ニュージーランドニュース「毒グモがニュージーランド全土に蔓延」ほか

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シュリンクフレーションがニュージーランドの消費に影響

ニュージーランドで「シュリンクフレーション(価格据え置きつつ内容量を縮小すること)」への批判が高まっている。実際に、以前は500グラムだった食品パックが450グラムになったり、1パックに12グラム入っていたものが10グラムになったり例が見られるが、企業が明示的に不正をしているわけではなく、表示をきちんと確認するのは消費者側の責任とも言われる。ニュージーランド消費者協会(Consumer NZ)は、この現象は違法ではないものの、消費者の家計を圧迫し信頼を損なう恐れがあるとして、企業や商業委員会(Commerce Commission)に対策を求めている。製品サイズの変更をウェブサイトや店頭で明示すべきだと主張し、フランスやオーストラリアのように、「内容量が減った商品には表示する」という対策をニュージーランドでも導入すべきだと提案している。

OCR決定:公定金利3.25%に据え置き

ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は、委員会の全会一致で、公定金利(OCR)を3.25%に据え置いた。経済学者の多くは、8月14日からの利下げ再開を予想しており、最終的には2.5%程度まで下がると見られている。RBNZは、2025年半ばにはインフレ率が目標範囲(1〜3%)の上限近くまで上昇するが、2026年初頭には約2%に戻ると予測している。住宅ローン金利は既に大きく下がっており、多くの借り手が再固定に向けて動き出している。一方で、雇用や家計への不安から消費の増加には至っておらず、経済の先行きは依然不透明である。輸出価格の上昇や低金利が経済を支えてはいるものの、世界の不確実性や貿易摩擦が成長の足かせとなる可能性もある。政府は生活費の抑制に向け、食品業界の競争促進、地方税の上昇抑制、家族支援策の充実などに取り組んでおり、物価高への対応を継続するとしている。

政府がオープンプラン教室を廃止

エリカ・スタンフォード(Erica Stanford)教育相は、学校におけるオープンプラン型教室を廃止し、柔軟性を重視した標準設計の教室に切り替える方針を発表した。これは全国の学校から「オープンプラン教室は生徒のニーズに合っていない」との強い意見を受けたもの。もともと協働を促す目的で導入されたオープンプラン型は、騒音や生徒の行動管理といった問題を生み、かえって柔軟性を損なっているという。今後建設される教室は、スライド式ガラス扉などを活用し、協働学習と集中学習の両方に対応できる仕様となる。この教室で、学習スタイルの多様性を尊重し、生徒一人ひとりの学習成果向上を目指す。政府は学力向上と教育格差の解消を最重要課題としており、学習環境の整備はその一環と位置づけられている。スタンフォード氏は、今後も現場の声を反映させた教育改革を進めると強調している。

外国人住宅購入者に対する新たな規則を示唆

クリストファー・ラクソン(Christopher Luxon)首相は、外国人の住宅購入に関する新たなルール導入を示唆した。これは移民の増加に対するウィンストン・ピーターズ(Winston Peters)外相の懸念を受けたもので、移民が購入する住宅の価格帯に関し協議している。購入条件は国籍や資金、技能ではなく、購入対象となる物件の価値に焦点を当てる方向だという。ピーターズ外相は、海外の無分別な移民政策を例に、移民政策の見直しを提案している。一方ラクソン首相は、「ニュージーランドでの住宅建設がオーストラリアより50%高いのは異常だ」と述べ、建設業界の改革も進める。プラスターボードや外壁材など国外製建築資材数千点が新たに使用許可を受け、国内の建築コスト削減が期待されている。6億ドル規模の公共建築プロジェクトが年内に着工予定であることも明かした。

社会

毒グモがニュージーランド全土に蔓延

ニュージーランドで新たに毒を持つクモnoble false widowが定着したことが確認された。このクモは世界的に侵略性の高い種として知られ、昨年ウェリントン近郊のポリルア(Porirua)で初めて発見されて以来、クライストチャーチ、ネルソン、ワイカト、ノースランドでも確認されている。通常は鉢植えの下や塀の隙間などに潜み、都市部の庭や屋外家具周辺で繁殖しているとみられる。このクモは攻撃的ではないものの、防衛のために咬むことがある。毒はクロゴケグモ(black widow)に似た成分を含み、咬まれると腫れや痛み、発赤などの症状が出る。まれに壊死や低血圧、運動障害、通常の抗生物質が効かない細菌感染に至ることもあるとされ、抗生物質耐性菌との関連が懸念されている。研究者たちは、このクモの侵入の程度を把握するため、iNaturalist NZへ目撃情報の投稿を呼びかけている。

オークランド警察官が2025年ミス・ユニバース・ニュージーランドに選出

ニュージーランドの警察官アビー・スタージン(Abby Sturgin)さんが、「ミス・ユニバース・ニュージーランド2025」に選ばれた。オークランド出身の28歳で、ニュージーランドとラオス系のルーツを持つ。3年以上にわたって現場の警察官として勤務しており、今後はこの受賞をきっかけに家庭内暴力など自身が重要視する社会問題への意識を高めたいと語っている。警察の声明では、「美しさと知性、努力は両立できる」との考えを広めたいという彼女の想いが紹介されている。SNSでは「本物のボンドガールだ」「美しさと職務の両立は素晴らしい」と称賛の声が多数寄せられた。スタージンさんは18歳で初めて出場した大会で自己肯定感を得たことが転機となり、2年後にはミス・アース・ニュージーランドにも選ばれた。2025年11月にタイで開催される第74回ミス・ユニバース世界大会に出場予定だ。

オーストラリアへ出国するニュージーランド人過去13年で最多

2024年にニュージーランドからオーストラリアへ移住した人数が47,300人に達し、流入を差し引いた純移住損失は30,000人と、2012年以来最大となった。この傾向は2023年とほぼ同水準で、2004~2013年に平均して毎年30,000人が純減していた水準に戻っている。2025年5月までの1年間では、出国者が過去最多の124,500人に達し、前年同月比で14%増加。一方、移住者の流入は139,400人で26%減少し、純移住増は14,800人にとどまった。エコノミストによると、移住流入の鈍化は経済の停滞や消費需要、住宅市場の低調につながっており、今後の金利引き下げの一因になる可能性があると分析されている。一方で、海外からの観光客は2025年5月時点でコロナ前の87%に回復し、年間約337万人が訪問。しかし伸びは鈍化傾向にあり、観光業のさらなる成長には課題が残っていると指摘されている。

オークランドのトップ校がケンブリッジ国際試験を導入

オークランドのエプソム・ガールズ・グラマー校(Epsom Girls Grammar School)は、2026年からケンブリッジ国際試験(Cambridge International Examinations)を導入すると発表した。これは、NCEA(ニュージーランド全国統一試験)に対する保護者の不信感や、学力の厳格さに欠けるという懸念からの強い要望に応じたもので、他の名門校にも同様の圧力が高まっていいる。2024年にはNCEAレベル1の不合格率が30%に達し、低所得地域の生徒の半数以上が「Literacy(読み書き)」の科目で不合格だったという。11年生のうち約3万人がNCEAを受験しなかったとの報告もある。NCEAの不信と脱却を問題視する声がある一方で、成功例も存在し、今後の改善と信頼回復への期待も語られている。エプソン校は、ケンブリッジ導入はNCEAの否定ではなく、生徒と家庭への選択肢の提供だと説明している。

生活

マクドナルドの「マックリブ」がニュージーランドでリバイバル

マクドナルド・ニュージーランドは、約6年ぶりに人気商品「マックリブ(McRib)」を期間限定で再発売すると発表した。マックリブは豚肉のパティにピクルス、玉ねぎ、バーベキューソースを挟んだバーガーで、1980年代にアメリカで初登場して以来、根強い人気を誇る「伝説の商品」。ニュージーランドでは2019年以来の登場となる。最近店頭のセルフレジに「売り切れ」と表示されていたことから、復活の噂が出ていた。マクドナルド側は「ニュージーランド人が国内でマクドナルドの歴史の味を試すチャンス」とコメントしている。過去にはオーストラリア・ニュージーランドで2012年のロンドン五輪を記念し販売されたり、2015年にはプロモーション動画も話題になったりもした。なお、マックリブはドイツやルクセンブルクでは通年販売されており、カナダやイギリスでも昨年限定復活している。

消費者協会が洗濯用洗剤を評価、水だけで洗うのと変わらない製品も

国内で販売されている洗濯用洗剤46製品について、ニュージーランド消費者協会(Consumer NZ)が性能比較テストを実施した。評価は10種類の一般的な汚れ(草、油、アイスクリームなど)に対する洗浄力で測定。その結果、一部の製品は水だけで洗った場合とほぼ同じ効果しかないことが明らかになった。「Shotz Laundry Liquid」と「EcoLiving Laundry Detergent Sheets (with lavender)」は100点満点中27点、「Restor Laundry Detergent Sheets (fresh linen scent)」は24点で、効果が低いという評価。特に洗濯用シートは、粉末や液体に比べ洗浄力が劣るという。一方で、高い評価を得たのは「Persil Ultimate Powder(94点)」「Persil Active Clean Powder(92点)」「Persil 3 in 1 Ultimate Capsules(89点)」など。消費者協会は、価格や効果を踏まえて使用する洗剤を見直すことを推奨している。

ホリデーパーク・アワード:シェリービーチ・トップ10ホリデーパークが最高賞を受賞

ニュージーランド全国280か所のホリデーパークを対象としたホリデーパーク・アワードで、コロマンデルのShelly Beach Top 10 Holiday Parkが最高賞(Supreme Industry Award)を受賞した。これは地域社会への貢献や持続可能性などを評価するもの。Shelly Beachはコミュニティ活動賞および中規模パーク改善賞も同時に受賞した。特に、環境プログラムや閑散期の利用促進策などが評価された。他の賞を受賞したのは、Riverside Whakatāne Holiday ParkのMcHayla Brinkley氏(新星賞)、Golden Bay Holiday ParkのBob Perriam氏(業界功労賞)、Russell–Orongo Bay Holiday Park(持続可能性賞)、Havelock North Holiday Park(小規模パーク賞)、Taupō Top 10 Holiday Park(中規模パーク賞)など。受賞者たちの努力が質の高いホリデー体験と地域社会への貢献につながっていると評価されている。

ニュージーランドのパスポートの変更:英語がマオリ語より先に表示

ニュージーランド政府はパスポートのデザインを変更し、表紙の英語(New Zealand Passport)をマオリ語(Uruwhenua Aotearoa)より上に配置する方針を明らかにした。現行パスポート(2021年度版)の表紙ではマオリ語が優先表示され、マオリ語委員会も歓迎していた。この言語順の変更は議論を呼んでおり、ACT党は「税金をかけずに英語優先を復活させる」と主張し、NZファースト党首のウィンストン・ピーターズ(Winston Peters)外相は「国民に相談せず国名を勝手に変えるのは傲慢だ」として、政府文書に「Aotearoa」を使うことに異議を唱えた。議会ではブラウンリー(Brownlee)議長が「Aotearoaは広く使われており、正式名ではなくとも問題ではない」と発言している。未使用の現行パスポートが大量に残っていることから、パスポートはすぐの切り替えではなく、順次移行となる見通しだ。

芸能・スポーツ

Xゲームズ:オークランドのティーンがスケートボードストリートで銅メダル

現地時間6月27日からアメリカ・ソルトレイクシティで開催されたXゲームズのスケートボード女子ストリート部門に、オークランド出身の15歳ジェシカ・レディ(Jessica Ready)が初出場し、銅メダルを獲得した。大会出場の招集を直前に受け、22時間かけて会場に到着したという。ストリート競技は2020年の東京オリンピックから正式種目となっており、縁石や階段、手すり、ベンチなど街中の障害物を模したコースで、各選手が45秒間に技を披露するもの。優勝はオーストラリアのクロエ・コベル(Chloe Covell)で、3連覇を達成。2位は日本の織田夢海だった。Xゲームズは、アメリカのスポーツ専門チャンネルESPNが主催する、世界最大級のアクションスポーツの国際競技会。夏季はスケートボード、BMX、Moto X、冬季はスキーとスノーボードなど、エクストリームスポーツのトップアスリートたちが集結する。

ロード、最新アルバム『Virgin』でイギリス、オーストラリア、ニュージーランドで1位を獲得

ニュージーランド出身の歌手ロード(Lorde)の最新アルバム『Virgin』が、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドで1位を獲得し、世界的な成功を収めている。特にイギリスでは、自身初のアルバムチャート1位を達成し、公式アナログチャートでもトップとなった。他にもヨーロッパではオランダで2位、アイルランドとドイツで3位、ポーランドで4位にランクインしている。6月末には英グラストンベリー・フェスティバルでサプライズ出演し、新作全曲に加え過去作の『Greenlight』『Ribs』も披露した。電子アートポップ調の『Virgin』は、これまでで最も感情的で内省的な作品と評されており、ロード自身も「このアルバムが自分を壊し、再生させてくれた」と述べている。9月にはアメリカ・テキサスから「Ultrasound World Tour」を開始予定だが、ニュージーランド公演の日程は未発表だ。

ソフトボール:ニュージーランドがワールドカップで銀メダル獲得

ニュージーランド男子ソフトボール代表「ブラックソックス(Black Sox)」は、カナダのプリンス・アルバート(Prince Albert)で行われた2025年WBSCワールドカップで銀メダルを獲得した。優勝は逃したものの、2022年大会での8位から大きく躍進し、2017年以来となるメダル獲得を果たした。準決勝では日本に8対3で快勝し、通算10度目となる決勝進出を決めた。対ベネズエラの決勝戦では、試合前に伝統のハカで相手に挑んだ。序盤に得点機を迎えるも逃し、3回にベネズエラが先制、さらに6回に2点を追加された。ピッチャー二人の奮闘にもかかわらず、打線が最後まで得点できず、0対3で敗れた。ヘッドコーチのトーマス・マケア(Thomas Makea)は、再建途上のチームの団結力と成長を称賛し、今後に期待を寄せた。銅メダルは、日本を10対1で破ったアメリカが獲得した。

ゴルフ:カズマ・コボリ、BMWインターナショナルオープンで3位入賞

ニュージーランドの男子ゴルファー、カズマ・コボリ(小堀一磨)は、ドイツで開催されたBMWインターナショナル・オープンで9アンダーの63という驚異的な最終ラウンドを記録し、通算18アンダーで3位に入賞した。これはDPワールドツアーでの自己最高成績で、今季ランキング44位に浮上。今後のツアーカード保持に大きく前進し、賞金約28万5,000ドルも獲得した。同じくニュージーランドのダニエル・ヒリアー(Daniel Hillier)はランキング上位により全英オープン出場権を獲得し、ライアン・フォックス(Ryan Fox)とともに出場予定。コボリは2001年長野県生まれ。6歳の時に家族と共にニュージーランドに移住した。2019年にオーストラリアンボーイズアマチュアで準優勝したのを皮切りにアマチュアとしてのキャリアを重ね、2023年にプロに転向した。姉のモモカ・コボリもプロゴルファーである。

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