失業率が5.6%に悪化:労働力の伸びに雇用の創出が追いつかず
ニュージーランド統計局(Stats NZ)の発表によると、2026年6月期の失業率は前期の5.4%から5.6%へと上昇し、約11年ぶりの高水準を記録した。失業者数は前四半期比で7,000人増の171,000人。不完全雇用等を含む未利用率は13.8%と12年ぶりの高水準に悪化。1年以上失業している長期失業者数が約8,000人増加し、全失業者の約19%を占めた。また、15〜24歳のニート率(就労・教育・訓練を受けていない割合)も13.8%へ上昇。ノースランドやオークランドでは6%を超える一方、南島全域では5%未満にとどまった。年間賃金上昇率は2%と、消費者物価上昇率(4.1%)を下回っている。経済の伸び悩みや米国・イラン紛争による不透明感から企業が採用を抑制したことが影響した。エコノミストは、インフレ抑制策としてニュージーランド準備銀行(The Reserve Bank、RBNZ)が政策金利を2.75%へ引き上げると予測している。
最新世論調査:国民党が支持率低下で政権維持に暗雲
8月1日〜11日にタルボット・ミルズ社(Talbot Mills)が企業向けに実施した8月の世論調査によると、国民党(National)の支持率が下落し、現連立与党での政権維持が困難となっていることが明らかになった。国民党は前月比2ポイント減の29%に後退した一方、最大野党の労働党(Labour)は1ポイント増の34%。NZファースト党(NZ First)が1ポイント増の13%、緑の党(Green)が1ポイント減の8%、アクト党(ACT)が横ばいの7%、オポチュニティ党(Opportunity)が横ばいの5%、マオリ党(Te Pāti Māori)が3%となった。この数値では、ラクソン首相が連立を否定しているオポチュニティ党と組まない限り、現連立与党は過半数を割り込み、野党勢力による政権交代が可能となる。首相適任者については、労働党のクリス・ヒプキンス党首が23%に上昇し、22%で横ばいとなったラクソン首相を逆転して首位に立った。
「選挙権を市民権保有者のみに限定」を過半数が支持
8月1日〜4日に1,000人を対象としてキュリア・マーケット・リサーチ(Curia Market Research)が実施した世論調査により、国政選挙での投票権を「ニュージーランド市民保有者のみ」に限定する方針に対し、有権者の過半数が支持を示していることが判明した。NZファースト党(NZ First)が7月、永住権保有者への投票権付与を廃止し、市民権保有者のみに限定する公約を発表したことを受けて調査が実施された。調査の結果、賛成が59%に達し、反対の32%を大きく上回った。18~39歳では63%が賛成するなど、年齢が若い世代ほど賛成割合が高い傾向があった。また、与党・右派の支持者層で高い賛成率を記録した。政党自体は反対姿勢をとる野党の支持者層でも、賛成が反対を上回る逆転現象が見られた。なお、アクト党(ACT)のシーモア党首を含め、多くの主要政党指導者は本方針に反対・不参加の立場を示している。
16歳未満のSNS利用禁止法案:連立与党内で意見対立
国民党(National)を中心とする連立政府は、16歳未満のSNS利用を禁止する法案を議会に提出した。プラットフォーム事業者に年齢確認の「合理的な措置」を義務付け、不履行には世界年間売上の最大10%の罰金などを科すほか、オンライン安全規制機関を新設する内容。国民党が法案を主導する一方、連立パートナーであるNZファースト党(NZ First)とアクト党(ACT)は「異議合意(agree to disagree)」条項を行使して反対を表明した。NZファースト党のピータース(Peters)党首は主旨には同意しつつも、実行にはVPN規制やデジタルIDが必要となり「国民のプライバシーと自由を脅かす」と懸念。アクト党のシーモア(Seymour)党首は、10代の若者は抜け道を見つけるのが上手く、「実効性のないオーストラリア・モデルの模倣に過ぎない」と批判。与党内の分裂により、法案成立には野党の協力が不可欠となる。
社会
「ディズニー・ウーシーズ」予想以上の熱狂でキャンペーン終了
スーパー大手Woolworthsにて実施されていた限定ノベルティ「ディズニー・ウーシーズ(Ooshies)」キャンペーンが終了した。キャンペーン期間中は、需要過熱により、一部の店舗でノベルティ用フィギュアや専用ケースが品薄・在庫切れになり、利用客から不満の声が上がったり、小学校で紛失や生徒間のトラブル、集中力の低下を防ぐために持参を禁止する案内が出されるなど、ブームが加熱していた。本企画はスーパーの売上増加をもたらした一方で、生活費高騰に苦しむ消費者の負担も浮き彫りとなった。全40種を揃えるには最低でも1,200ドルの買い物が必要であり、ノベルティ獲得のための「ついで買い」を誘発したとされる。専門家は、厳しい社会情勢の中で本企画が現実逃避と童心に返る楽しみを提供したと分析する一方、食品価格が高騰する中、「消費者はおまけよりも公平な価格を重視すべき」と指摘した。
NZの人口自然増が第二次世界大戦以来の最低水準に
ニュージーランド統計局(Stats NZ)の発表によると、2026年6月期の人口自然増(出生数から死亡数を引いた値)は全体の52%を占め、18,700人だった。これは第二次世界大戦期の1940年代前半以来で最低水準で、年間出生数は2003年以来の最低水準まで減少している。年間人口増加数36,400人のうち、純移民による増加は17,600人であった。直近の4〜6月期では、自然増(4,000人)が純移動(1,500人)を上回った。2026年6月30日時点の総人口は約535万7,300人。0〜14歳人口が減少傾向にある一方、65歳以上の人口は増え続けている。高齢化に伴い死亡数も増加傾向にある。女性の平均年齢は39.3歳、男性の平均年齢は37.8歳だった。出生率の低下を受け、NZファースト党のウィンストン・ピーターズ(Winston Peters)党首は、少子化対策として子ども1人につき3歳まで年間5,000ドルを支給する少子化対策政策を発表した。
害獣の増加速度が対策費用を上回る
ニュージーランド農業連合(Federated Farmers)の調査によると、農家による害獣駆除費用が増加しているにもかかわらず、野生動物の繁殖スピードが抑制対策を上回る深刻な状況が判明した。調査では、9割の農家が駆除を実施し、年間総額8,200万ドルを投じているが、3分の2の農家が過去5年で害獣が増えたと回答。悪質な害獣トップ3は、ポッサム、シカ、ワラビーで、主な被害は、害獣による牧草の奪い合い、柵などの設備破壊、結核やレプトスピラ症などの感染症リスクだ。年間損害額は推計3億8,400万ドルに上り、シカやヤギの多発地域では3割の農家が家畜の飼育頭数を減らす事態となっている。国有地や森林からの害獣流入が主な発生源と指摘されており、自主駆除だけでは対応しきれないのが現状。政府は一部地域で調査事業に着手したものの、シカ対策をはじめとする全国統一の国家戦略の策定を求める声が高まっている。
2027年4月より5歳未満の乳幼児を対象にインフルエンザワクチンを無償化
ニュージーランド医薬品管理庁(Pharmac)は、2027年4月1日のインフルエンザ流行シーズンより、生後6ヶ月から5歳未満の全小児、約26万人を対象にインフルエンザワクチンの接種を完全無償化することを発表した。今季のインフルエンザ流行に伴い、5歳未満の子ども達の入院率が急増。医療現場や医師から無償化を求める声が高まっていた。これまでは呼吸器系疾患での入院歴や喘息・糖尿病などの持病がある小児のみが対象だったが、全小児へ対象が拡大される。ワクチンの製造や世界的な調達・輸送には数ヵ月の期間が必要なため、2026年シーズンには間に合わず、2027年からの実施が決定した。従来の鶏卵培養ワクチン(egg-based vaccines)より予防効果の高い「細胞培養ワクチン(cell-based vaccine)」と「アジュバント添加ワクチン(adjuvanted vaccine)」を初導入。さらに肺炎球菌ワクチンの適用拡大も実施される。
生活
パイコンテスト:オークランドのルヴァン・ベーカリーが大賞を受賞
ニュージーランド最高のパイを競う「Bakels NZ Supreme Pie Awards 2026」にて、オークランドのブロックハウス・ベイにある「Levain Bakery」の「ベーコン&エッグパイ」が最高賞(Supreme Winner)に輝いた。審査員は、軽やかでクリーミーなチーズ風味のソース、たっぷりの全卵と燻製ベーコン、サクサクのパイ生地の完璧なバランスを高く評価し、「満点のパイ」と称賛。オーナーシェフのショーン・ボー(Sean Vo)氏は、毎朝ベーコン&エッグパイを愛食していた亡き父の40年以上続くレシピを受け継ぎ、今回の快挙を成し遂げた。他の部門では、ミンス&グレービー部門ではオークランドの「Richoux Patisserie」、グルメミート部門ではパウア&チーズのパイで北島中部の町ピオピオの「Village Bakery Cafe Piopio」、ベジタリアン部門ではオークランドの「Penny Lanes Bakery」が、それぞれゴールドを受賞した。
NZヘラルド・トラベル読者が選ぶ、NZ最高の休暇目的地
Southern Cross Travel Insuranceが協賛する「NZ Herald Travel Readers’ Choice Awards 2026」にて、読者が選ぶ「ニュージーランド最高の国内旅行先」トップ3が決定した。不動の1位は、人気リゾート、クイーンズタウン(Queenstown)。圧倒的な票数で首位を獲得した。混雑を避けるため、学校の長期休暇を避けた春・秋の来訪がオススメだ。アクティビティや宿は早めの予約が必須。2位は伝統と最新の都市機能が融合した復興著しいクライストチャーチ(Christchurch)。リバーサイド・マーケットやアート散策などの都市観光だけでなく、アカロアなど郊外への移動も人気。3位のワナカ(Wānaka)は、クイーンズタウンから車で約75分に位置する、落ち着いた雰囲気の美しい湖畔の町。マウント・アイアン等のトレッキングやワイナリー巡りが人気だ。次いで、4位がタウポ、5位がロトルア、6位がウェリントンと続いた。
Kmart、オークランドのウエストゲートにNZ最大店舗をオープンへ
ディスカウント大手Kmartが、9月10日午前8時にオークランドのウエストゲート・タウンセンターにて国内最大の店舗を開業することを発表した。売り場面積は6,700㎡で、対面にある巨大倉庫型店Costcoの半分以上の規模を誇る。ニュージーランド初となる、商品の組み合わせ提案の強化や利便性を高める新しい店舗レイアウトおよび最新技術を導入した運営フォーマット「Plan C+」を採用し、国内3店舗目となる24時間営業を実施する。地元で200人以上の新規雇用を生み出す予定で、家具、電化製品、衣料品などのラインナップも国内最大規模となる。親会社である豪ウェスファーマーズ(Wesfarmers)によると、Kmart NZの2025年度(6月期)売上高は前年比2.3%増の10億2,200万ドルに達し、初の10億ドル超えを記録。今回の大型旗艦店出資は、同社によるニュージーランド市場への継続的な投資と成長への自信を反映している。
最も価格が高騰した食料品は
ニュージーランドでは、上昇ペースこそ緩和しているものの、過去10年間にわたり賃金の伸びを超える勢いで基本食料品の値上がりが続いている。過去10年間で平均賃金が約52%上昇したのに対し、バターは157%、卵は125%、パンは120%、チーズや牛ひき肉、羊肉、ジャガイモは各71%〜73%上昇と、主要な食料品は賃金を大幅に上回る値上がりを記録。高騰の主な原因には、世界的なタンパク質需要の増加や、生産・物流コストの上昇が挙げられている。ニュージーランド産の乳製品や肉類に対する国内外の需要は高水準を維持しており、また、燃料価格高騰に伴う農場運営費、輸送料、包装コストの増加がスーパーの棚価格に転嫁されているとみられる。インフレ率は低下傾向にあるものの、今後も基本食料品の高値水準は続くと予測されている。一方で、農畜産物の輸出好調は地方経済に増収効果をもたらす側面もある。
芸能・スポーツ
CHC出身のソフィー・ウッズ、「ヴィア・アルピナ」最速走破記録を更新
クライストチャーチ出身で現在はイギリス在住のウルトラランナー、ソフィー・ウッズ(Sophie Woods)が、ヨーロッパ8ヵ国にまたがりアルプス山脈を横断する全長2,000kmの長距離トレイル「ヴィア・アルピナ(Via Alpina)」を28日17時間59分で走破し、史上最速記録を樹立した。従来の女子記録(38日)および男子記録(35日)を大幅に更新する快挙。ウッズ氏は7月4日にイタリアのトリエステを出発、8月1日にモナコのゴールラインにたどり着いた。この行程の累積標高は約117,000mに達し、エベレストに12回登るのに相当する。毎朝午前3時に走行をスタートし、1日最大20時間近くも走り続けたという。子どもの頃は長距離走が嫌いでチームスポーツばかりやっていたが、20代半ばにダイエット目的で走り始めたことでトレイルランニングの魅力に目覚めた。周囲の支えとアルプスの絶景に感謝しつつ偉業を達成した。
ラグビーNPC:ノースランドが48年ぶりランファーリー・シールド奪還
8月20日のラグビーのニュージーランド国内最高峰の防衛戦「ランファーリー・シールド(Ranfurly Shield)」にて、ノースランド(Northland)が36-12でカンタベリー(Canterbury)を敵地クライストチャーチで撃破し、1978年以来となるシールド奪取を達成した。序盤にカンタベリーの連続トライで12-7とリードを許すも、堅固な守備とセットピースを武器に反撃。残り63分間にわたりカンタベリーを無得点に抑え込み、後半も主導権を渡さず圧倒した。通算50試合出場となったノースランドのフランカー、ロブ・ラッシュ(Rob Rush)は後半に2トライを挙げる大活躍を見せた。8月30日には、ファンガレイでのタスマン(Tasman)戦で初のシールド防衛戦に臨み、タスマンを20-10で下して王座奪還後初防衛。勝点を伸ばしリーグ2位へ浮上したノースランドは、9月12日のワイカト戦で再びシールドの防衛戦に臨む。
スピルバーグ監督、故サム・ニールを偲び金鉱開発反対団体へ寄付
映画監督のスティーブン・スピルバーグ氏率いる制作会社アンブリン・エンターテインメント(Amblin Entertainment)が、セントラル・オタゴの金鉱山開発計画に反対する市民団体サステナブル・タラス(Sustainable Tarras)へ巨額の寄付を行った。今年7月に78歳で他界したニュージーランド出身の俳優、サム・ニール氏を追悼する目的で贈られたもの。生前ニール氏は、露天掘り鉱山が地元の景観やワイン・観光産業を破壊するとして反対運動を展開していた。スピルバーグ氏はニール氏と映画『ジュラシック・パーク』で監督と主演としてタッグを組み、強い信頼関係で結ばれていた。開発推進派は雇用創出や地方経済への好影響を主張し、現在は政府の優先承認審査が進められている。ジョーンズ資源大臣は、スピルバーグ氏が金に物を言わせて国内問題に干渉していると批判、「E.T. GO HOME(国へ帰れ)」と発言した。
オークランド中心部での路上パフォーマンス規制強化
オークランド中心部の広場「テ・コミティタンガ(Te Komititanga)」において、事前通告なしに「バスキング(路上パフォーマンス)除外区域」が導入されたとして、ベテラン大道芸人のザッカリー・ウォッシャー(Zachary Washer)氏が不満と抗議の声を上げている。2026年1月より、同広場およびアオテア広場(Aotea Square)でのイベント管理権限がカウンシルから「Auckland Live」へと移管され、特別許可が必要な限定エリアに指定された。標準許可証(Street Performance Licence)でパフォーマンスをしようとした芸人に対し、取締官が制止。問い合わせの回答に最大8週間を要するなど、申請手続きの不透明さが飛び込みの路上パフォーマンスの機会を奪うと批判された。批判を受け、Auckland Liveは「大道芸人を排除する意図はない」と釈明。コミュニティからの意見を踏まえ、規制と申請プロセスを見直すと発表した。
