クリスマスリリーのように…

園芸家が見つけた季節のたより 花と野菜と庭とLIFESTYLE

2022年12月号掲載

早いもので年の瀬。皆様の家ではクリスマスの飾り付け準備を始めた頃かしら?クリスマスを象徴する花といえば、真っ赤な花が特徴のポフツカワやラタの木と言う人もいるだろうけれど、クリスマスリリーも忘れちゃいけない。こちらでクリスマスリリーといえば、リーガルリリーやテッポウユリの系統をそう呼んでいるようで、実は何を隠そう私はこの国に来て初めてその呼び名を知った。双方とも特徴は真っ白な花とラッパ状の花を横向きに咲かせること。リーガルリリーは花の外側に少し赤みが入るが、どちらも良い香りが魅力だ。

開花後、葉は光合成して来年の栄養を球根にためこむんだ。

ところで、日本はユリの自生品種を多く持つ国であるのはご存知だろうか?シーボルトをはじめとするプラントハンターたちが日本や中国のユリを本国に持ち帰り、その後色々な交配種が生み出された。明治時代、日本の主要輸出品目にもなっていたくらいだ。

クリスマスリリー
このようにラッパ状で、この時期に咲くユリをクリスマスリリーと呼んでいます。

ちなみに、先述したリーガルリリーは中国原産だし、テッポウユリは日本や台湾原産だ。日本ではヤマユリやササユリ、オニユリなど本当に色々な種類のユリが自生していて、昔から馴染み深い植物の1つだ。身近でありながらも美しい花姿や香りはやはり格別で、「〜歩く姿は百合の花」など美人の代名詞としても認知されている。他にも、花が咲くように美しく微笑む様を「花笑む」と表現する大和言葉がある。さらに「花笑む人」と言えば、ユリの花がほころんで咲いたように微笑む人のことを言うそうだ。今年もあとわずか、美しく咲くクリスマスリリーのように花笑む人で年末年始を迎えたいものだ。

Naomiさんとネコ先生
Naomi Goto Garrett
五嶋ガレット直美

日本でガーデンデザイナー、イラストレーターとして活動。
園芸雑誌や新聞へのコラム執筆、デザイナー向け講演も行う。
現在クライストチャーチ近郊に在住。

【ブログ】naomigarden8.com