2025年11月 ニュージーランド滞在レポート
Support Our Kids(SOK)とは
東日本大震災で被災した子ども達の自立を支援する目的で2011年に発足した、Support Our Kidsプロジェクト。NPO法人、次代の創造工房 前理事長 秋沢志篤(故人)と、当時の在日ニュージーランド大使イアン ケネディ氏の声掛けで始まり、ミア エバンス氏をはじめとする多くのニュージーランドや日本の方々によって震災直後に立ち上がりました。以来10カ国の駐日大使館の協力のもと、「グローバルな体験から得た気づきや学びを東北の復興に活かせるように」と、被災地の学生達に海外研修プログラムを提供してきました。異国の地での多様な活動や人々とのふれあいは、未曾有の大震災を乗り越えた子ども達に強いインスピレーションを与え、新たな価値観を見出すきっかけとなっています。
また、被災地を代表する「復興アンバサダー」として、自らの被災体験、東北の復興状況や復興への想いを渡航先の政府や国際機関をはじめとする多くの方々に伝えてきました。そうした経験を通じて、自立心や自信が芽生え、逆境を力に変えて、自分の未来を切り拓いていく折れない心「レジリエンス」を育んできました。これまで、480名(2025年12月現在)の生徒が本プロジェクトに参加しました。海外研修で得た学びを活かして世界を舞台に活躍する人材や東北で企業し、地域の復興に貢献するアルムナイ※1も生まれています。
ニュージーランド滞在の様子
2025年のSupport Our Kids NZプログラムは、在日ニュージーランド大使館にて出発式が執り行われ、大学生4名がオークランド、ロトルア、クライストチャーチの3都市を訪れました。
オークランドでは、現地企業(Salus Aviation、MUFG Bank)やlacks Experienceを訪問。また、毎年11月に開催される国際 オークランドでは、現地企業(Salus Aviation、MUFG Bank)やAll Blacks Experienceを訪問。また、毎年11月に開催される国際会議「日本ニュージーランド経済人会議」※2に、ロトルアにて参加。日本とニュージーランド両国を代表する経済人が集い、経済、貿易、投資のみならず、環境、エネルギー、安全保障、災害対策、宇宙関連など、広範なテーマについて議論がなされる場に、ニュージーランドのユース達と共に日本の若者代表として特別参加しました。また、TE PUIA※3も訪れ、マオリ文化の体験やニュージーランドの自然も肌で感じました。

クライストチャーチでは、2011年東日本大震災直前に、同じく大きな被害に遭ったカンタベリー地震の被災地を訪れました。
クライストチャーチ市長フィル・モーガー氏を表敬訪問し、両地域の復興について意見交換をしました。


学生達が行った震災プレゼンテーションの内容(一部抜粋)
「東日本大震災から15年が経とうとしている今、私たちは、震災を自身の記憶として語ることができる最後の世代です。備えることの重要性や、判断の遅れがどれほど危険につながるのかといった教訓を、次の世代に伝えていくことが、自分たちの世代に与えられた責任だと考えています。そして、この責任は日本国内だけで完結するものではありません。どの国にも災害は起こりうるからです。
今回の研修は、過去の出来事をただ語り継ぐためのものではなく、経験をもとに未来の安全や備えについて考えるための機会だととらえています。
震災を知る最後の世代として、自分たちの言葉で経験を伝えていくこと。その積み重ねが、わずかでも未来の安全につながると考えています。」
「私たちが事前研修で福島県双葉町を訪れたとき、世界のどの国から人が来ているかを示すシールが貼られている場所がありました。その中で、ニュージーランドのシールが特に多かったことがとても印象に残っています。遠い国の出来事にも関心を寄せて足を運んでくださる方々がいることを知り、素直にうれしく感じました。それと同時に、私たちもニュージーランドで起きた大きな地震についてもっと知りたいと思うようになりました。」
「福島では、廃炉作業や再生可能エネルギーの取り組みなど、未来への歩みを進めています。こうした現場を実際に見ると、被災地という過去のイメージから脱するための努力を重ねる福島の姿が見えてきます。 だからこそ、皆さんにもいつか福島を訪れて自分の目で見ていただきたいです。興味を持っていただくだけでも、福島で生きる人々にとって大きな力になりますし、実際に足を運んでいただければ、復興にとってさらに大きな励みになります。東北とニュージーランドは、ともに地震の経験をもつ地域です。互いの経験を共有し、未来への備えを一緒に考えることには大きな意味があります。今回の研修がその一歩になればうれしいです。」
9日間のニュージーランド研修を終え、参加者たちは無事に帰国。震災を経験した自分たちのストーリーを海外で語り、世界に防災の大切さを伝えるという貴重な経験となりました。





あとがき SOK が育むもの — いま と これから
ニュージーランドでの研修は、参加者に幅広い視野と国際的な価値観をもたらしました。震災の記憶を自らの言葉で語る力や異文化理解、自立心、そして国際的なつながりは、今後の人生を支えるかけがいのない財産となるでしょう。同時に、参加者の学びや発信を通じて、東日本大震災が地震・津波・原子力災害という未曾有の複合災害であったこと、そしてその影響が今なお社会にさまざまな形で続いていることを、私たち自身も改めて深く実感しています。
今回のプログラムは、在日ニュージーランド大使館、日本ニュージーランド経済委員会の協力のもと、住友林業株式会社、関彰商事株式会社、タリーズコーヒージャパン株式会社、戸田建設株式会社、株式会社虎ノ門実業会館、ニュージーランド航空をはじめ、日本とニュージーランドに関わる多くの企業や個人の皆様の支援により実現いたしました。心より感謝申し上げます。
Support Our Kidsは、今後も若者たちが世界とつながり、未来への扉を開くための機会を提供し続けます。活動へのご理解と応援を賜れましたら幸いです。
報告:NPO法人次代の創造工房 Support Our Kidsプロジェクト
ディレクター 髙土 聡子
※1 アルムナイ(Alumni):本プロジェクトを修了し、現在それぞれの分野で
活躍している卒業生・参加経験者のこと
※2 日NZ経済界リーダーが集う国際会議(詳細P5)
※3 ロトルアのマオリ文化・地熱体験施設。

