新年のごあいさつ ー 駐ニュージーランド特命全権大使 伊藤 康一

新年のご挨拶 駐ニュージーランド特命全権大使 伊藤 康一IMMIGRATION
駐ニュージーランド
特命全権大使 伊藤氏

新年明けましておめでとうございます。本年が皆様にとりまして良い年となるよう、心よりお祈り申し上げます。

昨年、令和5年は、様々な分野での交流が活発に行われ、本格的にポストコロナの時代が訪れたことを実感できる一年でした。外交・安全保障面では、2月にマフタ外務大臣が訪日して外相会談が行われ、6月に浜田防衛大臣とリトル国防大臣が日ニュージーランド間の防衛協力に関する意図表明文書に署名、7月のNATO首脳会合の機会には岸田総理大臣とヒプキンス首相との間で首脳会談が行われました。いずれも自由、民主主義、法の支配、人権などの基本的価値を共有する「戦略的協力パートナー」である両国の協力関係の深化、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた連携の強化など、日ニュージーランド間のハイレベルの対話を深める重要な機会でした。

駐ニュージーランド
特命全権大使 伊藤氏

スポーツ・文化面では、7月のFIFA女子W杯でのなでしこジャパンの活躍はニュージーランドの人々に好印象を与えましたし、両国間で最初の姉妹都市提携であるクライストチャーチ市と岡山県倉敷市は50周年祝賀行事を行いました。このほかにも、日本武道館主催の武道文化交流事業、3年ぶりの開催で大盛況となった11月のハット・ジャパン・デーなど、多くの交流事業があり、日本とニュージーランドの間の友情と信頼が更に深まる一年であったことを大変嬉しく思います。

FIFA女子ワールドカップのサッカー女子日本代表なでしこジャパン対スペイン代表戦で、なでしこサポーターと記念写真

こうした人と人との交流により相互理解が深まることは、一国のみでの解決が困難な地球規模課題に共に立ち向かうための重要な基礎となるでしょう。この意味で、昨年、ここ何年間かパンデミックによって中止されていた行事の多くが再開され、人的往来が復活したことは明るい兆しです。2月22日にはクライストチャーチ地震12周年・十三回忌を迎え、4年ぶりにご遺族が日本から来訪することができ、この地で亡くなった親族に手を合わされました。私も追悼式に出席し、亡くなられた方々の遺志を継いで両国の交流に取り組む思いを新たにしました。また、同じクライストチャーチ市では、11月に日本ニュージーランド経済人会議が開催されました。ニュージーランドでの開催は5年ぶりで、両国の経済関係をリードするビジネス界の皆様の活発な交流を拝見し、両国間のビジネスが再活性化されていることを強く感じました。

私は、日本とニュージーランドの関係を進める現在の仕事に就いてからの3年間、ニュージーランド各地を訪れる機会をできるだけ多く作り、各分野で両国の関係強化に尽力されている皆様のお話を伺い、その活動を支援することに意を用いてきました。日本大使館としては、引き続き在留邦人や日本企業の皆様、ニュージーランドの方々のご意見に耳を傾けて参ります。昨年10月の総選挙を経て誕生した新しい連立政権と良好な関係を構築し、ニュージーランド政府と引き続き緊密に連携し、日本とニュージーランドの関係が一層強固なものになるよう努めていく所存です。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

第54回NZ議会開会式にて、シンディ・キロ総督に挨拶

総督:ニュージーランドの国家元首であるイギリス国王に任命され、その名代として、ニュージーランドの首相・閣僚の任命、議会で承認された法案の裁可などを行う。

2024年1月号掲載