで得られる達成感もあります。寒い冬は家に閉じこもりがちですが、誰かとのつながりを大切に、幸せホルモンの分泌を促して、脳から若返ってください!

※「若返り研究をめぐる懸賞金レース」とは、健康で元気に長生きする方法を競う国際研究コンテストのこと。近年は脳の健康に関する研究も注目されている。

目白大学保健医療学部作業療法学科教授 花房 謙一
目白大学保健医療学部作業療法学科教授
花房 謙一

認定作業療法士 保健学博士(神戸大学)
奈良県心身障害者リハビリテーションセンター、大阪大学医学部附属病院、市立吹田市民病院リハビリテーション科参事を経て現職。現在も教員の仕事以外に、湘南鎌倉総合病院リハビリテーション科に非常勤勤務。
目白大学WEBサイト:https://www.mejiro.ac.jp

タイトルとURLをコピーしました