ニュージーランドニュース「豪州の市民権申請が急増」ほか

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投票年齢引き下げへ?

政府は先月15日、地方選挙の投票年齢を16歳に引き下げる法案を議会に提出した。これは昨年11月に最高裁判所が、投票年齢を18歳とする現行規定は権利章典に矛盾するとの判断を示したことを受けての対応だ。国政選挙の投票年齢を変えるには、国会で4分の3以上の賛成が必要で、時間的にも今回の総選挙には間に合わない。そこで、単純過半数で可決できる地方選挙の投票年齢引き下げの法案を先行して提出した。しかし、国会の会期は残り2週間しかなく、同法案が国会の解散前に第一読会の可決を経て委員会付託までこぎつけるかは微妙だ。ニュージーランドの投票年齢は、1969年に21歳から20歳に引き下げられ、1974年から18歳に引き下げられている。

豪州の市民権申請が急増

7月1日から豪州の市民権を取得することが容易になったことにともない、40日間で1万5000人以上のニュージーランダーが豪州市民権の申請をしたことが明らかになった。ヒプキンス首相とアルバニーズ豪首相が今年初めに合意した新たな枠組みでは、豪州に少なくとも4年間居住したニュージーランド人は、豪州市民権の前提となる永住権申請をスキップして市民権を申請できるようになった。豪州への移住は以前からある人材流出の典型だが、コロナ禍で落ち着いていた。それが市民権取得が容易になったことで、またブームを迎えそうだ。一方、昨年からの入国緩和で海外からの転入者は7万人を超えており「国内人材の国籍の入れ替わり」が進行している。

地方議会とマオリ議席

オークランド市議会は、次の地方選挙でマオリ議席や選挙区を導入するかどうかを検討中だ。先月21日から広聴手続きが開始され、今月24日まで意見を受け付ける。その後、寄せられた意見を吟味し参考にして10月の市議会で決定するとしている。オークランド市議会の定数は20だが、マオリ選挙区やマオリ議席はない。全国にある78地方自治体のうちマオリ議員を選出する仕組みを有するのは35議会。そのほとんどが北島の小都市で、大都市は首都のウェリントンのみ、南島ではマールボロとネルソンの2自治体だけだ。オークランドの人口約170万人のうち11%強がマオリであり、国内のマオリの22%が住んでいる。この問題について、市民の賛否は分かれている。

ミルフォード道路規制検討

観光名所として世界に名高いミルフォードサウンドへのアクセスが制限されるかもしれない。持続可能な観光のあり方とミルフォード道路の安全性を考慮し、外国人の車の乗り入れ規制を含めた方策が検討されている。2012年に43万7000人だったミルフォードサウンドへの来訪者数は、6年後の2018年には88万3000人に倍増した。その多くがクイーンズタウンなどからの日帰り客だ。1日に2500台以上の車がミルフォードサウンド域内に入るが、そのうちバスは1割以下に過ぎない。ミルフォード道路は落石や雪崩や洪水が発生しやすく、国道のリスク評価が3番目に高い。手前に駐車場を作り電気バスで送迎する方法が一般的だが、外国人に限定するには法改正が必要だ。

Text:Kazzy Matsuzaki 

2023年9月号掲載