時間がおいしくしてくれるものを、ゆっくり待つ。
アオテアロアの春の恵みを、日本の知恵でいただく。
そんな一皿を、ぜひ春の食卓で楽しんでみてください。
春野菜について
冬が終わりに近づく頃、庭先には少しずつ春の気配が訪れます。アスパラやチャイブ、パセリなどが顔を出し始め、ファーマーズマーケットやスーパーにも、みずみずしい春野菜が並び始めます。冬の間、土の中でじっと力を蓄えていた野菜たち。その姿を見ていると、おいしさを育てるものの一つは「時間」なのだと、あらためて感じます。
そんな春の恵みをいただくとき、私がよく使うのが、日本の発酵調味料「塩麹」です。
塩麹もまた、米麹と塩、水というシンプルな材料を、時間をかけてゆっくり熟成させていくもの。発酵によって生まれるまろやかな塩味とうま味は、何かを強く足すというより、素材がもともと持っているおいしさをそっと引き出してくれます。肉や魚をやわらかく仕上げ、野菜のやさしい甘みも引き立てる塩麹を手作りしてみませんか?

<自家製塩麹の作り方>
ニュージーランドでは米麹を購入できる場所が限られています。私はJapan Martで販売されている日本からの輸入品、またはNelsonのUrban Hippie社の米麹を取り寄せて使っています。どちらもそのままで、おいしい塩麹を作ることができます。完成後に米麹の粒が残っていても問題ありません。
もし、よりなめらかでトロリとした仕上がりがお好みなら、仕込む前に米麹をフードプロセッサーなどで細かくしておくとよいでしょう。
材料
米麹(乾燥):100g
ぬるま湯(35℃前後):200ml
シーソルト:40g
作り方
① 清潔なガラス瓶(筒形または口の広いボトル型)などの容器に、米麹とシーソルト(海塩)を入れて振り混ぜる。
② 35℃(人肌)程度に温めた水を加え、蓋を閉めて振り混ぜる。常温で1週間程度(寒い時期は2週間程度)おく。
③ 熟成中は蓋は半分開けた状態にし、1日1~2回は蓋をして容器を振り、また蓋を開け密封は避ける。適度な塩気とうまみを感じたら完成。その後は冷蔵庫で保存、2~3か月で使い切る。
④ 素材(肉類・魚類・野菜)の重量の約10%量の塩麹と合わせて、もみこむ。一晩冷蔵庫でねかせた後、調理する。
春野菜と塩麹チキンのプレート

今回は、自家製塩麹を使い、一晩マリネした鶏むね肉を、熱湯の余熱でゆっくり火を通してしっとりと仕上げます。合わせるのは春の野菜たち。素材の味を生かすため、野菜はシンプルに蒸して添えます。塩麹のやさしいうま味と、春野菜のみずみずしさ。どちらも主張しすぎることなく、お互いの持ち味を引き立て合います。
材料
鶏胸肉 200g~250g に対して塩麹 大さじ1
作り方
① 胸肉はまな板に広げ、厚みに包丁を入れ開くようにして全体を約5㎜の厚みにする。上側にさらに浅い切込みを入れる。(長方形にすると巻きやすい)
チキンをラップの上に乗せ、塩麹を切込みを入れた側にまんべんなく塗り、端からきつく巻きラップで包んで直径4㎝ほどの棒状にする。(大きければ半分にして2本にしてもよい) さらにもう一枚のラップでしっかりと二重に包む。冷蔵庫で半日~1日寝かせる。
② ジップロック袋にラップしたチキンを入れ空気をできるだけ抜く。お湯を張った鍋にチキンを入れ、浮かないように少し小さ目の鍋蓋などを重石としてのせて加熱する。沸騰したら中弱火で10分加熱し、火を止めてから、しっかり蓋をしたまま30分おき、余熱で中までゆっくり火を通す。チキンを取り出し、粗熱が取れたら盛り付けるまで冷蔵保存する。
③ ラップを取り除いた胸肉を薄くスライスして、スティームした春野菜(春キャベツ、葉付きニンジン、アスパラガス、小さな新じゃが、スノーピー、スナップエンドウなど)とともに盛り付ける。ディルやチャイブなどのハーブ類、ラディッシュ、アボカド、レモンスライスなどを添えても彩り豊かになります。
ドレッシング
胸肉を加熱したときにラップにたまったゆで汁少々に、レモン汁、ハチミツ、ディジョンマスタード※を加えて混ぜる。オリーブオイルを少しずつ加えながら、とろりとするまでよく混ぜ、塩で味を整えて回しかける。あれば、ピンクペッパーを散らすと春らしさ満点です。
※辛味と酸味が特徴のフランス生まれのマスタード

佐々木由美さん
料理家ワナカでローカル向けの和食料理教室を毎月開催して今年で14年目。地元だけでなく北島・南島からの参加者もいる教室は今やワナカのアクティビティの1つに。ニュージーランドの旬を取り入れ、日本の文化や風習とともに紹介する季節のレシピを軸に、遊び心ある融合スタイルも提案。ベジタリアン・オプションやグルテン・フリーにも対応。
【Email】japanese.cuisine.wanaka@gmail.com
【FB】Japanese cuisine cooking class @wanaka お料理教室の情報
【IG】yumi.matcha.wanaka 創作和菓子とお茶 / wa.table.wanaka 季節の料理
