ニュージーランドで活躍するアスリートたち ー 米戸勇人さん

ニュージーランドで活躍するアスリートたち acific Games 2023 100m, 200m  ニュージーランド代表 米戸勇人さんSPORTS

陸上競技は、そばにいて共に成長する相棒のようなもの。Southlandの100m、200m最高記録保持者で、今年11月〜12月にソロモン諸島で行われるパシフィック・ゲームズにニュージーランド代表として出場する米戸さんは、そう語る。夢の実現に向けてひたむきに練習に励んできた米戸さんを応援しよう。

Q.陸上競技を始めたきっかけはなんですか?

 小学生のころから足は速い方ではあったにもかかわらず、一度も学校で1位になれなかったことです。いつも4位か5位だったのが悔しく、高校3年生の時に本格的に陸上の練習を始めました。小さい時から続けていたサッカーに活かせるスピードを身につけたかったという理由もあります。結局陸上一本にしましたが、高校5年生でやっと1位をとることができました。

2023年ブリズベンでのオーストラリア選手権にて、桐生祥秀選手とレース。(左が桐生選手、中央が米戸さん)

Q.これまでの主な戦績を教えてください。

2019年に100mを始めて、1年目で10秒97を出し、Southland Secondary Schools RecordとU18 Recordを記録しました。高校最後の年には200mで全国高校陸上大会で7位に入賞。クイーンズタウンには短距離のコーチがおらず、自分でトレーニングメニューなどを検索する自主練の日々でした。陸上を続けるため、地元クイーンズタウンからオークランドに拠点を移しましたが、怪我での不調もあり、しばらくは満足の行く結果が出せませんでした。

しかし昨シーズンに、NZで数多くの名選手を育ててきたJoe Hunterさんのもとで練習を開始すると、100m、200mともにすぐにタイムが縮み始めました。シーズン終盤では、全国大会で100m追い風参考ながら10秒62を出し、6位入賞。現在の自己記録は100m、10秒74と、200m、21秒58ですが、これは自分のクラブQueeenstown Athletic ClubのあるSouthlandの最高記録です。

その後のオーストラリア全国大会では予選で敗退してしまいましたが、元日本記録保持者の桐生祥秀選手とのレースはとてもいい経験になりましたし、自分はまだ力を発揮しきれていないと感じました。このシーズンの結果がNZ代表への切符を得るきっかけになりました。

Q.米戸さんにとって陸上競技はどんな存在でしょうか?

陸上競技は、人生そのものであり、そばにいて共に成長する相棒のようなものです。これからの自分がどんなタイムを出し、どんな人たちとレースができるかを想像するとワクワクしますし、自分がどこまで成長できるかを試したいと思っています。

同選手権予選スタート風景。 中央が米戸さん。

Q.11月~12月にソロモン諸島で開催されるパシフィック・ゲームズにNZ代表として出場されます。大会に向けての思いを教えてください。

僕は日本人ですが、NZで生まれ育ったので、ずっとNZの代表になりたいと思っていました。パシフィック・ゲームズの代表に選出された時は、今までの努力が報われた気がしました。この大会は、自分が初めてNZ代表ユニフォームに袖を通す大会で、夢を実現する大会です。この大会で結果を残すために一生懸命練習してきたので、大会では全力を出し切り、自己記録でメダルを持って帰りたいと思います。

Q.大会への出場は自費だと伺いました。

NZの陸上選手は、ほぼ自費で大会に臨まなければなりません。パシフィック・ゲームズも、移動、宿泊、選手村滞在、大会費用を自費で賄う必要がありますが、まだ学生である自分にとっては非常に厳しいです。

そこで、Givealittleというファンドレイシングサイトで寄付を募集しております。大会には$5,500が必要ですが、僕の活動を応援して下さっている皆さんよりすでに$3,300のご寄付を頂いています。本当にありがとうございます。残りあと$2,200必要で、現在も寄付を受付中です。これを読んで下さっている読者の皆さんにもご協力いただければとてもありがたいです。

寄付の詳細は下記をご覧ください。僕の夢を実現する大会への応援をよろしくお願いします。

米戸勇人さん Hayato Yoneto

クイーンズタウン出身、22歳。2022年オークランド大学スポーツ科学科卒業。幼少期から高校までサッカー一筋だったが、速くなりたいがために陸上を本格的に練習。17歳で初めて100m、10秒台を出し、2022年に自己最高の100m、10秒74を記録。2023年のパシフィック・ゲームズ100m、200m、4x100mリレーのNZ代表に選出。現在はBirkenhead United Football Clubでストレングス&コンディショニングコーチをしながら、AUT でPostgraduate Certificate in Sport, Exercise and Healthを取得中。選手でありながら選手をトレーニングでサポートしている。自己記録:100m、10秒74。200m、21秒58。

【instagram】hayatoyoneto

2023年11月号掲載
Text: Sayaka Mori