日本とはここが違う!ニュージーランドの教育制度 ①概要/就学前教育/初等教育

日本とはここが違う!ニュージーランドの教育制度 EDUCATION

ニュージーランドで子育てするうえで戸惑うことのひとつが教育制度。
日本とはシステムが異なり、将来を見据えたさまざまな体験学習プログラムも存在する。
就学前から初等、中等、高等まで、この国の教育についてご紹介しよう。

ニュージーランドの教育の概要

ニュージーランドの法律により、外国人児童を除くニュージーランドの児童・生徒は、5歳の誕生日から19歳の誕生日後の1月1日までの期間、公立学校に入学して無償で教育を受ける権利を持っている。学年はYearで示され、5歳(Year1)になると小学校(Primary School)に入学できるが、義務教育期間は6歳(Year2)から16歳(Year11)まで。大学など高等教育機関へ進む場合は基本的に高校の最終学年Year13まで在籍し、進学のための必須単位(Credit)を取得して大学入学資格(UE=University Entrance)を得る必要がある。

ニュージーランドと日本の教育制度比較

ニュージーランドと日本の教育制度比較

就学前教育(Early Childhood Education/ECE)

ECEは0~6歳の児童のための教育システム。教育・保育センター(Education and Care Centre/デイケアやプリスクールなど)、家庭での預かり保育(Home-based)、幼稚園(Kindergarten)、プレイセンター(Play Centre)、マオリ児童向けのテ・コハンガ・レオ(Te Kōhanga Reo)など、全国に合計約5000の施設がある。そのなかで最も数が多いのが教育・保育センターで、全体の6割を占める。児童教育有資格者を配置する割合は施設の種類によって異なり、教育・保育センターでは少なくとも職員の50%が有資格者でなければならない。

ECEは義務ではないが、児童の好奇心と自信を育み、その後の学校教育を円滑にスタートできるよう、政府が推奨している。ニュージーランドの就学前児童の96.8%が何らかのECEを受けているという統計もある。

ECEは週12~30時間が望ましいとされ、15時間未満ではあまり効果がないという。施設は私立またはコミュニティによって運営されており、費用は自己負担。ただし3~5歳児のECEに関しては、政府から週当たり最初の20時間まで費用を補助してもらえる。ニュージーランドの市民権または永住権保持者は必要に応じて政府から助成金(Childcare Subsidy)を受けることも可能。

© ChristchurchNZ Ltd

初等教育(Primary Education)

初等教育の概要

日本の小・中学校に当たる初等教育はYear 1からYear 8の8年間。学校自体は小学校(Year 1~6/Primary School)と中学校(Year 7~8/Intermediate School)に分かれていることが多いが、小中一貫校のフルプライマリースクールも存在する。

5歳の誕生日からYear 1に入学が可能で、学年度末だったとしても次年度まで就学を待つ必要はない。ただし入学月によってはYear 1ではなくYear 0でスタートし、次年度からYear 1に上がる場合もある。

また、スクールターム(学期)の途中での入学が不可な学校もあるので要チェック。なお、このように入学日が児童によってまちまちなため、日本のような入学式は行われない。

初等教育機関の種類

ほとんどの学校が政府予算で運営されている公立校で、教育省が策定したナショナル・カリキュラムに沿って教育を行う。学区(ゾーン)が定められており、児童は居住地の学区内にある学校に通う。公立校の場合、授業料は無料だが、寄付金や建物の管理費などが求められる。ほかに課外授業の費用も別途支払う。

公立校では英語とマオリ語のどちらかで教育を受ける選択肢があり、英語の学校ではニュージーランドの教育カリキュラムが、マオリ語の学校ではテ・マラウタンガ・オ・アオテアロア(Te Marautanga o Aotearoa/マオリの哲学をベースとする教育カリキュラム)が採用されている。

公立校以外に私立校もあり、こちらは授業料が必要。私立校は先述のナショナル・カリキュラムに従う必要はないが、同等の教育プログラムを提供しなければならない。

ほかに、インテグレーテッド(Integrated)と呼ばれる学校もある。インテグレーテッドとは運営は公立だが、施設は学校の資産であるといった公立と私立のハイブリッド校。一般的な公立校には宗教色はないが、インテグレーテッドはそれぞれ宗教(カトリックなど)や哲学を有している。そのため、公立校にはない宗教学の授業を設けている学校も少なくない。

スクールターム

ニュージーランドの初等・中等教育は4学期制。1月末~2月初めに新学年がスタートし、12月上旬~中旬に終了する。それぞれの学期(ターム)は約10週間。1~3学期の間には2週間程度のスクールホリデーが設けられ、4学期終了後は約1カ月半~2カ月の夏休みがある。1学期の開始日と4学期の終了日は学校や学年によって異なるので学校に確認を。

<2025年のスクールターム>

Term開始日終了日
11月27日(月)~2月7日(金)4月11日(金)
24月28日(月)6月27日(金)
37月14日(月)9月19日(金)
410月6日(月)12月19日(金)

<2026年のスクールターム>

Term開始日終了日
11月26日(月)~2月9日(金)4月2日(木)
24月20日(月)7月3日(金)
37月20日(月)9月25日(金)
410月12日(月)12月18日(金)

時間割

多くの学校は8時30~45分頃に始まり、14時30分~15時頃に終了する。学校・学年によって多少異なるが、基本的な時間割は以下のとおり。

<時間割の例>※Albany Primary Schoolの場合

8:30登校
8:55授業開始
10:30~11:00モーニングティーブレイク
12:40~12:50ランチ
12:50~13:25昼休み
13:25~13:30午後の授業の準備
14:50授業終了
14:55下校

ナショナル・カリキュラムの特徴

ナショナル・カリキュラムの理念は、自信に満ち、人々とのつながりを大切にしながら積極的に活動し、生涯にわたる学習者となる若者を育むこと。児童・生徒に大切にするよう推奨される価値観として、①卓越性、②革新・探究心・好奇心、③多様性、④公平性、⑤コミュニティと参加、⑥生態系の持続可能性、⑦誠実さ、
⑧尊重を掲げている。

身に付けるべき5つの能力は、①考えること、②言語、シンボル・テキストを使用する、③自己管理、④他者とのかかわり、⑤参加と貢献。

学習分野は、①英語、②美術、③保健体育、④言語学習、⑤数学と統計、⑥理科(科学)、⑦社会科学、⑧技術の8つ。

授業の進め方

ニュージーランドの初等教育では日本のような教科書は使用せず、各教師がプリントを配ったり、ホワイトボードを使ったりして進められる。また、日本と同様に、授業や宿題の際にタブレットやラップトップも使用する。学習プログラムはナショナル・カリキュラムに沿っているが、具体的な授業内容は教師の裁量で自由に変えられる。また、プレゼンテーションやグループワークが多く、一人ひとりが自主的に考える学習法に重点が置かれている。

© ChristchurchNZ Ltd

タイトルとURLをコピーしました