ニュージーランドニュース「禁煙法成立、生涯禁煙も」ほか

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温室効果ガス削減に拍車

1月1日から国内で経済的に重要な地位にある約200の事業体が気候変動対策への取り組みを報告するようになる。この活動を推進している対外報告委員会のエンブリング議長は「投資家や顧客が企業の温室効果ガス排出量などの情報をますます求めるようになった。この情報を提供することによって低排出システムへの移行に向けて資本を活用するのに役立つとともに、経営陣が環境関連のリスクを管理するための戦略を立てることを促すことにもなる」と述べた。環境省は国内の温室効果ガスの正味排出量について2035年までに4分の1を削減できると予測する。そのためには事業体や個人が削減の努力を続けるとともに植林などの増加が必要だとしている。

マオリ祝詞の是非で紛糾

ノースランドにあるカイパラ地方議会で、開会冒頭にマオリの議員が カラキア (祈り)を唱えようとしたのを、市長が政教分離を理由に制止した。カラキアは日本の神道の祝詞のようなもので、ニュージーランドでは式典などの冒頭に慣習的に唱えられることが多い。カラキアを制止された議員は承服できず再三試みたが、それも制止された。このことはワイタンギ条約に基づくマオリの尊重に反するとしてマオリ活動家らの怒りを買い、抗議行動が起こった。人口2万7千ほどのカイパラの目抜き通りでは数百人のデモが行われ、ジェプソン市長の辞任を求める声も上がった。同議会ではその後、カラキアを認める動議が提出されたが、否決されている。

悪口を転じて福となす

アーダーン首相は先月、国会でACT党のシーモア代表の厳しい質問に答弁し、着席後に「生意気な野郎め」とつぶやいた。 独り言のつもりだったが、マイクがオフになっておらず国会テレビで放映され会議録にも記録された。 アーダーン首相はシーモア代表にこの発言を謝罪した。シーモア代表は謝罪を受け入れた上で、その議事録を額装して首相に共に署名することを提案し、その額装を前立腺癌基金への募金のためにオークションに出品した。出品から2日でトレードミーでの競り値は4万ドルを超えた。失言を糾弾せず、ユーモアで応じて慈善につなげたシーモア代表の機転は、アーダーン首相を救い、癌基金を潤した。同代表とACT党の評価は高まりそうだ。

禁煙法成立、生涯禁煙も

2009年1月1日以降に生まれた人にたばこの販売を生涯禁止する内容を含む「禁煙環境と煙草に関する修正法案」が先月13日に国会の第三読会で可決され法制化された。この法律は以下の3項目からなっている。①煙草のニコチン含有量を減らす、②現在6000ある煙草の小売業者を600に減らす、③今年14歳以下の人は18歳以上になっても煙草が生涯買えない。成人になっても煙草の購入を禁じる法律は世界でも類例がない。ニュージーランドの喫煙率(毎日)は8%で、煙草の高価格政策や禁煙キャンペーンにより10年間で半減している。法案に反対した国民党とACT党は、煙草の販売業者への配慮がないことやギャングが違法販売を資金源にすることへの危惧を表明した。

Text:Kazzy Matsuzaki 

2023年1月号掲載