ニュージーランドの不動産市況がバイヤ―ズマーケットとなって久しい。不動産価格が下がり始め、底を打ったとされたのは2023年の5月頃のことだ。それからゆっくりと回復傾向にあるが、未だ2021年のピーク時レベルには達していない。
2025年4月のニュージーランド全域の不動産中間価格はNZ$781,000、オークランド地方はNZ$1,000,000で、ニュージーランド全域が前年同月比マイナス1.1%、前月比マイナス1.1%、オークランドは前年同月比マイナス0.4%、前月比マイナス3.8%となる。さらに遡って3月はニュージーランド全域の中間価格NZ$790,000、前年同月比マイナス1.4%、前月比2.6%増、オークランドは、NZ$1,04,000で前年同月比マイナス2.8%、前月比3.8%増である。

このような近視眼的な見方では分かり難いかもしれないので、ここ10年のオークランド並びにニュージーランド全域の不動産中間価格をグラフにしてみた。すると確かに不動産中間価格は、2021年11月をピークに下降し始め2023年5月頃に底値を打ち、その後上がったり下ったりを繰り返している事がお分かりいただけるだろう。だが、恐らくこれ以上待っても極端に下がることはなく、緩やかな上昇が予想されている。
主な要因は2つ。1つ目は、金利が下降し続けていること。ホームローンの金利が下がれば、バイヤーの借り入れ限度額は上昇する。本当に欲しい家があった場合、ライバルを蹴落とす最も簡単な方法は、オファー額を上げることだ。つまり、競争が生まれた場合、価格は上昇しやすくなる。2つ目の要因は、ニュージーランド全体における賃金の上昇。ご存じの通り、ニュージーランドの最低賃金は2025年4月1日から$23.50に引き上げられている。ニュージーランドの賃金は同年3月、前年同月比で2.5%成長、また今四半期末までに2.7%まで上昇するだろうと予想されている。収入増加で、借入限度額も上昇する。

実際、さほど景気が良いように思えなくても、居住権が約束されるInvestment Plus Visaが今年の4月から英語力を問わなくなっていることを、お忘れなく。つまり、この先増えるであろう富裕層の流入もまた、遠くない将来、ニュージーランド経済に貢献する代償として、不動産価格を押し上げる要因になり得るわけだ。

Hiroko Jenny
イェニー浩子1994年よりオークランド在住。ツアーガイド、クレジットカード会社、ブランド店勤務を経て不動産業界12年目。YouTubeでは不動産だけではないNZ情報発信中。