ニュージーランド投資家ビザ「Active Investor Plus」条件緩和で世界の投資家から注目される理由とは?

ニュージーランド投資家ビザ 「Active Investor Plus」 条件緩和で世界の投資家から注目される理由とは? BUSINESS

近年、地政学的緊張や経済不安、気候変動などにより、世界はかつてない不確実性に直面しています。特にグローバル資産を持つ投資家にとって資産保全と家族の安全は喫緊の課題です。これまで投資家はシンガポールや香港といった金融ハブに注目してきましたが、これらの地域も国際情勢や政治的変化の影響を受けやすく、今や本当に安全な「最終的な避難先」としての国選びがより重要になっています。2025年4月1日、ニュージーランド政府はActive Investor Plusビザ(以下AIPビザ)に関する審査条件を大幅に緩和し、世界中の富裕層・起業家・投資家から再び注目を集めています。特に地政学リスクや増税懸念が高まる日本の投資家や資産家の間では、ニュージーランド移住は選択肢のひとつとして大きな関心を集めています。本記事では、AIPビザ制度の主な緩和ポイント、日本人投資家にとっての税務・ライフスタイル・安全保障面でのメリット、今後の展望について解説します。

AIP(Active Investor Plus)ビザとは?

AIPビザは、2022年に旧Investor1・2カテゴリに代わって導入された高額投資家向けの永住権取得ビザです。ニュージーランド国内の「成長を促す事業・ファンド」に一定額以上の投資を行うことで、申請者およびその家族が永住権(Residence Visa)を取得できます。

2025年の主な緩和ポイント

投資対象の柔軟化

これまで制限が厳しかったManaged FundやPEファンドの条件が大幅に緩和されました。
NZ貿易経済促進庁(NZTE)に認可された特定ファンドの選択肢が拡大しました。

投資金額の柔軟性

グロースカテゴリーでは、運用ファンドや直接事業投資への投資で最低投資額は500万NZドル(約4億5千万円)
バランスカテゴリーでは、債券や上場株式等への投資で最低投資額は1,000万NZドル(約9億円)

投資期間の短縮

グロースカテゴリーは3年、バランスカテゴリーは5年。

英語要件の柔軟化

主申請者に求められる英語要件が撤廃されました。

カテゴリー比較表
2025年の主な緩和ポイント まとめ

カテゴリー名最低投資額投資期間投資内容の特徴リスクリターンの目安制度緩和前
(〜2025年3月)
グロース
カテゴリー
(成長分野投資型)
500万NZドル
(約4億5千万円)
3年運用ファンドや直接事業投資が中心。
成長企業や新規事業への投資が多い。
リスクやや高め
期待リターン:高め
最低投資額は同等だが、
投資対象の制限が厳しかった
[英語要件あり]
バランス
カテゴリー
(低リスク資産型)
1,000万NZドル
(約9億円)
5年債券や上場株式など
安定性の高い資産が中心 
リスク:低め
期待リターン:安定
最低投資額は同等だが、
認可ファンドの種類が少なかった
[英語要件あり]

日本人投資家にとっての主なメリット

税制面での圧倒的な優位性

ニュージーランドでは、次のような富裕層に有利な税制が採用されています。

  • キャピタルゲイン税なし(例外あり)
  • 相続税・贈与税なし
  • 移住後の初年度から最長4年間の海外所得非課税制度

生活の質(Quality of Life)

  • 世界屈指の治安の良さと安定した政治経済
  • 教育・医療・自然環境の高さ
  • 人口密度が低く、自然と共生するライフスタイルが実現可能

地政学的リスクからの避難先

  • 日本は近年、台湾有事リスクや北朝鮮ミサイル問題、中国との摩擦など地政学的リスクが顕在化
  • ニュージーランドは南太平洋に位置し、中立的で政治的安定性が高い国

投資実務上の注意点

AIPビザの申請にあたっては、以下の点に注意が必要です

  • 資金の源泉SOW(Source of Wealth)とSOF(Source of Funds)の証明、株式の売却、不動産の譲渡、遺産相続などについての取引記録・契約書・銀行取引履歴が必要。
  • 投資先には流動性の低いVCファンドや高リスクのスタートアップ投資もあるため、専門家の助言が不可欠。
  • 移住後の生活費・教育費・医療費などの現地通貨確保、不動産取得・賃貸も早めの情報収集が必要。

今後の展望とタイミング

新AIPビザ申請の件数は旧制度と比較して約2倍に増加しており、日本人申請者も急増中です。今後、移民局が条件を再強化する可能性もあるため、早めの検討が重要です。

まとめ

2025年の制度緩和により、AIPビザは、より柔軟かつ現実的な移住ルートとして、富裕層にとって有望な選択肢となりました。
特に日本人投資家にとっては、税制・治安・教育・地政学的安全の全てにおいて「資産の避難先」「家族の第二の人生基盤」として魅力的です。
永住権取得後はニュージーランドでの必要滞在日数などの条件もなく、柔軟な生活スタイルを追求することが可能です。
投資判断・資金準備・移住計画は入念に行い、信頼できるアドバイザーや現地の専門家と連携して進めることが成功の鍵となります。

免責事項:この情報は一般的な目的のものであり、法的助言ではありません

ちょっと、お勉強!用語解説

グロースカテゴリー
成長分野への投資を重視するタイプ。主に運用ファンドや直接事業投資が対象で、リスクはやや高めだが投資額は少なめ。

バランスカテゴリー
債券や上場株式など、比較的安定した資産への投資が中心。
リスクは低めですが、必要な最低投資額は多くなります。

SOW(Source of Wealth)=お金の背景
これまでにどんな仕事や取引で財産を築いてきたか
例:会社の売却益、事業の利益、不動産収入、相続など

SOF(Source of Funds)=お金の出どころ
今回の投資資金がどこから来たのか
例:株式を売った、家を売った、預金口座から引き出した…など

VCファンド(Venture Capital Fund)
ベンチャー企業や新興企業に投資するファンド。成長すれば利益大ですが、倒産などのリスクも高め

流動性が低い
投資したお金をすぐに現金化できない状態。VCファンドは回収まで数年〜十数年かかることもあります。

AIPビザ専用ファンドのご案内<PR>

NZTE(NZ貿易経済促進庁)認可のAIPビザ専用ファンドを2商品ご案内しています。
投資家様のリスク許容度やニーズに合わせ、最適なポートフォリオを構築します。
詳しくは信頼できるアドバイザーや現地の弁護士・税理士と連携しながらサポートいたします。

1.Castlerockファンド
 :プライベートエクイティファンド

(2017年より運用開始、NZ非上場企業6社を運営)
既存のマーケットで確立したポジションの成熟した企業に投資。

2.KAKAPOファンド
 :プライベートエクイティファンド

(ESG投資/環境や社会に配慮しながら適切なガバナンス運用を重視)
投資先は救難ヘリや救急医療ヘリなどを事業展開しているヘリコプター関連事業に投資予定

BANCORP

池口健一郎

Bancorpグループは、ニュージーランドのオークランドを拠点とした1986年創業の投資銀行グループです。コーポレートファイナンス、トレジャリー、アセットマネジメントやプライベートバンキングなど国内外の企業や投資家のニーズに寄り添った最適なファイナンシャルサービスを展開しております。お客様との長期的な関係を構築できるよう誠実で実践的なアドバイスを提供いたします。
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