子どもの歯の治療は無料

子どもの歯の治療は無料LIFESTYLE
歯科衛生士が語る 知っておこうデンタルケア

ニュージーランドでは、0歳から17歳までの子どもの歯科治療は無料です!ニュージーランド政府は、子どもの口腔衛生の向上に力を入れています。

リジョナル・デンタル・サービス

ニュージーランドには『リージョナル・デンタル・サービス』(RDS)があり、18歳の誕生日を迎えるまで歯科医療を無料で受けられるシステムがあります。12歳程度までの子どもたちは、最寄りの学校(小学校・中学校)のデンタル・ハブ・クリニックという小さな建物や移動式バスで、デンタルセラピスト(オーラルヘルスセラピストとも呼ぶ)から検診や治療を受けられます。また、デンタルセラピストは、虫歯治療や乳歯の抜歯、歯のクリーニングや食生活の指導などの予防治療、さらにはレントゲン撮影や局所麻酔などを含む治療を提供できます。大人の歯の虫歯がかなり進行していて根管治療になったり、セラミックのクラウンが必要になると、プライベートの歯科医にかかる必要があります。RDS提携の歯科医療者を紹介してもらえますが、治療費は自己負担となります。

手続き方法や対象者

治療を受けるために必要な手続きは、最寄りのスクール・デンタル・クリニックへ行き、登録書に記入するだけ。ただ、翌日にすぐ検診や治療が始まるかは保証がなく、待つ必要があるときもあります。13歳に達すると近所のRDS提携歯科クリニックへ通います。登録書に記入すれば手続き完了。無料で治療を受けられます。無料治療の対象となるのは、市民および永住権保持者、または同様の滞在資格がある家庭の子どもです。また、どんな治療でも無料というわけではなく、無料治療に使える歯材は決まっており、歯科矯正や外科処置などの専門医が行う処置は自己負担となります。

虫歯予防がとても大切

成人の歯科医療が全額自己負担のニュージーランドでは、小さいころからの虫歯予防の習慣が非常に重要視されます。虫歯予防を促進するため、ほとんどの地域の水道水には微量のフッ素が入っており、過去の調査結果からも、フッ素が混入されていない地域より、フッ素入りの水道水を使っている地域の子どもたちの虫歯が少ないことがわかっています。

家庭で気軽にできる子どもの虫歯予防として大切なことは、ダラダラ食いをしないこと!食事をすると、飲食物に含まれる糖質を餌にミュータンス菌などの虫歯菌が酸を作り、口腔内のpHレベル(水素イオン指数)が酸性に傾きます。その酸が歯に含まれるカルシウムを溶かして虫歯を作るので、このサイクルの頻度が上がると、虫歯になる確率も上がるというわけです。しかし、唾液にはカルシウムが含まれており、虫歯菌が作り出した酸を中和させて修復することができます(再石灰化)。この作用を活かすために、食事と食事の間は最低2時間空けるようにしましょう。


※本コラムで紹介する情報はあくまでも補助的なものです。既存の症状がある場合は、クリニックを受診することをおすすめします。

Kazuha Eketone-tekanawa
小児歯科衛生士
Kazuha Eketone-tekanawa

エケトネ– テカナワ 一葉

Otago大学卒オーラルヘルスセラピスト。
ノースショアGrevilleDental勤務、半年後まで予約がとれない人気小児歯科衛生士として働く3児の母。
Greville Dental
【所】18 Hauraki Cres., Pinehill, Auckland
【Ph】09-478-7830【日本語問い合わせ】kazuhaaotearoa.2018@gmail.com
【個人ブログ】https://ameblo.jp/yorkplace107c



2019年12月号掲載