日本で看護師として経験を積み重ねてきたKazueさんは、結婚を機にニュージーランドに移住した。日々子ども達の世話に追われながら、いくつかのパートタイムジョブに就くも、やはり看護師の経験を活かした仕事をしたいと思うようになり、訪問介護の仕事を経て、現在は公立病院でヘルスケアアシスタント(HCA)として働いている。患者さんの希望に沿ったケアを提供することにやりがいを感じるKazueさんが情熱を傾けられる仕事に就くことができた経緯や、ニュージーランドと日本の医療現場の違いについて、お話を伺った。
Q. ニュージーランドへ来たきっかけは何ですか?
ニュージーランド人の夫との結婚をきっかけに、2007年11月に移住して来ました。
Q. ニュージーランドに来る前はどんなお仕事をされていましたか?
日本ではトータル18年間看護師をしました。
外科、内科病棟、外来、手術室などの経験を重ね、管理職職につき、新人教育や褥瘡委員会の運営の仕事もしました。褥瘡のケアは今でも好きなケアです。
当時は毎日残業が当たり前で、休みの日も仕事をもちかえり役職の仕事をしたり、自分のスキルアップのために研修や学会に行き勉強したりしていました。コンサートやエステに行ったり、英会話教室に通ったり、啓発本を読んだりするのが好きで、仕事もプライベートも充実していました。
Q. ヘルスケアアシスタント(以下HCA)の仕事内容について教えてください。
ニュージーランドの北島南部にあるPalmerston Northという街の病院でHCAをしています。
HCAは、日本でいうところの介護士や看護助手に近い職業です。
すべてのHCAの業務は看護師の指示のもとに行われます。主に食事の介助や更衣、清拭、シャワーの介助、排泄や移動の介助、看護師のサポートやナースコールの対応が仕事です。見守りが必要な患者さんはベッドサイドで見守り、転倒転落の予防や患者さんが安全安楽に過ごすために必要なケアを看護師と共に提供し、担当した患者さんの経過を記録用紙に残します。病棟の備品の補充や整理整頓など、仕事は多岐にわたります。
現在、ニュージーランドの病院は人手不足なので、他部署へヘルプに行くことも多いです。
Q. ニュージーランドでの仕事はどのように探しましたか?
我が家は夫がフルタイム勤務なので、私の希望は子どもたちが学校に行っている9時から15時までの間で仕事をすることでした。
子ども達が小学校に入学してから、以前お世話になった幼稚園の先生に誘われて、テイチャーエイド(補助教員)の仕事を数カ月間しました。その後は、Trade Meで自分のできそうな仕事を探しました。
そして子ども達が10歳の時に、サポートワーカーの仕事を見つけました。これは日本では訪問介護に相当すると思います。利用者さんのお宅に伺い、決められた時間でシャワーや着替え、内服の確認、部屋の掃除や料理などのサポートをします。この仕事なら自分の看護師の経験を活かせるのではないかと思い、また、この仕事を通して、自分のスキルがニュージーランドの方々に通用するのかを見極めたいと考えました。そして、今後のステップアップのために3年ほど続けました。
その後、子ども達が中学生の時、子ども達の同級生のお母さんで、公立病院で働いているという看護師と出会いました。病院でHCAを募集しているから応募するよう勧められ、彼女が推薦人(Reference)になってくれたおかげか、採用が決まりました。1年ほどは毎日違う部署で働きましたが、次第に同じ部署で働きたいと思うようになり、現在働いている部署に応募しました。その時は上司にも推薦人になってもらい、結果採用されました。人脈は大事な一因であることは間違いないように感じます。
Q.ニュージーランドでHCAとして働くために必要な資格、あった方がいい経験などがあれば教えてください。
HCAとして働くために必要なものは、「医療現場で十分なコミュニケーションが取れるだけの英語力」と、「健康な体」です。
ヘルスケアを一から勉強する場合は、New Zealand Certificate in Health and Wellbeing Level 3.2を勉強するといいと思います。
Q. 「ニュージーランドで働く」ならではの楽しさや魅力、やりがいについて教えてください。
HCAとして働く前は、日本での看護のスキルがどれだけ通用するのか懸念はありましたが、今は楽しく働くことができています。
私のやりがいとは、患者さんの話を聴き、看護師の指示に従い、希望に沿ったケアをその時々の状況に応じて提供することが出来ることです。この仕事は、ニュージーランドだから日本だからという違いはあまりないように思います。医療を必要としている患者さんやその家族がいて、私はそこで働くHCAということです。
ニュージーランドならではの魅力でいうと、職場が多国籍で、フレンドリーな環境であることです。様々なバックグラウンドを持つ人たちと一緒に仕事が出来るのはとても楽しいです。
病院は3交代のシフトワークですが、HACはほぼ時間通りに終わるのは魅力的です。

Q.また反対に大変なことや難しいと感じる部分はありますか?
日本語で看護師をしていた時と同じレベルで患者さんを理解するのは難しいと感じます。医療英語を完璧に理解するのは容易なことではないですし、立場上、患者さんのことをすべて把握することもできないからです。
Q. ニュージーランドと日本での働き方の違いなどはありますか?
勤務中に3回の休憩があります。忙しい時もありますが、必ず取るように言われます。自分の体を一番に考え、決して無理な重労働はしません。
日本では出勤・退勤時には私服で、病院でユニフォームに着替えますが、ニュージーランドではユニフォームは家から着ていき、洗濯も自宅で行います。
他にも、長期休暇が3週間くらい取れたり、スタッフ各自に教育プランがあってオンラインで勉強したり、ストライキに参加したり、細かい違いは様々あります。
Q. オフの日や仕事終わりの過ごし方はどのような感じですか?
私は4深夜勤務と1準夜勤務をしているので、朝7時に勤務が終わり、自宅に帰り子ども達のランチを作り送り出し、時には学校まで送迎し、帰ってから就寝、夕方に起きて夕飯を作るというパターンです。休みの日は家事や買い物で過ぎていきます。家族がいる場合はみんなこんな感じだと思います。



Q. 最後に、これからニュージーランドでHCAとして働きたいと考えている方に向けて、アドバイスやメッセージをお願いします。
私は実はニュージーランドでも看護師になりたいと思っていましたが、英語の壁もあり、家族もいたので、断念しました。今でも救急の場面を見ると昔の自分を思い出します。日本で看護師の資格と経験がある方は、IELTSを勉強して、是非ニュージーランドでも看護師を続けてほしいです。
もちろん、HCAも医療チームの一員で、やりがいのある仕事です。看護師の経験を活かせて、看護師から転身する人には比較的スムーズに始められる職業でもあります。HCAに興味のある方はチャレンジしてみてください。

ヘルスケアアシスタント(HCA)/【Palmerston North】
Kazueさん
宮崎県出身、ニュージーランド在住18年。16歳の双子と夫の4人家族。日本ではトータル18年間看護師をしていた。主に神奈川県で、また子ども達の小学校入学に合わせ帰省した宮崎県の病院でも2年間働いた。現在はPalmerston North Hospitalでヘルスケアアシスタント(HCA)としてフルタイムで働く。普段は家事と育児で手一杯だが、休みの日に家族でハンティングに行き、夜空の星や月を眺めるのが好き。
[Blog] https://ameblo.jp/fkazue4915/
取材・編集 GekkanNZ
この記事の内容は個人の過去の体験談です。必要な場合は、最新の情報をご確認ください。
