Q. ニュージーランドへ来たきっかけは何ですか?
中学1年生の夏休みに母の友人を訪ねて1人で2週間ほどウェリントンに遊びに来ました。喋ることが好きな私は、英語が話せず周りの人とコミュニケーションを取れないことが悔しく、そこから他の教科は全く勉強せず(笑)英語だけを猛勉強。その後2015年6月、高校一年生の時に一年間の留学のつもりで戻ってきました。それがそのまま高校、大学、社会人になるまでニュージーランドを離れられず気がついたら10年経っていました…

Q. イベントコーディネーターの仕事内容について教えてください。
私が働いているXPO exhibitions は、Food Showのようなエキシビションや、トレードショーなど計19個のイベントを主催している会社で、私はOperations Managerとして運営の責任者をしています。担当イベントの予算・進行管理が主な仕事です。イベントの設営から撤収までが円滑に進むように、各イベント約10週間前から準備をしていきます。私達のイベントは3月から9月に集中しているので、その6カ月間は毎年大忙し。いくつものイベント準備を並行して進めていきます。

イベントのない日は、9時から5時まで会社に出勤しデスクワークがメインです。次のイベントの新しいアイデアを考えたり、出展者の方のサポート、スポンサーの方との打ち合わせ、サプライヤーとの交渉、イベントスタッフの採用、などなど、することは山積みです。

イベント設営が始まると、撤収作業が終わるまで会場に付きっきりになります。進行が遅れないように照明さんなどのサプライヤーや、フォークリフトのオペレーター、イベントスタッフへの指示出しをしていきます。一日中歩き回っているので気がつくと2.5万歩くらい歩いています(笑)。長い時間をかけてプラニングしてきたものが、少しずつ形になっていき、イベント当日を迎えるまでの過程にいつもワクワクします。無事に開場した時の達成感はとても大きいです。これを書いているだけでも気分が上がるくらい、私は現場に立つ時間が好きです。
繁忙期は仕事に追われる毎日ですが、会場で長い時間を一緒に過ごす分とても仲が良く雰囲気の良い会社です。イベントが落ち着けば、昼の休憩に会社近くの公園に寝転がってアイスを食べたり、みんなでウォーキングに行ったりしています。
Q. ニュージーランドでの仕事はどのように探しましたか?
私は大学在学中にインターン生として入社し、そのまま卒業後にフルタイムで就職しました。インターン中はイベント当日のサポートやオフィスへの問い合わせ担当をしていました。就職してから今のオペレーション部に所属し二年ほど働いたのち、昨年末に今の役職になりました。
在学中は経験を積んで人脈を広げる為に、とにかくたくさんのイベントの単発アルバイトでスタッフとして働き、主催者の方に話しかけていました。人が楽しそうにしているのを見るのが好きなのでイベント業界で働きたい!とは思っていたものの、どんなイベントで働きたいのかははっきりと決まっていませんでした。そこで、コンサート、ラグビーの試合、ウェディング、誕生日パーティーなどイベントと名のつくものは手当たり次第に応募していました。実際に業界で働いている方のお話を聞いたり、スタッフとして現場に立つことで、どんなイベントでどんなポジションで働きたいのかを明確にしていき、紹介でインターンを始めた今の会社に落ち着きました。

Q.ニュージーランドでイベントコーディネーターとして働くために必要な資格、あった方がいい経験などがあれば教えてください。
イベント業界には未経験で転職してくる方も多いので、意欲があれば誰でもチャレンジできる仕事だと思います。特別必要な資格はないですが、日々関わる人がとにかく幅広く、多い仕事です。社内スタッフはもちろん、各イベントでは250社を超える出展者の方や、30〜40人のイベントスタッフ、様々な業者の方とコミュニケーションを取る必要があります。様々な人と話したり、良い関係を築いていくことが好きな方に向いている仕事だと思います。
人とコミュニケーションを取ることが主な仕事であるので、もちろん英語については高いレベルが求められます。交渉などで使うビジネス英語はもちろんですが、それに加えて様々な立場の方と上手く会話が続けられるように冗談を言い合えるようなコミュニケーション能力が必要だと思います。私もまだまだ勉強中です。
Q. ニュージーランドで外国人として働くうえで、大切にしていることはありますか?
昔母に言われた、小さい日本の大使だと思って生活しなさい、という言葉をよく思い出して大事にしています。
ニュージーランドにいると「日本人は礼儀正しい」「日本人は仕事をよく頑張る」「日本人はすごい」とよく日本人を褒める言葉を良く聞きます。昔アパートを借りた際、「日本人だからあなたにした」と言われたこともあります。先人たちが作ってくれた日本人へのイメージを壊さぬように、そのイメージに負けないようにきめ細かい心配りや丁寧な仕事を心がけています。頂いている期待やお金以上の仕事をしたいと思っています。
Q. 「ニュージーランドで働く」ならではの楽しさや魅力、やりがいについて教えてください。
自分とは全く違うバックグラウンドの方に日々出会えることが、ニュージーランドで働く魅力だと思います。
ニュージーランドの人は多様な文化や価値観にオープンな方が多く、みんなが違うことに慣れているので、「違いを尊重する」文化があります。日本人である私も同僚から見ると考え方やこだわりが違うところがあると思いますが、そんな違いも尊重してもらえるので、自分らしく仕事ができています。そんなカルチャーの中で、色んな国から来た色んな背景を持った方と出会えることで、常に相手にリスペクトを持った上で思考を更新できると思います。逆に「普通」が通じず苦労することもありますが、色んな考え方に触れられて、日々発見や気づきがあり面白いです。
また、年齢や性別に関わらず、良い意見や仕事ぶりは評価して貰えるところも魅力的です。入社したばかりの子の意見でも良いものはすぐ採用されますし、年齢や経験に関わらず実力があれば認めてもらえてキャリアアップに繋がります。頑張り甲斐、やり甲斐のある環境だと思います。

Q.また反対に大変なことや難しいと感じる部分はありますか?
ニュージーランドでも見た目による偏見が全くないわけではありません。
アジア人で身長の低く若い女性の私が責任者だと言ってもなかなか信じてもらえず、悔しい思いをすることもありました。問題があった時に、私が対応しようと出ていくと「君じゃない」と言われることもありますし、全く関係のないヨーロピアンの男性イベントスタッフに解決を求めようとする人もいます。
日本人らしく、諦めずにこつこつ信用と信頼を勝ち取れるように努力していきたいと思っています。
Q. オフの日や仕事終わりの過ごし方はどのような感じですか?
仕事の日はかなり体力とSocial batteryを使うので、オフの日は出来るだけケータイから離れて友人とごはんを食べたり、景色の良いところに行き、ゆっくり過ごすようにしています。
遠出をしなくても美しい景色が多いので、近場の山に登ったり、ビーチに座って海を眺めてニュージーランドの自然に心を癒されています。

Q. 最後に、これからニュージーランドでイベントコーディネーターとして働きたいと考えている方に向けて、アドバイスやメッセージをお願いします。
私は高校生の時、自分とは何か、将来何になりたいのか悩みに悩んだ結果、「色んな人の毎日にトキメキを与えられる仕事に就きたい」と思いイベント業を目指し始めました。目標を決めてからは実現に向かってまっしぐらに進んできました。大変なことや涙を流した日もないわけではありませんが、何がしたいのか悩み抜いた分、自分の決めた道に後悔は全くありません。今の場所に辿り着くまでも辿り着いてからも、「辛い、苦しい」より、「これが好き、楽しい」という気持ちが勝ったからやってこれたと思います。
イベントコーディネーターは先述の通り、特別な資格がなくてもできる仕事です。特にニュージーランドでは、何歳からでも、誰でも、「やりたいからやってみる」マインドを持っている人が多く、それが尊重されるカルチャーだと思います。
イベントコーディネーターに限らず、好きで、やりたいことなら恐れずに是非一度挑戦してみて欲しいです。

イベントコーディネーター/【Auckland】
Hanakoさん
2000年生まれ。東京都出身。
高校一年生だった2015年に留学でウエリントンへ渡り、そのまま学び続けて気づけばニュージーランド生活10年。オークランド工科大学卒業後、在学中にインターンをしたXPO exhibitions に就職。現在はOperations Manager としてFood Show など多彩なイベント運営を担い、現場の活気とやりがいを日々実感している。
取材・編集 GekkanNZ
この記事の内容は個人の過去の体験談です。必要な場合は、最新の情報をご確認ください。