離婚:夫と共同名義で購入した自宅は、私の両親に購入額全額を出してもらいました。この家も財産分与の対象になるのでしょうか?

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「困ったときの法律駆け込み寺」日本とは勝手が違い、戸惑うことも多いニュージーランドの法律。現役弁護士がお答えします。

2018年06月号掲載

Q. 5年連れ添った夫と離婚することになりました。結婚後すぐに夫と共同名義で購入した自宅は、私の両親に購入額全額を出してもらいました。子どもを引き取ることになっているのですが、この家も財産分与の対象になるのでしょうか?

養育と財産分与の兼ね合い

まず初めに、財産分与の割合は、離婚後にどちらが子どもの面倒を見て、どちらが養育費をいくら払うのかという取り決めには左右されません。基本的に夫婦(カップル)が同居を始めて3年が経過すると、家や家財は共有財産(Relationship Property)と見なされ、別離の際に半分に分けると定められています。

なお、〝子どもを引き取る〞ことに関して言えば、日本のような〝親権者が子どもに関する多くの事柄を決定できる〞という権利はこの国には存在しません。代わりに〝Day to Day Care〞と呼ばれる一緒に生活をする権利と、〝Contact〞という面会をする権利があります。
 
さて、今回のご質問の趣旨は、ご両親から出してもらったお金で買った家が相手方との共有財産となるのか、または特有財産(Separate Property)になり、財産分与の対象にならないのかだと考えます。

この場合、肝心なのは〝出してもらったお金〞の位置付けです。
 
まず、このお金があなた個人としてもらったもの(Gift)だった場合。このお金を家の購入にあてると、法律上特有財産から共有財産に姿を変えます。今回のケースに当てはめると、夫は家の価値の半分を請求する権利があります。
 
一方で、もしこのお金が夫婦で借りたお金(Debt)だった場合、それを家の購入につぎ込んでも、もともと二人のお金ではないとの考えから、共有財産にはなり得ません。(注:家の価値が変わらなかった事を想定)
 
通常、親が子にお金を渡す際には、GiftなのかDebtなのかをはっきりと考えていないケースが多いように思われます。この場合、親からのお金を法律的に定義することは難しく、過去の判例、状況や事実から、どちらに当てはまるのかが判断されます。
 
あらかじめ正式な借用書(Deed of Acknowledgement of Debt)を作成し、関係者の理解が共通であれば、離婚の際に時間とコストを節約して解決できます。離婚を想定して親にお金を借りる夫婦はほとんどいないでしょうが「備えあれば憂いなし」と言うことができるでしょう。

弁護士 西村純一
弁護士
Junichi Nishimura
西村純一

ローズバンク法律事務所代表弁護士。オークランド大学法学部を卒業し、ニュージーランドで初の日本人弁護士となる。

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