NZ議会、子どものSNS規制を検討
ニュージーランド議会の教育・労働委員会(education and workforce committee)は、子どもをSNSの害から守るため、SNS規制検討を政府に求める中間報告書を公開した。主なポイントは、16歳未満のSNSアクセス制限の是非の検討、企業のコンプライアンス監視や保護者の苦情に対応する規制当局の設置、アルコール、タバコ、ギャンブル等の18歳未満向けオンライン広告の規制、性的画像生成などに悪用されるツールの規制、有害コンテンツやアルゴリズムに対するプラットフォーム側の法的責任の明確化など。子どものSNS規制には政府内でも賛否両論があるが、ニュージーランドは現在、関連する法整備や規制当局が存在しない空白の状態だ。今後、先行して16歳未満のSNS禁止を導入したオーストラリアの事例を参考にしつつ、規制措置そのものよりも企業の行動変容を促す仕組み作りを模索することになる。
最低賃金2%引き上げ:来年4月から
ニュージーランド政府は、2025年4月より法定最低賃金を現行の時給23.50ドルから23.95ドルへ2%引き上げることを発表した。この改定は約122,500人の労働者に影響を与える。職場関係・安全担当相(Workplace Relations Minister)のブルック・ファン・フェルデン(Brooke van Velden)氏は、今回の引き上げを「生活費の維持とビジネス運営コストへの圧力回避のバランスをとった、責任ある中道的なアプローチ」と説明。2026年半ばまでにインフレ率が2%程度に落ち着くとの予測を背景に、雇用喪失のリスクを最小限に抑えつつ、低所得者の実質所得を維持することを目指している。特に若年層、女性、マオリ、そして観光や接客業などのセクターに従事する労働者が影響を受ける見通しだ。野党からは、インフレ率を下回る引き上げは実質的な賃下げであり、この程度の増額では物価高騰に追いつかないとの批判もある。
ボンダイ・ビーチ銃撃事件:オークランドで反ユダヤ主義抗議デモ
12月14日のオーストラリア・シドニー近郊のボンダイ・ビーチで発生したハヌカ(ユダヤ教の祭事)への銃撃事件を受け、ニュージーランド首相のクリストファー・ラクソン(Christpher Luxon)氏は、ボンダイの悲惨な光景に衝撃を受けていると述べ、国内のユダヤ人が安心して過ごせるよう全力を尽くすと再確認した。ウェリントンのホロコースト・センターやユダヤ人学校など、宗教・教育施設には武装警官が配置され、警備にあたった。オークランドでは21日、アオテア・スクエアに約200人が集まり、反ユダヤ主義に抗議する集会「Kiwis Against Anti-Semitism」が開催された。主催者たちは、世界中のユダヤ人が社会正義の名を借りた嫌がらせや暴力に直面していると指摘。国内で高まる反ユダヤ主義に対し、政府や政治家、メディア、アカデミアが毅然と対抗できていないと強く非難した。
世論調査:労働党が支持率8ポイントリードも、与野党共に過半数届かず
最新の「The Post/Freshwater Strategy」による世論調査結果が発表され、政党支持率において労働党(Labour)が国民党(National)を8ポイント上回った。主要各党の支持率は、労働党が38%(前回10月調査より4ポイント上昇)、国民党が30%(同1ポイント下落)、NZファースト党(New Zealand First)が9%、ACT党が8%、緑の党(The Greens)が8%、マオリ党(Te Pāti Māori)が2%となった。この調査結果を議席数に換算すると、現連立与党(国民党・ACT・NZファースト)の合計議席は59議席にとどまる。政権を維持するために必要な過半数(通常61議席)に届かず、与野党いずれの陣営も単独あるいは既存の枠組みでは統治能力を確保できないことになる。首相支持率では、労働党のヒプキンス(Hipkins)党首が45%で首位を維持、対する国民党のラクソン(Luxon)首相は前回から3ポイント上昇して39%となった。
ロケット・ラボ、米軍と約8億ドルのミサイル追跡衛星受注契約を締結
ニュージーランド発祥の宇宙企業「ロケット・ラボ(Rocket Lab)」は、次世代ミサイル追跡衛星18基を製造する8億1,600万ドルの契約を獲得した。これは同社にとって過去最大規模の契約となる。発注元は米宇宙開発局(SDA)の「追跡レイヤー・トランシュ3(Tracking Layer Tranche 3)」プログラム。主な任務は、極超音速兵器を含む高度なミサイル脅威の検知と追跡だ。自社の衛星プラットフォーム「Lightning」を基盤とし、独自の「Phoenix」赤外線センサー・ペイロードを搭載する。創設者兼CEOのピーター・ベック(Peter Beck)氏は、太陽電池、推進システム、アビオニクスなどを自社で一貫生産する「垂直統合型」の製造モデルが今回の受注の鍵になったと強調している。他社の衛星向けにもサブシステムを供給する機会があり、プログラム全体での潜在的な契約価値は合計で約10億米ドルに達する可能性がある。
社会
ニュージーランドの高校生、電子タバコ離れが加速
ニュージーランドのYear 10の生徒約3万人を対象とした最新の喫煙と健康に関する行動調査により、若者の間で電子タバコ(vape)の人気が急速に衰えていることが明らかになった。調査によると、 月1回以上vapeを利用する若者の割合は、ピークの2021年(20.2%)から半減し、毎日の利用率も2022年の10.1%から7.1%に低下した。若者の毎日の喫煙率は2021年以降、約1%と極めて低い水準を維持しており、世界的な成功例と評価されている。専門家は、2020年の18歳未満への販売を禁止する規制が功を奏したと見る一方で、過度な規制が成人喫煙者の禁煙を妨げるリスクを懸念している。また、マオリの若者の毎日利用率がいまだ16.5%と高い不平等の問題や、vapeの代わりに経口ニコチン製品へ移行している可能性も指摘されており、今後は「ニコチンフリー」の未来を目指す必要があると提言されている。
オークランドの路線バスで無差別刺傷事件、1名死亡
オークランドの路線バスでの無差別攻撃の発生で、地域社会に衝撃が広がっている。12月9日午後8時ごろ、Glen Innesを走行中の路線バス(76番系統)車内で、バスから降りようとした59歳の男性が、車内にいた乗客に突然ナイフで襲撃された。被害者は救急車で病院に運ばれたが、その後死亡が確認された。容疑者はその後、バス後方にいた別の乗客にも襲いかかったが、2番目の被害者は重傷を負いながらも、運転手や他の乗客と共にバスから逃げ出した。容疑者の36歳の男は、翌10日午後、市民からの情報提供に基づき、オークランド中心部で逮捕された。容疑者と被害者らは互いに面識がなく、襲撃は無差別に行われたと見られている。この事件を受け、オークランド交通局(AT)は警察の捜査に全面的に協力するとともに、利用者の不安を払拭するため、一部の路線に警備担当者を配置するなどの対応を急いでいる。
廃棄されたチーズが転売、当局が警告を発令
ニュージーランド食品安全局(NZFS)は、ワイカト地方の埋立地に廃棄された「Over the Moon Dairy」社のチーズが、何者かによって持ち出され不正に販売されているとして、強い警告を発している。製造元が販売不適格と判断し、プタルル(Putāruru)の埋立地に廃棄したチーズが12月21日にワイカト(Waikato town)内で販売されているのが見つかった。廃棄後は製品の適切な温度管理や衛生管理が行われておらず、汚染の危険性が極めて高いため、当局は「絶対に食べないように」と呼びかけている。対象製品は同社のカマンベール、ブリー、ハルーミなど多岐にわたり、バッチ番号「18.11.25」「25.11.25」「26.11.25」が該当する。12月22日現在、健康被害の報告はない。なお、同社の正規販売店や登録済みのファーマーズマーケットで購入した製品については、対象のバッチ番号でなければ安全である。
生活
「今年のNZ人」セミファイナリスト発表
ニュージーランド人の功績を称える賞「今年のニュージーランド人(Kiwibank New Zealander of the Year)」のセミファイナリストが発表された。セミファイナリストは、数千件に及ぶ一般からの推薦の中から「Go Media Young New Zealander of the Year」「Ryman Healthcare Senior New Zealander of the Year」「2degrees New Zealand Innovator of the Year」「New Zealand Sustainability Leader of the Year」「Mitre 10 New Zealand Community of the Year」「Tower New Zealand Local Hero of the Year」「Fisher Funds New Zealand Legacy Award」の各カテゴリーのトップ10人で、審査員団により選出された。特に過去12カ月でニュージーランドの発展を牽引するリーダーシップを発揮し、信頼を獲得した人物を決定する。上位3名の決勝進出者は、2026年2月26日に発表され、授賞式は同3月19日に行われる予定だ。
気候変動によりNZの氷河のほぼすべてが消失する可能性
学術誌『Nature Climate Change』に掲載された最新の研究により、地球温暖化が現在のペースで進んだ場合、ニュージーランドにある約3,300の氷河のほとんどが今世紀末までに完全に消失する可能性があることが判明した。研究によると、世界の気温が産業革命前より2.7度上昇した場合、NZの氷河の87%が消失する。消失のピークは2035年から2052年と予測され、年間50以上の氷河が失われる計算だ。実際に国内で、数km単位で後退したり、薄くなって崩壊し始めている氷河が観察されている。氷河の融解は、海面を押し上げ、夏季の重要な水源を奪ったり、大雨が即座に洪水や増水に繋がったりする恐れがある。氷河ハイキングや登山などの観光資源の消失による観光面での経済損失も大きい。研究者は、パリ協定の1.5度目標を守ることで救える氷河の数は倍増すると指摘し、政府の消極的な姿勢に警鐘を鳴らしている。
NZから移住のアジアゾウの赤ちゃん死産、豪動物園が発表
ニュージーランドのオークランド動物園(Auckland Zoo)から、繁殖を目的として2022年にオーストラリアのタロンガ・ウエスタン・プレーンズ動物園(Taronga Western Plains Zoo)へ移住したメスのアジアゾウ「アンジャリー」の赤ちゃんが死産だったことが明らかになった。アンジャリーの出産が始まったのは18日で、飼育員らが懸命にサポートしたものの、赤ちゃん象は残念ながら亡くなった状態で誕生した。出産後のアンジャリーの体調は安定しており、群れの他のメスたちが彼女のそばに寄り添い、支え続けているという。アジアゾウは絶滅危惧種に指定されており、野生での生息数はわずか4万頭ほど。今回の死産は、種の保存と保護活動の難しさを改めて浮き彫りにした。動物園側は絶滅危惧種を守り続けるという使命は変わらないと述べ、今後も継続的な保護活動に尽力する意向を表明している。
2025年クリスマス前のNZ小売支出:回復傾向も前年比では減少
決済ネットワーク大手Worldline NZのデータによると、12月第3週の小売支出は前週より大幅に増加したものの、クリスマス商戦全体としては前年水準を下回っていることが判明した。12月1日から21日までの総支出額は32億2,300万NZドル。季節的な盛り上がりは見られるものの、2024年の同時期と比較して1.3%減少した。食料品や酒類への支出は増加傾向にあり、クリスマス直前にピークを迎える見込みだが、ホスピタリティ部門はピーク時(12月20日)で前年比3.8%減少しており、クリスマスパーティーの規模縮小が示唆されている。家電、衣料、家具、書籍などは前年割れが続く一方、玩具、薬局、宝飾品などは前年を上回る堅調さを見せた。地域別でみると、ワンガヌイ(2.7%増)やオタゴ(1.9%増)で支出が伸びた一方、ウェリントン(4.8%減)やベイ・オブ・プレンティ(3.4%減)では大幅な落ち込みを記録した。
芸能・スポーツ
ゴルフ:日本と南太平洋地域が初の共催大会を開催へ
2026年3月5日から8日にかけて、ニュージーランドのRoyal Auckland and Grange Golf Clubにて、The PGA Tour of Australasiaと日本ゴルフツアー機構(JGTO)が初めて共同主催する新大会「ISPSハンダ日本・オーストラレーシア選手権(ISPS Handa Japan-Australasia Championship)」が開催される。賞金総額は120万豪ドル。両ツアーの提携を強化し、選手に国際的な舞台を提供することを目的としている。この新大会の追加により、2月の「ニュージーランドPGA選手権(New Zealand PGA Championship)」、それに続く「ニュージーランド・オープン(New Zealand Open)」と合わせ、ニュージーランド国内で3週間にわたるプロゴルフの連続開催が形成されることになる。オークランドで主要な男子プロトーナメントが開催されるのは20年ぶりであり、会場となるゴルフコースにとっても歴史的な瞬間となる。
2025年に最も視聴されたTV番組は
今年のニュージーランド人のテレビ視聴習慣は、地上波放送とストリーミング配信で対照的な結果となった。地上波では、不動の人気1位は『1News at Six』、2位は長寿番組『Hyundai Country Calendar』で、地元ニュースと農村番組が強力な柱となっている。トップ10のうち9番組が地元制作となり、2024年の8番組からさらに増加。昨今の不動産ブームにより、住宅やリノベーションをテーマにした番組が5番組を占め、国民の強い関心を反映した。一方ストリーミングでは、トップ10の多くを海外作品が占めた。アメリカのドラマ『The Rookie』が首位、オーストラリアのアニメ『Bluey』が3位に入り、地上波で人気の不動産番組は一つもランクインしなかった。視聴者は「地元の物語や事実に基づく情報」を地上波に求め、「エンターテインメントや海外ドラマ」を配信で楽しむという、媒体による使い分けが浮き彫りになった。
第63回ハルバーグ賞:陸上とスノースポーツ勢が席巻
ニュージーランドで最も権威あるスポーツ賞「ハルバーグ賞(Halberg Awards)」の今年のファイナリストが発表された。今回は59のノミネートの中から6部門の候補が絞り込まれた。全ファイナリスト32組のうち、陸上競技とスノースポーツに関連する候補が12組を占める。主な候補者は、世界室内陸上金メダリストのジョーディ・ビーミッシュ(Geordie Beamish)やハミッシュ・カー(Hamish Kerr)、サッカーのクリス・ウッド(Chris Wood)、スノーボードのゾイ・サドウスキー=シノット(Zoi Sadowski-Synnott)、テニスのエリン・ラウトリフ(Erin Routliffe)など。授賞式は2026年2月16日にオークランドのスパーク・アリーナで開催され、各部門の勝者の中から選ばれる「最高賞(Supreme Award)」のほか、リーダーシップ賞やファン投票による「最も印象的な瞬間」も発表される予定だ。
『アバター』第3作が世界興行収入トップ、シリーズ継続に期待
ジェームズ・キャメロン監督のシリーズ第3作『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ(Avatar: Fire and Ash)』が、世界興行収入3億4,500万ドルを記録する好スタートを切っており、ホリデーシーズンにかけてさらなる動員が期待されている。キャメロン監督は、近年の映画市場が縮小し大作の製作が難しくなっている現状を踏まえ、本作が商業的に成功しなければ、第4部・第5部の製作を断念する可能性を示唆していた。好スタートにより、シリーズ完結に向けた道筋が開かれた形となる。本作はニュージーランドで撮影・制作されており、これまでに地元経済へ約11億ドルの貢献をもたらしている。2011年からNZに居住し、現在は市民権も持つキャメロン監督は、ウェリントンで行われたプレミア上映にて、デジタル視覚効果スタジオWētā FXなどの制作拠点や3,000人以上の現地スタッフの技術を高く評価している。
