実りの秋〜ニュージーランドでは、ワイン用ブドウの収穫が盛んに行われています。
今回は、収穫されたブドウがどのようにしてワインに仕上がるのか、そのプロセスをご紹介します!

収穫
ブドウの収穫は、機械または手摘みで行われます。機械収穫は、作業スピードが圧倒的に速く、また気温の低い夜間にも作業ができます。一方、手摘み収穫では、健全なブドウのみを房ごと丁寧に収穫できるという利点があります(機械収穫では、果粒のみを収穫)。 ワインの原料はブドウのみであるため、その品質が最終的なワインの出来に大きく影響します。したがって、どちらの収穫方法をとる場合でも、熟した健全なブドウのみを選ぶことが重要です。

除梗
梗にはタンニンが含まれており、白ワインでは不要な抽出を避けるため、通常取り除かれます。一方、赤ワインでは全房を使うことで、タンニンやスパイシーさを加えることもあります。

破砕
ブドウに適度な圧力を加えることで、果皮が破れ、果汁が放出されます。

圧搾
液体(果汁やワイン)と固体(果皮や種子など)を分ける工程です。
白ワイン:発酵前に圧搾を行い、果汁のみを発酵させます。
赤ワイン:発酵後、または発酵後の醸し(マセラシオン)の後に圧搾を行い、ワインを果皮や種子から分離します。

アルコール発酵
酵母がブドウに含まれる糖を分解し、アルコールと二酸化炭素に変化します。使用される酵母には、ヴィンヤードやワイナリーに存在する野生酵母と、培養酵母があります。

マロラクティック発酵(MLF)
ワインに含まれるシャープな酸味をまろやかにする工程です。乳酸菌の働きによって、リンゴ酸がより柔らかい乳酸へと変化します。
ワインに感じるバターのような風味はこの過程から

熟成
アロマティックな白ワインは、発酵後早めに瓶詰めされることが多いのに対し、シャルドネや赤ワインの多くはオーク樽などで熟成させます。ワインがゆっくりと酸素と触れ合うことでアロマが発達し、複雑さが増します。赤ワインでは、タンニンが柔らかくなり、口当たりが滑らかになります。

ブレンド
2つ以上のバッチ(異なるブドウ品種、畑、収穫年など)のワインをブレンドすることで、バランス、品質、複雑さを高めることができます。
シングルヴィンヤード
対照的に、特定の畑の個性を表現するために、単一の畑のブドウのみを使用して造られるワインを指します。

清澄・安定化・ボトリング
ほとんどのワインは、澄んだ状態で販売されるため、透明度を高める処理が行われます。清澄や安定化、最終調整を経て、ボトルなどの容器に詰められ、出荷の準備が整います。
ワインエキスパートの理沙さんの厳選
スーパーで気軽に買えるいつものワインをご紹介!

te tera Martinborough Vineyard
Pinot Noir 2022
ピノ・ノワールの銘醸地マーティンボロの特徴を見事に表現しながら、優れたコストパフォーマンスを誇る1本。ジューシーな果実味に、スパイスやドライハーブ、滑らかなタンニンが心地よく調和。
品種:ピノ・ノワール
産地:ワイララパ
WEB:martinborough-vineyard.co.nz


Sorrell The Wrekin
Chardonnay 2022
ビオディナミ農法で育てられたブドウを使用し、ヴィンヤードに存在する野生酵母での発酵。できるだけ手を加えず、ピュアでありながら核果実、柑橘にナッツのニュアンスが重なる複雑な味わい。
品種:シャルドネ
産地:マールボロ
WEB:www.sorrellwines.co.nz



ダイヤー 理沙 さん
2001年からニュージーランド在住。
J.S.A ワインエキスパート。WSET Level3。
ワインの勉強をしつつ、お料理とのペアリングを考えたり、NZでのワイナリー勤務の経験、現地の視点を交えてNZワインの魅力やお役立ち情報を発信中。
Instagram: @luv.vin.nz
WEB: lovewinenz.blog
Email: info@lovewinenz.com