ちょっと加えるだけで風味がアップし、料理がおいしくなるスパイス&ハーブ。
その数はスパイスが300~500種類、ハーブに至っては1万種以上といわれている。
毎日の生活に欠かせないスパイス&ハーブの魅力に触れてみよう。

フェンネルFennel(北欧)
セリ科ウイキョウ属の多年草。主に種をスパイスとして使用する。原産地は地中海沿岸だが魚の臭みを消す効果があり、ノルウェーなど北欧で魚料理によく使われる。消化促進や口臭予防にも効果的があると言われている。
タラゴンTarragon(フランス、ロシア)
セロリやアニスに似た香りとほのかな苦味・辛味を持つ。フランス種とロシア種があり、一般的には風味のよいフランス種が流通している。フランス料理に必須のスパイス。バターソースやタルタルソースに加えたり、ドレッシングに入れるのがおすすめ。
タイムThyme(地中海沿岸)
シソ科の多年草で、レモンタイム、コモンタイムなど350種以上ある。すっきりした香りで肉、魚、野菜、卵などさまざまな食材に合う。ハーブティーや入浴剤にも向いている。病虫害や暑さ寒さに強く自宅でも簡単に育てられる。
セージSage(地中海沿岸)
ソーセージやイタリア料理などによく使用されるハーブ。爽やかな香りとほんのりしたほろ苦さが特徴。肉料理や乳製品との相性がよい。消化促進や滋養強壮に効くとされ、不老長寿のハーブとも呼ばれている。
クミンCumin(北アフリカ)
エジプト原産の一年草。強い香りと苦味、辛味のある種子が香辛料として使われる。ホールタイプのクミンシード、粉状にしたクミンパウダーがあり、どちらもカレーには欠かせない。ラム肉との相性もよい。
ミントMint(地中海沿岸)
ギリシャ神話に登場するメンテーから名付けられたハーブで、清涼感のある香りと味で世界的に有名。刺激的なペパーミント、甘さを感じるスペアミント、リンゴの香りが特徴的なアップルミントなどさまざまな種類がある。
ターメリックTurmeric(インド、熱帯アジア)
ウコンの根を乾燥させて粉状にしたもの。カレーの色付けに使われる。肝臓機能の向上や免疫力アップなどの効能があるといわれている。
レモンマートルLemon Myrtle(オーストラリア)
オーストラリアの亜熱帯地方に生息するフトモモ科の常緑樹。柑橘系の強い香りを持ち、抗菌・鎮痛作用があることから先住民アボリジナルが薬草として利用してきた。料理やハーブティーにも使われる。
スターアニスStar anise(中国)
八角とも呼ばれ、中華料理の代表的なスパイス。モクレン科トウシキミの果実を乾燥させたもので、星の形をしていることが特徴。ファイブスパイス(五分粉)の主要スパイスでもある。
カルダモンCardamom(グァテマラ)
ショウガ科ショウズクのさやと種を乾燥させたもの。エキゾチックな香りを持ち、カレーやスイーツに使われる。主にグァテマラとインドで生産されている。
チリペッパーChili pepper(中南米)
いわゆる唐辛子。ナス科トウガラシ属の果実を使ったスパイスで、さまざまな種類のものが世界各地で栽培されている。有名なハバネロはユカタン半島産、カイエンペッパーはフランス領ギアナ産。
エキナセアEchinacea(アメリカ)
北米原産のキク科の植物。ピンクや黄色の花を咲かせ、ニュージーランドのガーデンセンターなどでも入手可能。ネイティブアメリカンが万能薬として利用してきた。ハーブティーやサプリメントで摂取するのが一般的。
オールスパイスAllspice(メキシコ、ジャマイカ)
フトモモ科の植物、世界4大スパイスのうちの3種シナモン・クローブ・ナツメグの香りを併せ持つことが名前の由来。肉料理のほか、お菓子作りにもよく使われる。
現在、最も辛いといわれているのは2023年10月にギネスに認定されたアメリカ産のペッパーX。
そもそもスパイス&ハーブとは?
スパイスは日本語でいうところの香辛料や薬味。植物から採取され、料理に香りや味、色を加えるために使うものの総称。ハーブは主に薬草として用いられてきた有用植物で、料理のほかに香料、保存料、虫除けなど幅広い用途がある。
歴史を動かしたことも?!
世界4大スパイスを深掘りしよう
世界4大スパイスを巡り、戦争が勃発
世界4大スパイスと呼ばれているのはコショウ、ナツメグ、クローブ、シナモン。どれも熱帯地方で栽培されていたため、中世ヨーロッパでは入手困難で、高値で取引されていた。
16世紀にスペインとポルトガルを中心に大航海時代が到来し、スパイスは比較的手に入りやすくなり、民衆にも広がった。スパイスの需要が高まったことからヨーロッパ各国による産地の争奪戦が始まり、スパイス戦争が勃発した。

コショウ Pepper
原産国:インド
コショウ科コショウ属のつる性植物で、実を乾燥させたものがコショウとなる。収穫時期や乾燥方法などにより白コショウ・黒コショウ・青コショウ・赤コショウに分かれる。ピリッとした辛味を持ち、さまざまな料理で活躍。スパイスの王様と称され、世界中で広く使われている。

ナツメグ Nutmeg
原産国:インドネシア
ニクズク科の常緑樹ニクズクの果実の皮を取り、砕いて粉末状にしたもの。皮の部分はメースという別のスパイスになる。甘くてスパイシーな香りが特徴で、肉の臭みや乳製品独特のニオイを消すのに効果的。お菓子作りにも使われる。

クローブ Clove
原産国:インド
フトモモ科チョウジノキのつぼみが開花する直前に摘み取り、乾燥させたもの。釘のような形状で、甘い香りと刺激的な味わいが特徴。カレーやシチューによく使われる。クローブの名前の由来はフランス語で釘を意味する「clou」から。

シナモン Cinnamon
原産国:スリランカ、ベトナム(一説)
クスノキ科ニッケイ属の樹木の内樹皮を乾燥させた甘くエキゾチックな香りのスパイス。世界最古のスパイスとされ、古代エジプトではミイラの防腐剤として使用されていたほか旧約聖書にも記述が見られる。料理やお菓子の香りづけに使われる。
ニュージーランドならではの
スパイス&ハーブとは?
ニュージーランドには先住民マオリが古くから薬草として珍重してきた独自のスパイスやハーブが存在する。この国ならではのスパイスとハーブのことも知っておこう。

カワカワ Kawakawa
森や山に自生しているほか、庭木としても人気のあるニュージーランド固有のハーブ。消化器官や腎臓のサポート、皮膚の炎症を抑える、切り傷や火傷を癒すなどの効能があるとされ、煎じてお茶にするほか、バームなどが市販されている。

ホロピト Horopito
ニュージーランド全土の山間、特に北島の高地にある多雨林でよく見られる樹木。別名「マウンテン・ペッパーツリー」と呼ばれる。その名の通り葉にピリリとした香りと味があり、コショウ感覚でエスニック料理に使うとアクセントになる。

プハ Puha
全世界に分布するキク科ノゲシの仲間。一見雑草のようだがマオリ伝統のハーブのひとつで、消化を助ける効用があるとされる。ほろ苦い風味が特徴で、葉と茎をサラダやスープにしていただく。

マヌカ Manuka
ニュージーランドを代表するメディカルハーブ。花から採れる蜜は抗酸化作用の高いマヌカハニーとして世界的に有名。マオリは万能薬として葉や樹皮、種なども使用していた。

クマラホウ Kumarahou
北島に自生するニュージーランド固有の植物。成長すると4m近くになり、9月に黄色い花を咲かせる。花を水につけて擦ると泡が立つことから別名「ガムディガーの石鹸」と呼ばれる。マオリの伝統薬学では皮膚疾患に効くといわれている。