春は寒暖差が大きく、自律神経が乱れやすい季節です。脈拍チェックは、体調の変化を早めにキャッチするのにぴったりです。桜や新緑を眺めながら深呼吸して脈を測ると、心もほぐれますよ。
『みゃく・むく』 チェックで、お達者に!
2025年の日本(大阪)では国際博覧会が開催され、『ミャクミャク』という公式キャラクターが人気です。『ミャクミャク』は、人間のDNA、知恵と技術、歴史や文化を「脈々」と受け継ぐことを期待されて、ネーミングされています。このコラムでは、日常のちょっとしたチェックで身体の不調を未然に防ぐ“知恵”をご紹介いたします。年を重ねるごとに増える身体の不調、特に季節の変わり目は気候の変化に伴って体調を崩しやすいので、できれば大きな病気になる前に予防したいですね。習慣化していただければ、達者な状態が続きますよ!
はじめのチェックは、『脈拍』です。脈拍は、心臓を中心とした循環器系の状態を反映しています。なんだ、脈拍かと思うかもしれませんが、<いつ、何を>チェックすれば良いでしょうか?
答えは、朝起きてすぐと夜寝る前に、リズムのチェックです。
脈拍は、橈骨動脈※に人差し指と中指を触れて1分間計測することが望ましいのですが、最低15秒間でもおおよその確認はできます。大事なことは、不整脈(心房細動)をみつけることです。脈拍の速さや遅さも重要ですが、何よりもリズムの乱れに気付くことが最も大切です。もし、不整脈に気付いた場合は、血圧も計測して、高血圧であれば、医療機関に相談しましょう。高血圧と心房細動に気付けば、脳卒中と心臓病を予防できる可能性が高まりますよ!
つぎのチェックは、足のむくみです。足のむくみは、皮膚または皮下組織に水分が溜まった状態ですが、“いつ”、“何を”チェックすれば良いでしょうか?
答えは、朝起きてすぐと夜寝る前に、圧痕のチェックです。
“圧痕”とは、指で足のすねを5秒程度押して、痕がすぐに消えるかどうかをみることです。通常はすぐに消えるものですが、10秒以上痕が消えない場合は要注意です。もし痕が消えない場合は、体重も計測しましょう。体重が2~3日で2㎏以上増加していれば、心臓病の危険性があります。突然死の7割は心臓のトラブルと言われています。
朝と晩に“みゃく・むく”チェックで、お達者にお過ごしください。

※橈骨動脈(とうこつどうみゃく):前腕の親指側にある動脈。手首で脈を測るときによく使われる。

目白大学保健医療学部作業療法学科教授
花房 謙一
認定作業療法士 保健学博士(神戸大学)
奈良県心身障害者リハビリテーションセンター、大阪大学医学部附属病院、市立吹田市民病院リハビリテーション科参事を経て現職。現在も教員の仕事以外に、湘南鎌倉総合病院リハビリテーション科に非常勤勤務。
目白大学WEBサイト:https://www.mejiro.ac.jp
