管理栄養士に聞いた『発酵食品』の魅力

管理栄養士に聞いた『発酵食品』の魅力 GOURMET

うま味も栄養もたっぷりで魅力いっぱいの発酵食品。
グルメや健康情報はあふれるほどあるけど、ホントのところ、
どうやって食べたらいい? 管理栄養士の丸山国子さんに聞きました。

日常に上手く
発酵食品を取り入れよう!

おいしくて体にいいとなるとついあれこれ手を伸ばしてしまいそう。
たくさん食べても大丈夫?
〝善玉菌〟って食べた分だけ増える?
発酵食品との付き合い方。

体調を見ながら摂ろう

消化吸収率やその速さ、不足しがちな栄養素など、一人一人の体は本当に違います。「○○を食べたら○○が良くなった」ということはあるかもしれませんが、Aさんの体に合う食べ物がBさんに合うとは限りません。良いと言われている発酵食品でも自分の体に合わない場合もあるため、疲れている時や胃腸に敏感な人は様子を見ながら食べましょう。

少しずつ食べてみて、自分の体に合うと思えば、短期間でさまざまな発酵食品を食べても問題ありません。ただ、食べた後に胃腸が張ったり、吐き気や下痢、おならが増えることがあったり、また関節が痛かったり、疲れやすい、気分が落ち込む、頭がボーっとする、偏頭痛などを感じた場合はその発酵食品の摂取を控えてみましょう。

“少しずつ” “継続的に” 摂ろう

今までなじみのない発酵食品を摂取し始めるときは、ほんの少量から、身体の反応を見ながら食べるとよいでしょう。例えば、コンブチャを初めて飲む場合、まずはおちょこ一杯くらいを試してみて、飲んだ感じやその後の体調、気分、そして翌日の便通を見てみましょう。特に変化がなかったり、体調や気分、便通がよくなったと思ったら、少しずつ増やしても良いと思います。発酵食品は、一度に大量に食べても腸内でその善玉菌が根付くわけではありませんので、適量を毎日継続的に摂取しましょう。

おいしくてつい食べ過ぎてしまいがちな発酵食品ですが、カロリーや脂肪分、塩分や糖分が多く含まれているものも多いですから、摂り過ぎには注意が必要です。

善玉菌は腸まで届く?

発酵によって生成された栄養素の多くは加熱や冷凍をしても残ります。善玉菌の乳酸菌やビフィズス菌は40〜60℃くらいで徐々に死んでしまいますが、死んだ善玉菌は体内で生きた善玉菌の栄養になり、腸内環境の改善に役立ちます。冷凍した場合は菌の活性が低下するようですが、常温に戻せばまた活性し始めるそうです。

発酵食品に含まれる菌が本当に腸まで届くのかについてはさまざまな研究があります。ですが、生きた状態で腸に届いても、届かなくても、プラセボ効果という言葉があるように、「この食べ物は絶対に身体に良い!」と信じて食べることでその食べ物がありがたくなり、心も前向きになって効果が得られやすいと思います。

善玉菌を効果的に増やすには?

日本人の身体には、植物由来の発酵食品がより合っているという研究結果が出ています。みそや納豆、ぬか漬けといった日本の発酵食品のほか、ザワークラウトやキムチ、ピクルスなどもよいでしょう。野菜や豆、海藻類に含まれる繊維質も善玉菌の餌になりますので日常的に取り入れましょう。

ニュージーランドではおいしいお肉が身近ですが、肉の食べすぎは悪玉菌の数を増やしがちなため、肉を多く食べた時は野菜を多めにとり(皮肉のようですが)牛のようによく噛んで食べましょう。

菌を殺して増殖を抑える作用のある抗生物質をやむを得ず摂取した場合、整腸剤やプロバイオックスサプリメントなどを摂って善玉菌を増やし、腸内バランスを考慮してもよいでしょう。ストレスを溜めず、規則正しい生活を送ることも大切です。

自分に合う発酵食品を見極める

ヨーグルトの場合、メーカーによって使用する乳酸菌が異なります。自分の腸と相性の良い製品を探すには、一日1/2カップほどを1~2週間ほど摂取し続け、体調や肌の調子、お通じの様子(色形やにおい)などの変化を観察してみましょう。
改善されているところがあれば、そのヨーグルトに使われている菌とあなたの相性が良いということでしょう。

コンブチャは、糖分がかなり多く含まれています。食事全体のバランスを見て糖分の取りすぎでなければ問題ありませんが、健康目的で飲む方は糖分含有量をチェックすると良いでしょう。また発酵過程で、アルコール分が少量発生しますので、アルコールに敏感な方や、お子さんが飲む場合は注意されると良いでしょう。

食べ続けて感じる、小さな変化

腸が正常に働くと、免疫力がアップし、それが身体の外も中にも良い影響につながります。イライラが減ったり、おならが臭くなくなる、風邪を引きにくくなったり早く治る、また目覚めがよくなったり肌の吹き出物が減るなどの小さいポジティブな変化の積み重ねは免疫力が高まっているサインです。腸の中からの変化は心身のすべてに連動しています。

ただ、食品は虫刺されの薬や化粧品と違い、特定の場所や症状にだけ効果がみられることはまずないでしょう。私も経験がありますが、特定の症状や健康効果を求めて話題の食品や一つの食品を
多く摂るということをやりすぎると危ないこともありますので、ほかの食品と一緒にバランスよく摂取しましょう。

ニュージーランド
発酵食品図鑑

ニュージーランド
発酵食品図鑑

ニュージーランドで見かける発酵食品は、乳製品やワインはもちろん、欧米文化を色濃く反映したラインナップ。チーズにワインにヨーグルト…
今日はどれを食べようかな。

サワードウブレッド

“酸っぱい生地” という意味のサワードウブレッドは、一般的なパン用のイーストではなく、 酵母菌と乳酸菌の発酵により作られる。発酵時間が長いことから炭水化物やグルテンが菌によってよく分解され、消化によい。
独特の風味も魅力だ。スーパーなどでは “サワードウ”と称していても通常のイーストを使っているものも少なくないため、原材料を確認したり、ベーカリーやファーマーズマーケットなどで聞いてから買うとよいだろう。

カフェやスーパーでよく見かけるあのドリンクは、紅茶に糖分およびスコビーと呼ばれる菌を入れて発酵させたもの。若干クセがあるものの、慣れれば病みつきになりそうな味で、ソーダ飲料よりもヘルシーとして人気は継続中。人に対する研究はまだ限定的だが、コレステロール値を改善し、心臓疾患のリスクを下げる効果や、炭水化物の消化スピードを和らげ、血中糖度を下げるなどが期待されている。

コンブチャ(紅茶キノコ)
マーマイト

凝縮された酵母にハーブやスパイスがミックスされた絶妙な味は、一度ハマるとクセになるうま味成分たっぷりの発酵食品。うま味が凝縮されていることから、トーストに塗るほか、ハンバーグなどの料理の隠し味としても使える。良質な睡眠やリラックスをサポートするマグネシウムなどのミネラル類も豊富に含む。ティースプーン1杯分をお湯に溶かして飲むマーマイトドリンクは、夕食後のリラックスタイムや二日酔いにももおすすめだ。

晩酌や休日のリラックスタイムに欠かせないビール。ニュージーランドでは数多くのクラフトビールが作られ、さまざまな味や風味を楽しめる。リラックスすることを促し、不眠を和らげるほか、骨を強くしたり認知症リスクを減らすという統計もある。またビールに含まれるビール酵母は栄養価が高く、例えばビタミンB群は体内でエネルギーを生み出したり疲労回復に効果があるという。
とはいえ飲み過ぎは逆に悪影響となるため注意!

ビール
ヨーグルト

乳酸菌が乳糖を分解して乳酸を作り、タンパク質を固まらせて独特の風味と食感が与えられるヨーグルト。体に必要なほぼすべての栄養素を含み、カルシウムなどのミネラル類やビタミン類も豊富だ。タンパク質も多く含むため腹持ちが良く、朝食や間食として重宝しそう。市販の多くのヨーグルトは低温殺菌されているため、善玉菌を摂るためには“アライブ”、“アクティブカルチャー”と表示のあるものを選ぼう。

ただのキャベツと塩が発酵により風味も栄養もアップ。
キャベツや空気中に自然に存在する微生物が糖分を発酵させ、ほどよい酸味のある漬物に変化する。乳酸菌が豊富で、菌の餌となる繊維も多く含むことから、消化を助け、ビタミンやミネラルの吸収能力を向上させる。塩分が多いので食べ過ぎ注意。市販のものは、保存料添加や低温殺菌により乳酸菌が減っていたり、糖分が
添加されているものもあるため表示をよく見て。

ザワークラフト
ケフィア

程よい酸味とクリーミーな味が魅力のドリンク。味や原材料はヨーグルトと似ており、栄養素もヨーグルトと類似するが、たいていはヨーグルトよりも多くの脂質、たんぱく質や善玉菌を含み、強い骨や筋肉を作るのに貢献する。また、腸内細菌のバランスを整え、抗生物質を摂取した際の下痢を防ぐのにもよい。食品であるため、プロバイオティックサプリメントよりも便秘などの副作用が少なく、体に合えば毎日摂取できる。

牛乳がギュッと凝縮された栄養たっぷりの食品、チーズ。カルシウムはもちろん、たんぱく質やビタミン、ミネラル類も豊富だ。また、発酵によりタンパク質がアミノ酸に分解され、ミネラルもイオン化して体内に吸収されやすい状態に。塩分の摂取を抑えたい人はハードチーズを避けよう。カロリーを抑えたい人は、スイスチーズやフェタチーズがおすすめ。乳糖不耐症の人は、パルメザンなど乳糖が少ないものがよいだろう。

品種や環境、醸造過程によりさまざまな風味や味を楽しめることから世界中で親しまれているワイン。一日グラス1~2杯飲むと健康や長寿によいと古くから言われており、リラックスタイムに欠かせない存在だ。ポリフェノールなどの抗酸化物質が豊富で、炎症や酸化ストレスによる細胞ダメージを防ぎ、がんや認知症のリスクを下げるという報告も。時々適量をたしなむことでうつのリスクを下げるという研究もある。

Kuniko Maruyama
丸山 国子さん
管理栄養士・ヘルスコーチ

栄養指導回数は1万回以上。現代医学と伝承医学のお陰で、腸内環境からのアプローチで体質改善に成功する。
-5歳は簡単!のプログラム、メタボ・アンチエイジング・便秘・生理痛・糖尿病・健康寿命延伸など幅広く対応し、生活を少しずつ工夫しながらの個別プログラムはメンタルまで元気になったと定評がある。
牧草飼育牛100%のビーフボーンブロスの素やコラーゲン・ペプチドも国内外に紹介中。企業向けのレシピやコラム、そして商品開発にも力を注いでいる。

【Web】www.umamilife.net
【FB】facebook.com/yesumamilife

取材・文 GekkanNZ
2020年3月号より抜粋

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