【マーケター】まずは「行動してみること」が大事。ワーホリから正社員へつなげた“チャンスのつかみ方”とは- Yukiさん

【マーケター】まずは「行動してみること」が大事。ワーホリから正社員へつなげた“チャンスのつかみ方”とは- Yukiさん BUSINESS

日本で積んだ実務経験と実績を活かして、マーケターとしてニュージーランドで働くYukiさんは、海外移住への道の開き方は「まずは行動してみること」だと語る。実際、海外移住への強い希望からワーホリビザを取得し、1年という限られた滞在の中で就労ビザのサポートに前向きな企業を中心に就職活動、見事正社員のポジションをゲットしたYukiさんの発言には説得力がある。日本を含むグローバルなチームと、個々のライフスタイルや価値観が尊重される職場環境で自分らしく働いているYukiさんに、ニュージーランドで仕事探しや面接のコツ、ニュージーランドと日本の仕事に対する意識の違いや、日本人として外国で働く上での強みについて、お話を伺った。

Q. ニュージーランドへ来たきっかけは何ですか?

もともと海外移住への強い希望があり、コロナ前にニュージーランドのワーキングホリデービザを取得していました。しかし、パンデミックの影響で一度ビザが期限切れとなったため、コロナ後はカナダやオーストラリアへの留学も検討していました。そんな中、ニュージーランドで特例的にコロナ期間中にワーホリビザが切れた人用にビザが再び発給されたことをきっかけに、自分のキャリアとスキルを生かして永住権取得の可能性がより現実的なニュージーランドを改めて選びました。

実はニュージーランドには一度も行ったことがなかったのですが、以前にオーストラリアでワーホリを経験したこともあり、文化的にも近く、すぐに馴染めると思ったことも決め手の一つです。また、自然が多く、落ち着いたアウトドア生活が好きなことも理由です。 

Q. ニュージーランドに来る前はどんなお仕事をされていましたか?

日本では、外資系企業やAI関連企業でマーケティング業務を担当していました。業務内容は多岐にわたり、商品・サービスを知ってもらうための記事や画像、動画の制作、広告キャンペーンの運用・改善、イベント企画・実施、そして海外向けコンテンツのローカライズなどを行っていました。

特に海外の情報を日本市場に合わせて調整する作業は、日本人としての感性や言語力が活かせる部分で、やりがいを感じていました。

Q. マーケターの仕事内容について教えてください。

マーケターは、企業の製品やサービスを市場に導入し、顧客のニーズを満たしながら「商品」として売るための戦略を立案・実行する専門家です。現在は主にGoogle広告やYahoo広告の運用・最適化、広告代理店とのコミュニケーション、キーワード分析や市場動向の調査など、オンライン広告全般の管理を行っています。

日々の業務では、データ分析を活用して広告効果を評価・改善し、午後には分析結果に基づく新規広告キャンペーンの企画立案や代理店とのミーティングを実施しています。グローバルな環境で、アメリカや日本など異なる国々のチームと緊密に連携しながら、ニュージーランドの同僚とも積極的に情報交換をしています。年間を通じて特に忙しくなるのはブラックフライデーやクリスマスシーズンなどの大型セール期間です。

Q. ニュージーランドでの仕事はどのように探しましたか?

仕事探しでは、LinkedInやSEEK、ニュージーランド専門の求人サイトを中心に活用しました。自分のスキルや経験をより魅力的に伝えるために、企業研究は念入りに行い、すべて同じ履歴書を使い回すのではなく、企業ごとに求める人物像やトーンに合わせて履歴書やカバーレターを毎回調整していました。

現地の履歴書フォーマットに慣れるため、ニュージーランドのプロによる履歴書添削サービスも活用しました。また、ネットワーキングイベントへ参加したり、リクルーターを利用したり、あらゆる手段でチャンスを広げるようにしていました。

面接対策では、求人票に書かれている全てのスキルや要件に対して、自分なりの具体的なエピソードを準備しておくことが大切です。また、履歴書に書いたことを細かく深掘りされてもきちんと説明できるようにしておく必要があります。自分に足りないスキルがある場合も、「どうやって補うか」「習得するためにどんな行動を取っているか」を伝えられると、前向きな姿勢が評価されやすいと感じました。

一番のチャレンジは、ワーキングホリデー中という限られた滞在ステータスでの就職活動でした。そのため、就労ビザのサポートに前向きな企業やポジションを中心に探し、自分の経験やスキルがどのように企業に貢献できるかをアピールするよう心がけていました。

面接では、「長くニュージーランドで働いていきたい」という意欲をしっかり伝えることも大切にしていました。実際、最初の数ヶ月は日本企業のリモート業務を続けながら現地での就職活動を進め、最終的に正社員のマーケティング職として採用されました。

Q.ニュージーランドでマーケターとして働くために必要な資格、あった方がいい経験などがあれば教えてください。

マーケターとして働くために必須の資格はありませんが、職務経験や実績が重視されます。特に海外市場でのマーケティング経験や、多言語環境での業務経験があると強みになります。関連する認定資格があればアピール材料として有効です。私自身は日本でのデジタルマーケティングやカスタマーサクセスの経験が評価されました。

英語についてはビジネスレベルが求められることが多く、スムーズな業務遂行のためにも英語スキルは重要です。さらに、人脈づくりも鍵となるため、LinkedInを活用した交流や業界イベントへの参加も効果的です。

ニュージーランドでは日本ほど学歴が重視されない印象があり、実務経験やスキルがより重要視される傾向にあります。現地のビジネス系のコースや専門課程を修了していれば、マーケティング未経験であっても、意欲やポテンシャルを評価され、ジュニアポジションなどからキャリアをスタートできるチャンスもあります。

Q. マーケターとして働くうえで、日本人であることのメリットを感じることはありますか?

日本市場や日本人消費者向けのマーケティングを行う際に、日本の文化や消費者心理を深く理解していることは明確な強みになります。また、日本語と英語のバイリンガルスキルは、ニュージーランド市場においても価値が高いと感じています。

実際に現在、私は担当クライアントの日本市場を主に担当しています。日本語での表現の微妙なニュアンスや、日本人特有の価値観、購入行動の傾向などを踏まえて、広告の文言やアプローチ方法を細かく調整できる点が評価されています。「日本人に刺さる伝え方ができる」というのは、海外拠点で働くうえで明確な差別化ポイントになっていると実感しています。

Q. 「ニュージーランドで働く」ならではの楽しさや魅力、やりがいについて教えてください。

私はオークランドで働いていることもあり、同僚たちはさまざまな国籍・文化背景を持っています。チームにはヨーロッパやアジア、南米出身のメンバーもいて、仕事を通して自然と異文化理解が深まるのは大きな魅力です。私の会社では月に一度のチームビルディングイベントがあり、会社補助のランチや、同僚の出身国の料理を紹介し合うランチ会などが開催されます。こういった文化交流を通じて、同僚同士の距離もぐっと縮まります。

また、上下関係があまり厳しくなく、意見を言いやすい雰囲気があります。上司ともファーストネームで呼び合うなど、フレンドリーで風通しの良い関係が築けます。

さらに、ワークライフバランスが非常に重視されており、子育てや家族の事情、宗教行事など、個々のライフスタイルや価値観がしっかり尊重されている点もニュージーランドらしさだと感じます。働く環境の柔軟さと人への配慮が自然に根づいていて、安心して自分らしく働ける職場だと思います。

職場でのランチ会
職場でのランチ会

Q.また反対に大変なことや難しいと感じる部分はありますか?

ニュージーランドの職場は自由度が高く、柔軟な働き方ができる一方で、「自分で考えて動く力」が求められる場面も多いです。誰かが丁寧に教えてくれるというよりは、必要なことは自分で調べて、主体的に動いていくスタンスが前提になります。

最初のうちは、「このまま進めて大丈夫かな?」と不安になることもありましたが、自分なりに試行錯誤したり、適切な人に自ら聞きに行ったりなどするうちに徐々に慣れていきました。違いを受け入れつつ、自分なりにプロアクティブに進めていくことが大切だと思います。

Q. ニュージーランドと日本での働き方の違いなどはありますか? 

もちろん職場や職種によって違いはありますが、全体的にニュージーランドでは「長い時間働くこと」や仕事後も同僚とご飯や飲みに行くことなどが日本ほど強くないように感じます。時間よりも成果や効率を重視し、無理な働き方を良しとしない雰囲気があります。仕事とプライベートの線引きがはっきりしており、定時で帰るのが当たり前。無理に残業をしたり、休みづらいといった空気もなく、それぞれの生活を尊重するカルチャーが浸透していると感じます。

また、日本では仕事に対して強い責任感ややりがいを求める・求められる傾向がありますが、ニュージーランドでは「人生の一部としての仕事」という位置づけがより明確です。職場での服装も、日本に比べてかなりカジュアルで、ドレスコードも柔軟に運用されていることが多いです。

みんながバリバリ、ゴリゴリ働く日本の職場に慣れている場合は、物事がスローに感じたり、最初は戸惑ったりするかもしれません。

Q. オフの日や仕事終わりの過ごし方はどのような感じですか?

私はフルリモートワークをしているので、仕事終わりは体を動かすようにしています。ジムに行ったり、ボルダリングをしたり、近くのビーチに散歩に行ったりしています。ニュージーランドはどこに行っても絶景の場所が多いので、外に出るだけで気分転換になりますし、体を動かすことが好きな人が多いので、自分にとっても心地よい環境です。

週末にはキャンプやハイキングなど自然の中で過ごすことが多く、アクティブにリフレッシュしています。また、自宅ではブログを書いたり、SNSで海外生活の情報を発信したりするのも楽しみの一つです。自分の経験が誰かの役に立てたら嬉しいなと思いながら発信を続けています。

Camping
休日の過ごし方

Q. 最後に、これからニュージーランドでマーケターとして働きたいと考えている方に向けて、アドバイスやメッセージをお願いします。

「海外で働く」と聞くとハードルが高く感じるかもしれませんが、一歩ずつ準備をしていけば、決して不可能なことではありません。私も最初は「本当に仕事が見つかるのかな?」と不安でしたが、自分の強みを見つけて丁寧にアピールすることで、道が開けました。

特別な資格がなくても、日本で積み上げた経験や姿勢はきっとどこかで活かされます。マーケティングの世界は変化が早い分、新しいスキルやツールに対して柔軟に学ぶ姿勢があれば、年齢や国籍に関係なくチャンスがあると思います。

現地のネットワーキングイベントに出てみたり、履歴書を磨いたり、まずは「行動してみること」が大事だと思います。すぐに仕事が見つからない場合も、ボランティアでマーケの業務をして実績を積んだり、インターンをしてみたり、コースを受けるなどできることはたくさんあるので、色んな手段でコツコツと実績を積んでいくのもいいと思います。

もし迷っている方がいたら、「挑戦してみたい」という気持ちをぜひ大切にしてほしいです!


マーケターYukiさん


マーケター/【Auckland】
Yukiさん

2023年よりニュージーランド在住。日本では外資系企業でデジタルマーケティングを担当し、広告運用やコンテンツ制作、カスタマーサクセスなどに従事。現在はオークランドを拠点に、海外向け広告の運用や日本市場のマーケティング支援を行っています。
週末は自然の中で過ごすことが多く、ニュージーランドならではのライフスタイルを満喫中。ブログやSNSを通じて、海外生活・キャリア・移住に関するリアルな情報を発信しています。
[Web] https://lifeacrossborders.net/
[Pinterest] https://nz.pinterest.com/lifeacrossborders/
[IG] https://www.instagram.com/yuki_life_nz/
[TikTok] https://www.tiktok.com/@yukiko_life

取材・編集 GekkanNZ

この記事の内容は個人の過去の体験談です。必要な場合は、最新の情報をご確認ください。

タイトルとURLをコピーしました