Good Kiwi Tucker! vol.191  ニュージーランドで食べちゃった!特上炭火焼きうな重⁉

Good Kiwi Tucker! GOURMET

2022年3月号掲載

ニュージーランドにウナギがいるのは知っていた。でも、動物園の池で見たウナギはものすごく太くて長くて、日本のウナギと比べるとおばけのような大きさである。「さすがにこんなのは食べないのでは⁉」と思っていたところ、鮮魚店で〝コンガ・イール〟というウナギを見かけてびっくり。それは直径15センチほどのウナギの胴体をぶった切っただけのもので、真ん中に見えるぶっとい骨がまた手強そうなことといったら…。それでも、ウナギなら食べてみたいからつい買ってしまった。しかし相手は生の巨大ウナギであり、よくよく見ると、中骨からも尖った骨が四方に伸びているような扱いにくいものだった。ううっ…そもそも下処理が大変すぎ、蒲焼きなんてやったこともないから、当てずっぽうに料理したウナギは味もありがたみもイマイチだった。これは…再挑戦はナイな…。

そんなふうにウナギ調理を断念して早十数年。今年に入ってすぐ、知り合いのマオリの人から『自分で獲ってきた』というウナギを頂戴した。マオリの人たちは、川に仕掛けを作ってウナギを捕まえ食べるという。しかし、あの巨大ウナギを生のままもらっても、また骨との格闘が!ちょっとヒヤヒヤしながら包みを開くと、おお〜ありがたい。なんとウナギはキレイな四角に開いてあり、骨も見事に取り除いてあった。しかもマオリ流の食べ方らしく、生感を残しながらも軽いくん製にしてあるような?これなら焼くだけ…というか、がんばれば蒲焼きもユメじゃないのでは⁉そういえばうちには、ずいぶん前にホームセンターで見つけて、未使用の簡易バーベキューキットがあるじゃない。あれはたしか、使い捨てのアルミ容器の中に炭と着火剤が入った優れもの…ということはフフフ、これで炭火焼きにできる!ウナギに串をうち、タレも作って、あとは焼けばいいだけ、ってすごい。

イラスト リカ

でも、忘れてたわ…。炭って、火をおこすまでが大変なのだ。いくら〝簡易〟とはいえ、この炭火の準備だけで晩ゴハンの時間がどんどん迫り、そして過ぎてゆくツラさ。ともすると消える火を段ボール箱で作った風よけで必死にガードし、やっとのことで炭が赤くなってきても、なぜか焼けるのはめちゃめちゃゆっくり…と、なんだかウナギ屋さんの店先とはずいぶん勝手がちがうような(泣)お願い〜頼むからうまく焼けて〜!

しかし、結果的にはノロノロと…じゃなかったじっくりと火が通り、タレも焦げすぎずつややかに焼き上がったのである。そして身は大きく肉厚で、なんともすばらしいビジュアル。これ…蒲焼きでしょ?蒲焼にしか見えないでしょう!いや、見た目はそうでも、食べたら川魚のくさみがあるかも…だったらこの大きさはかえって不安…とついつい最後まで半信半疑ではあったけれど、人生最大の贅沢ウナギは、おいしくて食べごたえもばっちりで…本格炭火の蒲焼きそのもの!これが食べられるなら、もうちょっと里帰りもガマンできそう?と一瞬思うほどの出来だった。

マオリの人々は、月の光のない真っ暗な夜にウナギ漁に出かけるのだそうで、今後機会があれば、捕るところからやってみたい気も…でもそうしたら、あの根性の炭火焼きの段階どころか、生け捕りにしてさばいて、骨を取るところも自分でやることに⁉やっぱり、スーパーで出来上がった蒲焼きが買える国が、恋しくないわけがないのだった。

*Tuckerとはキーウィ独特の言葉で、「食べ物」というよりは「お腹に詰め込むもの」という意味

マツザキ リカ

ニュージーランド在住25年。クライストチャーチを拠点に暮らし、心も体も豊かにするキーウィフードの探求に余念がない。おいしいものも不思議なものも、いただきます!

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