公式キャッシュレートを2.25%で据え置き
2月18日、ニュージーランド準備銀行(The Reserve Bank、RBNZ)のアンナ・ブレマン(Anna Breman)新総裁は、公式キャッシュレート(Official Cash Rate、OCR)を市場の予想通り2.25%に据え置くと発表した。据え置きは昨年7月以来で、2024年8月に始まった利下げサイクル(計3.25%幅)が一旦休止した形になる。銀行側は、2025年末時点でインフレ率が目標枠(1〜3%)をわずかに上回っていたものの、今期中には枠内に収まるとの認識を示した。市場では利上げへの警戒感もあったが、発表内容は予想よりも緩やかと受け止められ、発表直後にNZドルは下落した。専門家の間では、景気回復に伴い今年12月にも利上げが再開されるとの予測が出ている。一方、住宅市場については、金利低下によるローン負担の軽減という好材料があるものの、雇用回復の遅れから当面は慎重な動きが続くとの見方が多勢だ。
ニュージーランド航空、4,000万ドルの赤字転落
ニュージーランド航空が発表した、2025年12月31日までの6カ月間の2026年度上半期決算によると、同社は税引後利益で4,000万ドルの損失となった。業績悪化の主な要因としては、燃料価格や空港着陸料の上昇によるコスト増大や、国内需要の低迷、NZドル安などの市場環境の変化が挙げられている。今回の中間配当は見送られる。これを受け、同社はコスト急増に対応するための「事業リセット」が必要であるとの見解を示しており、収益性の確保に向けた戦略的見直しが進行中だ。具体的には、年度末にボーイング787ドリームライナー(Dreamliner)2機を導入し、今後2年間で広胴機の供給能力を20〜25%拡大させる機材増強や、業務パフォーマンスの向上とさらなるコスト構造の変革によるコスト削減を目指す。競合のカンタスグループは、同時期に税引前14.56億豪ドルという大幅な黒字を計上しており、対照的な結果となった。
次期選挙への攻防:主要課題では労働党が優位
2026年11月の総選挙に向け、ニュージーランド政界では各党の攻防が激しさを増している。イプソス・ニュージーランド・イシュー・モニター(Ipsos NZ Issues Monitor)の調査の結果、有権者の懸念事項に対する解決能力において、野党・労働党が依然として広範な支持を集めていることが明らかになった。調査対象となった20の課題のうち、労働党(Labour)は「生活費」「医療」「住宅」を含む15項目でトップまたは同率1位を獲得。一方、国民党(National)は「治安・法秩序」など3項目に留まっている。しかし、最大の争点である「生活費」や「経済」において、国民党は着実に支持を伸ばし、労働党との差を急速に縮めている。経済指標の改善だけでなく、有権者が「生活が良くなった」と実感できるかどうかが勝敗を分ける鍵となる。予算発表日の5月28日が大きな節目となるだろう。2026年総選挙は11月7日投開票予定。
KiwiSaverのルール改正:農地購入や職住分離世帯の住宅取得を支援
政府は、年金貯蓄制度「KiwiSaver」の運用規則を改正し、初めて住宅を購入する農家が、居住を目的とした農地の購入資金として貯蓄を引き出せるようにする方針を固めた。これまでKiwiSaverの引き出しは個人名義の住宅購入に限られていたが、農地は通常、法人名義で購入されるため、農家が制度を利用できないという不公平が指摘されてきた。新規則では、本人が居住し、法人の支配権を持っていることを条件に、法人名義での購入でも引き出しが可能になる。また、地方の教師、警察官、外交官など、雇用主が提供する職住一体の宿舎などに住む人々についても、将来を見据えた最初のマイホーム購入のために貯蓄を利用できるよう制限を緩和する。政府は年半ばに法案を提出し、11月の総選挙後の施行を目指している。専門家からは「老後資金としての制度の信頼性を損なう」との懸念も出ており、慎重な議論が求められる。
社会
オークランド北部で岩場の貝類採取を2年間禁止、生態系崩壊を阻止
政府は、オークランド北部の岩場で貝類の乱獲が深刻化している事態を受け、同エリアにおける貝類などの採取を2年間一律で禁止すると発表した。対象となるのは、ファンガパラオア半島(Whangaparāoa Peninsula)、カワウ湾(Kawau Bay)、オマハ湾(Ōmaha Bay)の全域。地元住民からは、近年採取者が急増し「浜辺が空っぽにされている」との悲鳴が上がっていた。政府は、多くの人はルールを守っているとしつつも、「一部の人による搾取が生態系の崩壊を招いている」と危機感を露わにした。この規制は3月12日から施行され、全ての貝類、無脊椎動物、海藻、海綿、ヒトデ、ナマコなどが対象となる。ただし、ウニ(sea urchin / kina)の荒地の管理を優先するため、ウニについては引き続き制限内での採取が認められる。また、地域経済への影響を考慮し、養殖業や稚貝の採取は対象外とされた。
オークランド市長、ハーバーブリッジの「9ドル通行料」案を猛烈に批判
政府のインフラ委員会(Infrastructure Commission)は、新たな港横断ルート(second harbour crossing)の建設資金を捻出するために、既存のハーバーブリッジに片道9ドルの通行料を課す提案した。これに対し、オークランドのウェイン・ブラウン(Wayne Brown)市長は、「市民には到底受け入れられない」と強く反発、政府機関が密室で決定を下すのではなく、地元オークランドと共に判断すべきだと主張した。新たなルートについても、政府が検討中のトンネル案は建設費が極めて高額になることが懸念されている点に言及し、過剰な設計を批判。溶岩流跡の浅瀬(Meola Reef)を活用した、より安価で現実的な橋の建設案を改めて提示した。市長は「世界最高水準を目指すあまりコストが膨らみすぎる。実用的で手頃な基準に焦点を当てるべきだ」と述べ、輸送インフラの資金危機を警告している。
障害者用駐車スペースの違法利用、件数は減少も収益は急増
ホークスベイ(Hawke’s Bay)地域で、許可証なしで障害者専用駐車スペースを利用する違反者が減少している一方、自治体が徴収する罰金額は10万ドルを超えていることが明らかになった。政府が2024年10月に同違反の罰金を150ドルから750ドルへと400%引き上げたことが影響していると思われる。ネイピア(Napier)では、2025年1月〜9月の違反件数は前年同期の124件から96件に減少したが、徴収額は19,900ドルから72,000ドルへと大幅に増加。ヘイスティングス(Hastings)でも同様の傾向が見られ、件数は減ったものの徴収額は3倍以上に跳ね上がった。徴収された罰金や駐車料金は、道路の維持管理や清掃、安全向上などの公共サービスに再投資される。また、ネイピアではナンバープレート自動識別車両の導入も検討されており、今後さらに効率的な取り締まりが行われる見通しだ。
生活
自動車盗難統計:トヨタ・アクアが4年連続ワースト1位
ニュージーランドの大手保険会社AMIが発表した2025年の統計によると、トヨタ・アクアが4年連続で「国内で最も盗まれた車」の1位となった。ワースト3車種は、トヨタ・アクア(全体の8%)、トヨタ・カローラ(同7%)、ニッサン・ティーダ(同6%)。被害車両の約90%が製造から10年以上経過した古いモデルで、イモビライザー等の電子暗号化ロックを備えていないことが要因のひとつと言われている。被害の多かった地域はオークランドが最多で、カンタベリー、ワイカト、ウェリントン、ベイ・オブ・プレンティが続く。盗難件数自体はピークだった2023年より減少しており、これは新型車のセキュリティ向上によるものと分析されている。被害を防ぐために、警察やAMIは、ハンドルロックやアラームの設置、人目につく場所や施錠できるガレージへの駐車、確実な施錠などの対策を推奨している。
ベストビーチ2026:ワイプ・コーブが総合連覇
NZ Herald紙が数千人の読者投票をもとに選ぶ「ニュージーランド・ベストビーチ」の2026年版が発表され、ノースランドのワイプ・コーブ(Waipū Cove)が2年連続の総合優勝を果たした。ワイプ・コーブはベスト・キャンプビーチにも選出されている。数キロ続く黄金の砂浜、家族で楽しめる岩場、そして質の高いキャンプ場や飲食店が揃う点が、不動の人気を支えた。かつての王者オホペ(Ōhope)は、複数の部門でトップ3に入ったものの、首位獲得は逃した。部門別では、ベスト・シティビーチに夏の定番観光地マウント・マウンガヌイ(Mount Maunganui)、ベスト・サーフビーチに2026年の世界最高峰ツアーWSLの開催地にも選ばれたラグランのマヌ・ベイ(Manu Bay)、ベスト・ファミリービーチに南島エイベル・タスマン国立公園の玄関口のカイテリテリ(Kaiteriteri)、隠れた名所には手付かずの自然と静けさが残るノースランドのラングス・ビーチ(Langs Beach)が選出された。
Griffin’sクッキーベアのマスコットがパッケージに復活
ニュージーランドの老舗菓子メーカー、グリフィンズ(Griffin’s)は、昨年4月に廃止した人気マスコットキャラクター「クッキーベア」をパッケージに復活させると発表した。同社は昨年4月、パッケージ刷新に伴い、ブランドの現代化や視認性の向上を目的として、57年続いた「クッキーベア」の削除に踏み切った。しかし、この変更が顧客から猛烈な批判を浴び、復活を求める署名活動まで行われたため、同社は「これほどまでに深い愛着があるとは予想以上だった」という驚きとともにわずか10カ月でキャラクターを復活させるに至った。ファンからは「世代を超えて愛される家庭の一部」「幼少期の思い出」といったノスタルジーを訴える声に加え、「自閉症の子がパッケージの視覚情報が変わると食べられなくなる」といった実用面での切実な意見も上がった。伝統と革新のバランスの難しさを象徴する事例となった。
食品価格が高騰:チョコレートの価格が過去最高水準に
ニュージーランド統計局(Stats NZ)が発表した最新データによると、国内の食品価格が前年比で4%を超える上昇を続けていることが明らかになった。特に嗜好品や高級食材の値上げが顕著で、市民の食卓に大きな影響を及ぼしている。チョコレートは1年間で20.5%という驚異的な値上がりを記録し、250gパックの平均価格が史上初めて6ドルを突破した。この背景には、バレンタイン時期の需要増に加え、世界的なカカオ豆の価格高騰が国内市場に遅れて波及した影響が大きい。地元産のキングサーモンも「高級品」への変貌を遂げた。店頭では1kgあたり150ドルを超えるケースも報告されており、生産コストや物流費の上昇に加え、昨今の気温上昇によるサケの漁獲可能量減少で、供給不足がさらなる価格上昇を招いているという。サーロインステーキ(22.9%増)や白パン(57.9%増)も大幅に上昇しており、家計を圧迫している。
芸能・スポーツ
2026年ハルバーグ賞:走り幅跳びのハミッシュ・カーが最高賞受賞
2月16日にニュージーランドのスポーツ界を象徴するハルバーグ賞の授賞者が発表され、走り高跳びのハミッシュ・カー(Hamish Kerr)選手が最高賞(Supreme Award)を受賞した。カー選手は2025年、東京で開催された世界陸上選手権で金メダルを獲得。2024年の世界室内選手権、パリ五輪に続く快挙を成し遂げ、2.36mのニュージーランド記録を保持している。その他、最優秀女子選手にはスノーボードのゾイ・サドウスキー・シノット(Zoi Sadowski-Synnott)選手、最優秀チームには女子7人制ラグビーのブラックファーンズ・セブンズ(Black Ferns Sevens)、最優秀パラスポーツ選手には陸上のダニエル・エイチソン(Danielle Aitchison)選手、最優秀コーチには陸上のカー選手担当ジェームズ・サンディランズ(James Sandilands)氏、新人賞には陸上のサム・ルース陸上の(Sam Ruthe)選手が選出された。
2026年冬季オリンピック、NZ勢健闘
2月に開催されたミラノ・コルティナ冬季オリンピックにおいて、ニュージーランド代表チームは銀2、銅1の計3つのメダルを獲得した。ゾイ・サドウスキー・シノット(Zoi Sadowski-Synnott)選手は、スノーボード 女子ビッグエアとスノーボード 女子スロープスタイルの2種目でそれぞれ銀メダルを獲得し、獲得したメダルは五輪通算5つに。世界で最も多くのメダルを持つスノーボーダーという歴史的な記録を打ち立てた。フリースタイルスキー 男子スロープスタイルではルカ・ハリントン(Luca Harrington)が今大会のニュージーランド勢に勢いをつける貴重な銅メダルを獲得した。金メダルこそ逃したものの、少数精鋭ながらウィンタースポーツ界におけるニュージーランドの存在感を強く示した大会となった。同大会で、日本勢は過去最多の計24個のメダル(金5、銀7、銅12)を獲得している。
英国アカデミー賞でNZ勢が躍進
2月22日、映画界の卓越した業績を称える第79回英国アカデミー賞(BAFTA)の授賞式が行われ、ニュージーランド勢が2部門で受賞を果たす快挙を成し遂げた。最優秀特殊視覚効果賞(best special visual effects)を受賞したのは、ウェリントンに拠点を置く視覚効果スタジオ「Wētā FX」。『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』のショットの94%にあたる3,132ショットを同スタジオが手掛け、圧倒的な技術力を世界に示した。ニュージーランド出身の衣装デザイナー、ケイト・ホーリー(Kate Hawley)は『フランケンシュタイン』で独創的な仕事が評価され、最優秀衣装デザイン賞(best costume design)を受賞。ホーリーはクリティクス・チョイス・アワードでも同部門を制している。Wētā FXとケイト・ホーリーは3月16日に授賞式が行われるアカデミー賞にもノミネートされており、受賞に期待がかかっている。
元NZ航空客室乗務員、Hyroxで世界トップ10入り
世界中でブームとなっているフィットネス競技「Hyrox(ハイロックス)」で、元ニュージーランド航空の客室乗務員ガブリエル・ニコラ=ベイカー(Gabrielle Nikora-Baker)選手が、驚異的な躍進を遂げている。「Hyrox」は2017年にドイツで誕生し、1kmのランニングとソリ引きやバーピーなどの特定のワークアウトを交互に8回繰り返す過酷なレース。初心者から高齢者まで参加できる包括性が人気で、ニュージーランドでも競技人口が急増している。オークランド大会の参加者は1年で約6,000人から11,000人へと倍増した。ボディビル出身の二コラ=ベイカー選手は、2024年に競技を開始し、今年1月のフェニックス大会で5位に入賞。現在は世界トップ15のみが出場できる「エリート15」の一員として、世界ランキング9位にまで登り詰めた。6月にスウェーデンで開催される世界選手権への切符も手にしている。
W杯サッカー:NZ代表All Whites、ベースキャンプ地をサンディエゴに決定
ニュージーランドフットボール(NZF)は、今月開催されるFIFAワールドカップに向け、代表チーム「オールホワイツ(All Whites)」のベースキャンプ地を米カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego)に決定したと発表した。チームは、ロサンゼルスでの初戦(現地時間6月16日)とバンクーバーでの2試合(同22日、27日)に向け、サンディエゴを拠点に調整を行う。練習拠点となるサンディエゴ大学のトレロ・スタジアム(Torero Stadium)は、過去に米国女子代表の試合も開催された質の高い施設。サンディエゴは、1995年にヨットの「アメリカズ・カップ」でニュージーランドが歴史的勝利を収めたゆかりの地でもある。サッカー世界ランキングが低いニュージーランドは開催地選択の優先順位が低く、選定は難航したが、監督のバゼリー(Darren Bazeley)氏は「ピッチの質もホテルも理想的」と自信を見せている。
