椿を見て、何を思う⁉

園芸家が見つけた季節のたより 花と野菜と庭と LIFESTYLE

2022年8月号掲載

椿は日本や中国などアジア原産の樹木で、古くは万葉集にも登場した馴染みの深い花の1つ。これからの季節、ニュージーランドのあちこちで、この花が咲き始める。園芸店でも色々な品種が売られている。日本では、古い屋敷のお庭で見たり、和の庭で寒椿を時々植える程度で、昨今住宅の庭に植える事はあまりなかったように記憶している。この不人気には、ある害虫が一役買っているのではないかと私個人は考えている。その名も「チャドクガ」。何を隠そう、人生で何度か酷い目に遭った。一度は顔の半分をやられ、ボコボコに腫れた顔を見た植木屋の親方に勲章だと褒められた。俯き加減で暮らした数日、今となっては懐かしい。

寒椿、メジロが蜜を吸いにきてたなぁ

Camellia ‘Debbie’
Camellia ‘Debbie’のスタンダード仕立て。こういった椿を、この国ではよく見かける。

日本では6月と9月、年に2回この虫が発生する。剪定して風通しをよくしておかないと必ずと言っていい程この虫がつく。消毒して撃退しても毛だけが残り、それを知らずに触ってもかぶれる。かぶれると痒いの何の。掻くとかぶれが広がる恐ろしい土産付き。集団で葉の裏につく姿はまさに地獄。だから椿を鑑賞するときは、そろっと下から覗き込むのが常だった。しかし、ニュージーランドでそもそもこの虫の話を聞いた事がない。色々なお庭で椿を見るし、品種も豊富、おしゃれなスタンダード仕立てもよく見かける。花は優美で品があり、花の少ない冬から春に開花、さらには虫の被害もあまりないとなりゃ植えたくなるのもうなずける。触っても顔を近くに寄せて花を覗き込んでも心配なし。この季節椿を見ると思い出す、あの痒い思い出。

Naomi Goto Garrett
Naomi Goto Garrett
五嶋ガレット直美

日本でガーデンデザイナー、イラストレーターとして活動。
園芸雑誌や新聞へのコラム執筆、デザイナー向け講演も行う。
現在クライストチャーチ近郊に在住。

【ブログ】naomigarden8.com

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