資産運用を始めるとき、多くの人が気にするのが「損をしたくない」という不安ではないでしょうか。投資にリスクはつきものですが、そのリスクをコントロールすることでその不安の解消に繋がります。その投資手法のひとつが「分散投資」です。分散投資とは、資産を一つに集中させず、複数の要素に分けて持つことで、値下がりリスクを軽減する方法です。今回は、リスクを抑えるために重要な「3つの分散」についてにわかりやすく解説します。
① アセットクラスの分散
(資産の種類を分ける)
投資対象は株式だけではありません。債券、不動産、金(ゴールド)、現金など、さまざまな資産があります。たとえば、株式市場が暴落しても、債券は比較的安定していることが多いです。異なるアセットクラスは値動きのタイミングや要因が異なるため、一つの資産が下がっても他の資産でカバーできる可能性があります。
まず「株式+債券」など、2〜3種類の資産を組み合わせた運用を検討するのがよいでしょう。バランス型投資信託やロボアドバイザーでも、アセット分散が自動で行われています。またニュージーランドでは退職貯蓄制度であるKiwiSaverファンドがあり運用ファンドは一般的に複数の資産クラスや地域(ニュージーランド以外の地域)に分散して投資されています。
② 地域の分散
(国・地域を分ける)
一つの国だけに投資していると、投資対象国の経済の影響を大きく受けます。たとえば、通貨安や政治不安、自然災害などが起きた場合、株式市場全体が下落するリスクがあります。一方で、他国の市場は必ずしも同じ動きをしない場合があります。
世界経済はグローバル化が進んでおり、各国に成長のチャンスがあります。たとえば、米国のハイテク株、東南アジアのインフラ関連株など、地域ごとの強みを活かす投資も可能です。2025年後半のニュージーランド経済は金利の引き下げや輸出の回復を背景に徐々に回復基調に入ると予想されています。経済成長が期待できる国にバランスよく投資することが重要になります。
③ 時間の分散
(購入タイミングを分ける)
一括で全額を投資すると、タイミングが悪いときには損失が大きくなることがあります。たとえば、投資後すぐに相場が下落した場合、一時的に含み損が出る可能性があります。
その対策が「時間の分散」です。たとえば、毎月一定額を積み立てて投資する「ドルコスト平均法」は、買う時期を分散する代表的な方法です。価格が高いときは少しだけ、安いときは多く買えるので、平均購入価格を抑えることができます。投資信託などの積立投資に向いています。
まとめ
資産運用にリスクはつきものですが、「アセットの分散」「地域の分散」「時間の分散」という3つの考え方を取り入れることで、大きな損失を防ぐことができます。まずは少額から始め、複数の投資先にバランスよく資金を振り分けていくことが、着実な資産形成への第一歩です。投資に正解はありませんが、分散はすべての投資家にとっての「リスク管理の基本」となります。ぜひ、この考え方を意識して、長期的な視野で運用を始めてみてください。


池口健一郎
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