クライストチャーチ在住のフォトグラファー、Youngsikさんの仕事に対するポリシーは「目の前の仕事にしっかり向き合うこと」。地道に信頼を積み重ねることで、結果的に次のご縁につながり、仕事が広がっていくという。被写体の自然な表情や、空気感をそのまま切り取ったような自然さが魅力の写真を撮るYoungsikさんは、デジタル時代を追い風に、現地でのつながりとSNSを使って昔からの夢だったフォトグラファーになった。「趣味を仕事に」を実現したYoungsikさんに、専業フォトグラファーになったきっかけや、多文化なニュージーランドならではの苦労とやりがいについてお話を伺った。
Q. ニュージーランドへ来たきっかけは何ですか?
オーストラリアでワーキングホリデーを経験してから、「次も海外で生活しながら働きたい」という気持ちが強くなり、自然な流れでニュージーランドへ渡航しました。実は、特にニュージーランドに住みたいというこだわりはありませんでした。
Q. ニュージーランドでの仕事はどのように探しましたか?
ニュージーランドに来る前は、工場で車の組み立てをしたり、カフェで接客の仕事をしたり、環境を変えながらいろいろな仕事を経験してきました。
ニュージーランドに来てからも、もともとは写真とは関係のない仕事をしていたのですが、友人のご家族を撮らせていただく機会があり、その写真をInstagramなどで少しずつ発信していました。すると「この雰囲気で撮ってほしい」と思ってくださった方からお問い合わせをいただくようになりました。その後も、お客様がご友人に紹介してくださったり、口コミで評判が広がったりして、徐々にお問い合わせが増えていきました。
ちょうどその頃息子が生まれ、「このまま自分は本当にやりたいことを後回しにしたまま生きていくのか」と強く考えるようになりました。以前から「いつか写真を仕事にしたい」という気持ちはありましたが、父親になったことで、「自分が納得して選んだ道に向き合う姿を子どもに見せたい」と思うようになりました。
しばらく副業的にやってみて、断続的ではあるものの仕事が回り始めたタイミングで、専業フォトグラファーとして写真を仕事にする決断をしました。

Q. フォトグラファーの仕事内容について教えてください。
私の主な撮影は、家族写真・子ども写真・ベビー(マタニティ/ニューボーン含む)など、いわゆる「ライフイベント」の撮影です。最近は、カップルの前撮り(エンゲージメントフォト)や小規模なウェディング撮影のご依頼も増えてきています。
事前にご希望(場所、人数、時間など)を確認し、当日は現地で合流→撮影、という流れです。撮影場所は屋外の公園や丘の上の自然の中、またはお客様のご自宅などが多いです。
春~夏(10~3月頃)は屋外撮影が増えやすく、比較的忙しくなります。逆に雨が続く時期は日程変更が出やすく、スケジュール調整に時間を使うこともあります。桜やひまわりなどの季節の花や、夏のビーチ、紅葉などのイベントに合わせて撮影の需要が動くのも特徴です。屋外撮影の場合は特に、天候による撮影日時や場所の変更に備えて、事前にキャンセルや日程変更のルールを明確にしておくことが重要です。
ニュージーランドにはさまざまな文化圏の方が暮らしていて、家族の形や大切にしていることも人それぞれなので、撮影前に最低限の情報を聞いておくことは必要です。しかし実際に撮影するときは、お客様の細かい希望を聞き取るというよりも、自然な表情や空気感をそのまま切り取ることを意識しています。子ども撮影の場合は、ポーズを作り込みすぎるより、会話しながら自然な表情が出るタイミングを待ちます。カップルや前撮りなど大人の撮影の場合は、ポージングは具体的にガイドしますが、やはり自然に見える動きや表情を引き出すように撮影しています。
撮影以外の時間は編集と納品準備が中心です。色味や明るさを整え、作品として仕上げた写真を選んで丁寧にレタッチし、オンラインギャラリーで納品します。予約のやり取り、請求書、スケジュール管理など、撮影以外の事務作業も意外と多い仕事です。

Q.ニュージーランドでフォトグラファーとして働くために必要な資格、あった方がいい経験などがあれば教えてください。
フォトグラファーとして働くために必須の資格はないと思います。
私は学校で写真を学んだわけでも、資格を取得したわけでもなく、もともとは趣味として撮っていたところからスタートしました。そこから少しずつ撮影の機会を増やして、撮影→編集→納品の流れを毎回きちんと回せるようにすることを意識してきました。一つ一つの仕事をしっかりこなすことで信頼を積み重ね、次の仕事につなげることが一番重要だと感じています。
英語についても、完璧である必要はないと思います。予約の調整や当日の案内など、よく使う表現はある程度決まっているので、丁寧にやり取りできれば十分仕事になります。
Q. 「ニュージーランドで働く」ならではの楽しさや魅力、やりがいについて教えてください。
良い意味で「まずやってみよう」と挑戦しやすい空気があることです。
周りの目を気にしすぎず、自分のペースで試行錯誤できるので、未経験からでも少しずつ形にしていける感覚がありました。フォトグラファーとしても、小さな撮影を積み重ねながら改善していけるのがやりがいにつながっています。

Q.また反対に大変なことや難しいと感じる部分はありますか?
ニュージーランドでは車移動が基本で、場所によっては移動距離や時間が大きくなるため、移動も含めたスケジュール管理が難しいと感じることがあります。日本だとエリアによっては近場にいろいろ揃っていて動きやすい印象がありますが、こちらは移動に時間がかかる分、余裕を持った計画が必要です。
また、多文化の環境なので、お客様によってコミュニケーションのスタイルや好みがさまざまで、「これが正解」という形が一つではない点も難しさの一つです。中には要望がはっきりしていて強めに伝えてくる方もいるので、こちらの姿勢は崩さずに丁寧かつきっちり対応しつつ、状況に応じて必要なところは柔軟に調整しながら進めることが大切だと感じています。
Q. ニュージーランドと日本での働き方の違いなどはありますか?
私が感じる違いは、まずコミュニケーションのスタイルです。ニュージーランドでは、良い意味でシンプルに「必要なことをはっきり伝える」場面が多く、遠回しな表現よりも分かりやすさが重視される印象があります。
また、仕事とプライベートの線引きを大切にする人が多く、時間の使い方や働き方に対して「無理をしすぎない」考え方が根付いていると感じます。
一方で、多文化の環境なので、相手によって価値観や常識が違うのが当たり前で、「これが普通」という前提が通じないこともあります。その分、こちらのルールや進め方を明確にしながら、必要に応じて柔軟に対応することが大切だと思っています。

Q. オフの日や仕事終わりの過ごし方はどのような感じですか?
仕事が終わった後や空いた時間は、2歳の息子と遊んで過ごすことが多いです。家で一緒に過ごしたり、年パスを使って動物園に行ったりして、家族の時間を大切にしています。
また、夏場は海に行って、ウェットスーツを着てアワビを採りに行くこともあります。自然の中でリフレッシュしながら、無理のないペースで仕事を続けることを意識しています。


Q. 最後に、これからニュージーランドでフォトグラファーとして働きたいと考えている方に向けて、アドバイスやメッセージをお願いします。
フォトグラファーとして働く上で大切なのは、まず小さくても撮影の機会を作って、撮影→編集→納品までをきちんとやり切ることを繰り返すことだと思います。それを積み重ねることで、少しずつ信頼が得られて、次のご縁につながっていきます。
最初から完璧でなくても大丈夫です。ニュージーランドは、失敗や肩書きを気にしすぎずにチャレンジしやすい環境ですよ!

フォトグラファー/【Christchurch】
Youngsikさん
京都出身。2009年からニュージーランド在住。現在はニュージーランド・クライストチャーチを拠点に暮らしています。もともとカメラは趣味として長く続けていましたが、1年半ほど前にフォトグラファーとして本格的に活動し始めました。家族写真や子ども・ベビー(マタニティ/ニューボーン)を中心に、最近はカップルの前撮りやウェディング撮影もしています。妻と2歳の息子がいます。海が好きで、毎年夏にはウェットスーツを着て素潜りでアワビを採りに行き、自然の中でリフレッシュしています。
[X] https://x.com/nz_oldfox
[IG] https://www.instagram.com/youngsikjin.photography/
[FB] https://www.facebook.com/youngsikjinphotography/
[Web] https://youngsik-jin-photography.mypixieset.com/
取材・編集 GekkanNZ
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