住宅価格の高騰や物価の上昇により、ニュージーランドでも生活苦に悩む人が増えている。
そんな時に頼れるのが福祉・社会保障だ。
この国で暮らすうえで知っておきたい行政サービスについて紹介しよう。
政府からどのような補助が受けられるのか
ニュージーランドでは中・低所得者を対象に、政府からの補助制度が多彩に設けられている。一定の条件を満たしていれば日本人の居住者も受給が可能だ。ただし、自分で調べて申請する必要があるので、まずはどのような補助があるのか知っておこう。
主な補助制度は以下の通り。
子育て手当
生活費手当
学生・保育手当
失業手当・職業訓練手当
シニア向け手当
緊急または予期せぬ出費に対する手当
詳細はIRD公式WEBサイトで確認!
子育て手当
Working for Families
子育てしやすい国のひとつとして知られているニュージーランド。子供を持つ世帯への補助は充実しており、受給のハードルもそう高くない。収入を問わず利用できるものもあるのでチェックしておこう。
ベスト・スタート Best Start
2018年7月に拡充された育児税額控除制度。0~3歳の子供を扶養する居住者が対象。受給期間と最大受給額は以下の通りで、収入額にかかわらず受給できる。
子供の年齢 | 有給育児休暇を 取得していない場合 | 有給育児休暇を 取得している場合 | 最大受給額 |
---|---|---|---|
0~1歳 | 出生から1歳の誕生日まで | 有給育児休暇終了日から1歳の誕生日まで | 週$73 (最大$3,838) ※収入に応じた減額なし |
1~2歳 | 1年間 | 1年間 | 週$73 (最大$3,838) ※収入が$79,000以上の場合は減額される |
2~3歳 | 3歳の誕生日まで | 3歳の誕生日まで | 週$73 (最大$3,838) ※収入が$79,000以上の場合は減額される |
家族税額控除 Family Tax Credit
Working for Familiesの主な給付金がこちら。世帯収入、収入の種類、子供の数、共同養育の取り決めなどにより受給額が変わる。世帯収入が$42,700未満の場合は満額(年間$7,524)が給付され、子供の数が増えると1人につき年間$6,130が支払われる。世帯収入が$42,700以上の場合は収入から$42,700を引いた額の27%が給付される。詳細はIRDのウェブサイトで確認を。
勤労税額控除 In-work Tax Credit
毎週有給の仕事である程度の収入を得ているWorking for Families利用者が対象。給与・賃金や自営業など実際に就労して収入を得ていることが条件。家賃収入や利子、印税などは含まれない。
受給額は世帯収入と子供の数に応じて変動し、世帯収入が$42,700未満の場合、その課税年度の全期間において条件を満たせば満額受給できる。満額は子供が1~3人なら$5,070、子供が4人以上なら最初の3人の子供には$5,070、それ以降の子供には1人につき$780が加算される。世帯収入が$42,700以上の場合は減額される。
最低保障税額控除 Minumum Family Tax Credit
世帯収入が所得制限を下回り、毎週最低労働時間以上働いているWorking for Families利用者が対象。受給資格があれば、週$679(税引き後)の収入が上乗せされる。金額は物価を考慮した生活費に合わせて毎年変動する。子供の数に応じて受給額が変わることはない。
受給条件は、税引き後の世帯収入が年間$35,316未満(週$679未満)。また、ひとり親の場合は週20時間以上、ふたり親の場合はどちらか一方、または両方が週30時間以上、働いている必要がある。

生活費手当
Help with Living Expenses
生活費が苦しい場合に利用できる補助金。住居(家賃)補助、光熱費補助、食費補助、学費補助などの種類があり、それぞれ受給条件が異なるので詳細はIRDのウェブサイトで確認を。ここでは一例として住居(家賃)補助、冬に気になる光熱費補助、コミュニティ・サービス・カードについて紹介する。
住居(家賃)補助 Accommodation Supplement
住居費を支払っている16歳以上のニュージーランド市民または永住権保持者(Permanent Resident Visa)、居住ビザ保持者(Resident Visa)が対象。資産がシングルの場合$8,100未満、カップル(子供なし)またはひとり親の場合$16,200未満であることが申請条件。世帯収入や家賃額、居住地などによって受給額が決まる。
コミュニティー・サービス・カード Community Service Card
世帯収入が基準より低い場合はComminy Service Cardの申請が可能。このカードを利用すると公共交通機関と医療機関で割引が受けられる。
光熱費補助 Power, Gas, Water Bills or Heating
16歳以上のニュージーランド市民または永住権保持者、居住ビザ保持者が対象。電気、ガス、水道料金などを支払えない場合、世帯収入や資産に応じて最大$200の補助が可能。給水タンクを利用している場合は年間$500まで配達と補充の費用を充てるための給付が受けられる。
世帯収入(税引き前の週給)の条件は、16~17歳の独身者$854.30未満、18歳以上の独身者$981.83未満、カップル(子供の有無にかかわらず)$1,426.10未満、ひとり親と子供1人$1,191.41未満、子供2人以上のひとり親$1,255.22未満。
資産限度額は、独身者$1,368.68、カップル(子供の有無にかかわらず)またはひとり親 $2,280.58。この資産額には日常生活に必要なもの、例えば住宅や車などは含まれない。
