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アーダーン首相辞任へ

アーダーン首相は今月7日までに首相を辞任する。4月末には議員も辞職し、今年の選挙にも立候補せず政治から退く。先月19日に出されたこの突然の発表は国内外を驚かせた。2017年の総選挙の7週間前に労働党の党首になったアーダーン氏は、魅力的な演説で劣勢を盛り返した。選挙結果は国民党に10議席及ばなかったが連立協議に勝って37歳で首相に就任。政権担当から100日のうちに大学初年度の学費無償化など公約を矢継ぎ早に実現し、現役首相で出産するなど注目を集めた。モスク銃撃事件や新型コロナ対策で見せた強いリーダーシップと共感力は国内外で称賛され、2020年の総選挙では歴史的な大勝をした。しかし、昨年後半からは支持率が低下していた。

炭酸ガス供給がひっ迫

ビールや清涼飲料の需要がピークを迎えるこの時期に、その製造に必須の炭酸ガスが供給不足となっている。炭酸ガスは石油精製に伴って排出される副生ガスから分離精製され、液体二酸化炭素やドライアイスとなり、飲料のほか医療や産業で広く利用されている。1962年に操業を開始した国内唯一のマースデン製油所は、エネルギー情勢の変化により昨年閉鎖された。その結果、同プラントに連結する炭酸ガス生産も終了し、国内で食品に添加できる品質の炭酸ガスの生産所は、トッドエナジーがタラナキに所有する工場に限られるようになった。その工場が安全点検のために停止したことで炭酸ガスの供給がひっ迫した。製油所の閉鎖は思わぬ副作用をもたらした。

食品価格の上昇率11%

NZ統計局は、昨年12月の食料品価格について、前年同月比で11.3%の上昇率になったと発表した。これはインフレ率の7.2%を大きく上回っている。なかでも野菜・果物の年間上昇率は23%にのぼった。肉、魚、卵にチーズからポテトチップスまで、ほとんどの品目で値上がりしている。また外食費も7.8%上昇した。その一方で平均時給は、年率7.4%上昇して37ドル86セントとなっており、インフレ率にはほぼ見合っているものの食料価格の上昇率にはとどかない。食料は日常的な支出であり、節約するにしても生活の質に影響する。また非営利的な活動に従事するNPOなどは、収入増をはかることが難しい上にコストの転嫁も簡単ではなく苦境に立たされている。

1〜2月の来訪者50万人に

ナッシュ観光大臣は、今年1月から2月にかけて47万人から53万人が海外から来訪するとの予測を示した。昨年1月の来訪者は4033人、2月は5253人しかいなかった。入国条件が段階的に緩和された3月以降は毎月2〜3万人づつ増加していたが、ついに月20万人台に乗る。それでもコロナ前の2020年夏季シーズンの半分程度だ。これに伴い観光収入やGSTの税収も増加しており、国内経済には益が多い。懸念されるのはホスピタリティ業界の人手不足と観光資源のオーバーユースだ。ナッシュ大臣は、前者については2万人を超えるワーキングホリデー入国者の就労が期待できるとし、後者については観光の持続可能性を高めるために5万4000ドルの基金を使うと述べた。

Text:Kazzy Matsuzaki 

2023年2月号掲載