2023NZ総選挙 – LABOUR<労働党>の政策

LABOUR 労働党の政策IMMIGRATION

現在の与党で、労働組合を組織母体に誕生した、
中道左派の社会民主主義政党

キャッチフレーズ:In it for you

経済対策

現在、党が優先課題としているのが経済政策。ニュージーランドの経済状況は大きく回復し、賃金上昇、農作物輸出量の増加、海外からの観光客の戻りなど、コロナ禍前を上回るようになった。失業率も3.3%とこれまでにない低い状態が続いている。次のステップとしてニュージーランド経済を確固たるものにするため、投資に焦点を当てて財政赤字を減らす。昨年は10万人以上の生活保護受給者の仕事復帰をサポートした実績があり、今後もインフラ事業を立ち上げてより多くの人に職の機会を与える計画を立てている。

住宅不足対策

38億ドルの住宅加速基金を通じ、住宅建築の規模とペースを上げている。2024年までに1万8000戸の住宅を提供する予定。自由貿易訓練と見習い制度によって20万人以上の建築業者の就職をサポートし、住宅建築の労働力を確保。

人手不足雇用対策

企業が必要とする人材を確保するため、無料のトレーニングを実施してニュージーランド人のスキルを高める。さらに海外から高い能力を持つ人材を雇用し、人手不足を解消する。

インフレーション対策

生活費の高騰を緩和するため、スーパーマーケットに働きかけ、公正な価格で競合他社に卸売りアクセスを開放するよう提言。食料品委員を任命して不当な動きがないか監視し、食料品に強制的な単価設定を導入。購入する場所の選択肢を広げて競争力を高め、公正な価格設定が行われるようにする。また、銀行部門における市場調査によって銀行間の競争市場を確保し、最良な取引を可能にする。生活費の調達に苦労している人々に対しては教育費・光熱費・交通費といった支援を行う。

住宅価格高騰対策

賃貸物件の場合、理由のない契約解除を禁止し、家賃の値上げを年1回までと制限。住宅購入に関しては、住宅建築を促進し、供給数を増やすことで価格の上昇を抑える。投機といった不公平な行為を抑制。初めて住宅を購入する人に向け、First Home Grant、First Home Loansを導入し、資金の調達をサポート。共有部分および自身との賃貸契約を含むプログレッシブ住宅所有制度をスタートさせ、住宅購入までにかかる時間と支援を提供。

子供・若者への支援

子供の貧困は取り組むべき課題のひとつ。しかしこれにはさまざまな事情が複雑に絡んでおり、解決するまでに時間を有すると考えている。現在行っている対策は、生活保護にファミリーパッケージを加え、学校での無料ランチの提供や生活保護金の増額、最低賃金の補償など。これにより6万6500人の子供が貧困から抜け出すことができた。
 若者に向けては初年度授業無料プログラムを提供し、経済的な余裕がなくても高等教育を受けることを可能とした。学生ローンと手当の金額を増やし、在学中の負担を軽減。大学生を対象に無料のメンタルヘルスサポートを提供。若者向けの職業訓練を無料で提供。

気候変動対策

可決されたゼロカーボン法に基づき、新たな海洋石油とガスの調査を禁止。農業メタン排出量削減のため、農家と協力して低カーボン技術に投資を行っている。学校・病院・企業などがクリーンエネルギーに切り替えることを支援し、2050年までにカーボンニュートラルを目指す。2030年までに100%クリーンエネルギーを達成するため、米国の投資家ブラックロックと協力して20億ドルの投資ファンドを立ち上げた。

2023年9月号掲載
Text: Miko Grooby