秋は、「実りの秋、食欲の秋」とも言われ、食べ物が美味しく、ついついお酒も増えがちです。こうした生活習慣の変化は、知らないうちに心臓へ負担をかけることもあります。
作業療法士は、その人がその人らしく、安全で活発な生活を送れるよう、日常生活の過ごし方を提案する専門家です。
日本では、iPS細胞(人工多能性幹細胞)による心不全治療用の心筋シートが世界で初めて市販化されます。今回は、心不全と診断されている方や、心臓に違和感のある高齢者が健康な状態を維持するために、日常生活で注意したいポイントをご紹介いたします。
心不全の症状
心臓は全身に血液を送るポンプの役割を担っています。そのため、全身に血液が十分に送り出せない低心拍症状(血圧低下、易疲労性、倦怠感、手足の冷感)と、身体に血液が溜まるうっ血症状(呼吸困難、息切れ、夜間の咳、体重増加、足のむくみなど)が現れることがあります。
心当たりのある方は注意しましょう。
健康に過ごすためのポイント
睡眠について
横になると息苦しい、座ると楽になる
風邪ではないのに夜間の咳が続き、眠れない
※このような症状がある場合は、無理せず医療機関へ相談しましょう。
食事について
バランスの良い食事を心がける。
(肉や魚、野菜、主食となる米・パン・麺類などを組み合わせて)
塩分はできれば1日6gまでを目安に。(少ないほど良い)
お酒は、1日あたりアルコール20gまで
(目安:ビール500ml、またはワインならグラス1杯程度)
排泄について
排便時にいきまない。(いきみは血圧を上げ、心臓に負担がかかる)
便秘に注意する。(秋ならフィジョアなど、食物繊維の多い果物で便通を整える)
更衣について
寒暖差に対応するため、調節しやすい服装を心掛ける。
汗をかいたら、すぐに着替える。
整容(身だしなみ)・入浴について
手洗いや歯磨きの習慣を大切にする(口から菌は入りやすい)。
熱いお湯でシャワーをしない(お湯の温度は40~41度)。
湯船に入る場合は、みぞおちの高さまで。
運動について
散歩や自転車、リズミカルな体操といった有酸素運動がおすすめ。
運動強度は、軽く汗ばむ、軽く息がはずむ程度が望ましい。
運動時間は、1回あたり10~30分、軽めの運動を週3日以上が目標。
ストレスについて
心配なことは抱え込まず、話しやすい人に相談する。
疲れを感じたら、大きく息を吐いて肩の力を抜く。
食欲が落ちたら、心の不調のサインだと認識する。
鏡を見て自分の表情を客観視し、笑顔の練習をする。
これらのポイントは、日本だけでなくニュージーランドで暮らす方にも役立つ日常生活の工夫です。日々の生活習慣を少し見直すことで、心臓の健康を守ることにつながります。
参考:一般社団法人 日本心不全学会『心不全手帳 第3版』

目白大学保健医療学部作業療法学科教授
花房 謙一
認定作業療法士 保健学博士(神戸大学)
奈良県心身障害者リハビリテーションセンター、大阪大学医学部附属病院、市立吹田市民病院リハビリテーション科参事を経て現職。現在も教員の仕事以外に、湘南鎌倉総合病院リハビリテーション科に非常勤勤務。
目白大学WEBサイト:https://www.mejiro.ac.jp
