ニュージーランドニュース「ワーホリ拡大とビザ延長」ほか

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2022年9月号掲載

ウクライナに増援120人

政府はウクライナ軍支援のために、さらに120人の部隊を英国に派遣する。駐留期間は11月末までの予定。すでに今年5月から派遣されている30人の部隊は、ウクライナ軍に砲火器の訓練を行った。またドイツやベルギーにもニュージーランド軍が駐留して物資の調整や諜報活動に従事しており、この120人の増員によってウクライナ支援のために派遣中のニュージーランド軍の兵員は224人となる。これは一度に駐留する数としてイラクやアフガニスタンへの派遣を上回り、過去数十年で最大規模のものだ。ニュージーランド軍は、45億ドルを投じて防衛力の増強をはかっている。その一方、昨年の調査では陸軍兵員の3割が待遇に不満で離職希望との結果が出ている。

ポリテクを1つに統合

国内にあるポリテクなど16の職業教育機関が一つに統合され「テ・プーケンガ」という大組織が来年1月に発足する。昨年の入学者の合計が約13万人で、大学よりも身近な高卒後の進路であるポリテクは、専門知識と実践的な訓練により、看護師や技師、職人、ホスピタリティなど多様な職業に人材を供給してきた。政府が2019年にこの統合を決定したのは、赤字体質の改善が主目的であった。ポリテクの在学者は、不況時に増え好況時に減る傾向がある。今年は人手不足のために入学者が減り、結果として赤字は増加した。今年3月の監査では、統合の過程で主要スタッフが退職したことによるガバナンスの不足も指摘されており、統合の効果が危惧されている。

幸福度ランキング10位

国連の関係機関である持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)が発表した「世界幸福度ランキング2022」によると、ニュージーランドは昨年より順位を1つ下げ第10位となった。この調査の幸福度は、各国の国民の「主観的な幸福度」をもとに以下の6項目:①一人当たりの国内総生産(GDP)、②社会的支援の充実(社会保障制度など)、③健康寿命、④人生の選択における自由度、⑤他者への寛容さ(寄付活動など)、⑥国への信頼度、を加味して数値化されている。1位はフィンランド、2位がデンマークで、豪州は12位、英国は17位、日本は54位だった。客観指標は高い日本の低順位は、悲観的な国民性が反映していると見られ、主観調査の妥当性が問われる。

ワーホリ拡大とビザ延長

政府は深刻な人手不足の緩和策としてワーキングホリデーの期間延長や特定業種のワークビザの条件を緩和することを決定した。その内容は、今年から来年にかけてワーキングホリデーの受け入れ限度枠を拡大し、さらに1万2000人を受け入れるというものだ。今年の8月26日から来年5月31日までにビザの有効期限が到来するワーキングホリデー滞在者には、さらに6ヵ月間ビザを延長する。また外国人の就労について、介護、建設土木、食肉加工、水産加工、季節限定の観光などの業種については、期間限定で賃金の中央値より低い24〜25ドルの賃金でも就労ビザを出せるようにする。この特例措置は、業種によって人数枠や適用期間が定められている。

Text:Kazzy Matsuzaki