困難な問題に直面する年

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 噴出する経済問題

政府は、今年の経済予測について、輸出拡大によって3%台の経済成長を維持するものの、インフレの継続、景気の後退、失業の増大など、家計が厳しくなる可能性があるとした。
インフレ下の生活支援策として昨年導入された燃油税の減免と公共交通の運賃半額は月末で廃止される。ロバートソン蔵相は、燃油税の減免のために10億ドル以上の税金が投入されており、維持できないと説明した。国民は景気後退と物価上昇に挟み撃ちにされ、さらに気候変動対策や持続可能な成長のための負担増が追い討ちをかける。特に食料品や燃油価格の高騰は生活を直撃する。貧富の差は拡大し、ホームレスや貧困問題に新たな負荷をかける。

分断する世界と相互依存 

問題は国内経済だけではない。世界もまた、政治、経済、環境、安全保障などの問題が噴出しており、分断と対立が問題の解決を複雑にしている。 1980年代に東西冷戦が終わり平和的協調が進むと思われた世界は、 2000年以降にまた対立を深め、米国を中心とした西側諸国、中露や北朝鮮など旧東側諸国、イスラム教諸国、そしてアフリカや南米など南側諸国に分断されている。ニュージーランドは、英米豪加と共に諜報協力システム「ファイブアイズ」に加盟し、太平洋島しょ国の周辺海域の安全保障を担っている。近年、その地域に中国が影響力を強めていることを警戒している。その一方、中国は一番の貿易相手国だ。政治的に相容れない国と経済的に依存する現実や、分断された世界が気候変動などの諸問題で協力を要する現実にどう対処するかが問われている。

国の方向を決める総選挙

国内外にいくつもの困難な課題を抱えながら、この国の進むべき方向を決める総選挙が今年後半に行われる。前回の2020年総選挙では歴史的な大勝をおさめたアーダーン政権だったが、昨年から労働党の支持率は徐々に低下して今は国民党に逆転されている。水道三事業法案の成立時に見せた強硬な手法や言動などによってアーダーン首相の人気にも陰りが出ている。平均8年で政権交代を起こす浮動層の支持を労働党が取り戻せるのか、それとも国民党が繋ぎ止めるのか。今年の総選挙は政権の選択がかかる選挙となりそうだ。

主要政党の支持率の推移

Text:Kazzy Matsuzaki 
2023年1月号掲載