ニュージーランドの保護猫事情〜保護猫カフェ「ネコ・ネル」の開業・移転奮闘記 完結編

ニュージーランドの保護猫事情〜保護猫カフェ「ネコ・ネル」の開業・移転奮闘記 完結編LIFESTYLE

vol.4~完結篇~

前回の記事から2年近く経ちましたが、保護猫カフェ「ネコ・ネル」は、2023年12月から新店舗で営業しております!
でも、この2年間もいろいろな障害や問題がありました。順を追ってお話ししましょう!

クラウドファンディングは大成功!

2022年のクラウドファンディングは大成功で、5万ドルを超える支援をいただきました。6月には1階の防火壁とトイレの増設工事をし、テナントのCafé Soleilはフルキャパシティで営業できるようになりました。

ただ、ビルダーが法定基準に沿った防火壁を造っておらず、将来作り直さないといけません。8月からは1階にショップをオープンでき、収入を得ると同時にお客様との交流ができるようになりました。1番の問題だった自宅の売却もようやく11月に買い手が見つかり、そのお金を使ってビルの支払いを終えることができました。これで毎月7000ドルの利息を払う必要がなくなりました。その代わり、バーの2階のシェア・アパートで暮らすことになり、そこは週末にバーでイベントがあると壁や床が震えるぐらい振動が伝わるひどい環境でした。それでも、低家賃(といっても週340ドル!)とウチの自宅猫と一緒に住めるので、7ヶ月ほどがまんしていました。現在は自分たちだけの家を借りています。

NEKO NGERU OPEN

ようやく開店できた新店舗

このビルを購入した理由のひとつが、2階を自宅と猫カフェに使えるということでした。ところが、これが不可能になりました。これを実現するには防火壁で猫カフェと住居を仕切らなくてはならず、自宅の売却額が下がったこと、7000ドルの利子を半年ほど支払わなければならなかったこと、日本からの資金が為替レートの関係で目減りしたことなどで、そのお金がとても出せないからでした。新しいフロアプランをまとめ、2023年2月に改訂版の建築許可を申請。それが降りたのが5月末。時間かかりすぎですよね。新しいビルダーを探すのにまた時間がかかって、内装工事が始まったのは7月。当初4週間と言われていた工期もも順調に遅れ、10月に工事が終了。すぐにカウンシルにインスペクション(査察)を申請するも20日営業日待たないと日にちが決まりません。ようやく営業許可が出たのが11月でした。そうして、12月からの開店にたどり着けたというわけです。いやもう、何もかもが時間がかかりすぎ、そして、コロナ後は何もかもが値上がりする中で、かなりストレスフルな2022年と2023年でした。その影響でしょうか、先月心臓発作で検査入院していました。軽度の狭心症で薬を毎日とることでコントロールできるようなんで、あまり心配していないのですが。

店舗のレイアウト


そんなこんなでようやく開店できた新店舗ですが、できるだけお金を節約して内装工事をやった割にはとても気に入っています。以前の店舗に比べると猫部屋のスペースが少し狭いため、定員は10名。でも2階にあって片面がガラス張りなので、狭く感じません。ショップとレジのスペースは以前よりゆったりとしており、ネコ雑貨と猫の必需品を販売しています。ニュージーランドでは他にないユニークな店舗だと自負しています。フードとコーヒーの提供がないため(お客様は1階のCafé Soleilからそれらの提供を受けることができます)、時間的にも人的にも余裕ができ、私たち二人でほぼ回せるようになりました。ライセンスを取って、梅酒やワイン、ビールの提供ができるようになリました。12月、1月と夏休み中は非常に忙しく、たくさんの馴染みのお客様にも来ていただけました。2月、3月は、週末は相変わらず忙しいのですが、平日はかなり空きがあります。もしウェリントンに来られることがあれば、ぜひ平日に遊びにきてくださいね。猫たちも首を長くして待ってます。

片面ガラス張り くつろぐ猫たち
猫グッズを扱うショップも併設

ネコ・ネルの猫たち

その猫たちの話もしましょう。ネコ・ネルはウェリントンにあるいくつかの小さな保護団体と協力しており、何匹かの猫はそれらの団体から来ています。しかし、多くは直接ウチにスレンダー(引き渡し)されてきた子たちです。また、自分たちで保護した野良猫たちもいます。幸いなことに人に対して非常にフレンドリーな子が多く、おもちゃで遊んだりなでられるのが大好きなのはもちろん、人の膝に乗ってくつろぐ子も何匹かいます。この子たちはワーカーキャットとしてちょっと長めに滞在してもらい、新しい子の見本となるようにしています。開店から4ヶ月で4匹の子が新しい家にもらわれていきました。

フレンドリーなネコネルの猫
ワーカーキャット
フレンドリーなネコネルの猫

『再開記念!1セッション入場無料チケット』1組2名様(6月30日締切)


Neko Ngeru Cat Adoption Cafe
Neko Ngeru Cat Cafe オーナー
岡田憲志(ケン)さん・リッシェさん夫婦

夫婦ともに元教師。2016年よりニュージーランドに住み、2017年Lower Huttのペトネに保護猫カフェをオープンした。3年半で152匹のアダプションを成功させたが、コロナ禍を経て一旦閉店。2023年12月に市中心部の新しい店舗へ移転、再開を果たした。新店舗探しや、高額な改装工事代金を賄うためクラウドファンディングをする様子を奮闘記としてGekkanNZ Webに連載。

【所】Level1, 215 High Street, Hutt Central, Lower Hutt, Wellington
【Web】nekongeru.nz

文 Ken Okada