日本とはここが違う!ニュージーランドの教育制度 ②中等教育

日本とはここが違う!ニュージーランドの教育制度 EDUCATION

ニュージーランドで子育てするうえで戸惑うことのひとつが教育制度。
日本とはシステムが異なり、将来を見据えたさまざまな体験学習プログラムも存在する。
就学前から初等、中等、高等まで、この国の教育についてご紹介しよう。

中等教育(Secondary Education)

中等教育の概要

日本の高校に当たる中等教育はYear 9からYear 13の5年間。Year 11までは義務教育だが、Year 12と13は任意。ニュージーランドの高校はほとんどが公立で、現地の生徒は居住地の学区内にある学校へ通う。ほかに私立校、インテグレーティッドもある。高校によって方針が異なり、ラグビーの名門校、芸術に強い学校など特色が分かれている。

Year 11~13では高校の国家教育成績証明書(NCEA=National Certificate of Educational Achievement)を取得し、その後の高等教育機関や職業訓練、キャリアへと進む。NCEA以外にIB(International Baccalaureate/国際バカロレア)やケンブリッジ国際検定のカリキュラムを取り入れている高校もある。

時間割

同じ教室でほとんどの授業を受ける日本とは違い、ニュージーランドの高校は各教師がそれぞれ教室を持っており、生徒が科目ごとに教室を移動する。学校によって異なるが1時間目と2時間目の間にフォームクラスがある。フォームクラスとは日本のホームルームのようなもので、この際に出欠の確認や連絡事項の伝達などが行われる。基本的な時間割は以下の通り。

<セカンダリーの時間割例>

8:30登校
8:45~9:45授業(1時間目)
9:50~10:05フォームクラス
10:10~11:10授業(2時間目)
11:10~11:30インターバル(休み時間)
11:35~12:35授業(3時間目)
12:40~13:40授業(4時間目)
13:40~14:15昼休み
14:20~15:20授業(5時間目)
15:25~部活動、下校

必修科目と選択科目

ニュージーランドの高校では必修科目(英語、数学など。学校によって異なる)を含めて生徒一人が5~6科目を選択できる。各科目の単位は30ほど。基本的にYear 12以上は選択科目のみとなる。学年によって時間割が決まっている日本の高校と違い、大学のように自分の時間割を自分で決めるのが特徴だ。

高校で学べる科目は、NZQA(ニュージーランド資格審査庁)が認定しているもので50以上と幅広い。観光学やデジタルビジュアルデザインといった日本では専門学校などでしか学べない専門性の高い科目も教えている。ニュージーランドらしい科目の一例は、農業、技術(工業:鉄鋼、材木など)、ダンス、アウトドア、ホスピタリティなど。高校によって提供している科目は異なり、例えばAlbany Senior High School (ASHS)では、Democracy, Liberty and Justice = 民主主義、自由、正義や Cults, Crime and Contagion=カルト、犯罪、伝染 といったユニークな科目も揃っている。

ニュージーランドの高校で必ず取得しなければならないのは、Literacy & Numeracy(リテラシー:読解と作文&ニューメラシー:数的スキル)の単位。これは、読み書きおよび計算で各10単位あり、取得するためにはYear 9~10で年に2回(5月と9月)行われる外部試験(External)に合格することが必要。不合格だった場合、Year 11以降でも外部試験を受けられる。Literacy & Numeracyの単位取得のため、英語と数学を必修科目としている高校は多い。

NCEA

NCEAとは?

2002年に導入されたニュージーランド全国統一の高校教育認定資格。3つの段階に分かれており、レベル1で基礎学力を身につけ、レベル2で就職や職業訓練、専門学校に進むための能力を習得し、レベル3で大学進学資格を得るという流れ。 基本的にYear 11でレベル1、Year 12でレベル2、Year 13でレベル3の科目を勉強し、課題となる基準(standard)をクリアして単位(credit)を取得する。この基準には能力ベースのUnit StandardとカリキュラムベースのAchievement Standardの2種類がある。

NCEAの学習プログラムはフレキシブルで、例えばレベル2の科目をメインに学ぶYear 12在学時にレベル1や3の科目を選択することも可能。得意科目であれば飛び級でき、苦手科目や初めて触れる分野なら学年より低いレベルから学べるのが利点だ。それぞれのレベルを修了するための必要単位は以下の通り(2025年現在)。

●NCEAレベル1……レベル1以上を60単位およびLiteracy10単位とNumeracy10単位が必要。
●NCEAレベル2……レベル2以上を60単位。上記のLiteracy10単位とNumeracy10単位は同様に必要。
●NCEAレベル3……レベル3を60単位。上記のLiteracy10単位とNumeracy10単位は同様に必要。

単位取得のための評価は担当教師の内申(Internal assessment)と外部評価(External assessment)によって行われる。外部評価には、学年末試験(デジタルまたは紙)、共通評価活動(Common Assessment Activities)、作品のポートフォリオなどが含まれ、年間を通じて行われることもあれば、学年末試験期間中に実施されることもある。

それぞれの科目の評価基準を満たして合格すると単位がもらえ、以下3段階の成績がつけられる。合格しなかった場合はNot Achieved (N)となり、単位はもらえない。

●Excellent (E=優)
●Merit (M=良)
●Achieved (A=可)

各レベルを通じて成績優秀な生徒は、そのレベル全体でMeritやExcellenceが与えられ、NZQA発行のRecord of Achievement(成績記録)にCertificate Endorsement(資格エンドースメント) として明記される。例えば60単位中50単位以上でExcellenceを取得した場合はそのレベルのExcellenceとなり、50単位以上でMerit以上だった場合はMeritとなる。

学年末試験

NCEAの学年末試験は11月から12月にかけて全国一斉に実施される。ほとんどの試験はデジタルだが、試験自体は学校で監視下のもとに行われる。試験結果の発表は通常夏休み期間中の1月中旬。NZQAのウェブサイトにログインして各自確認、または同ウェブ上に回答が掲載される。

進路について

NCEAでどのレベルまで修了するかは進路に応じて変わる。就職や専門学校への進学を希望する場合、レベル3を終えなくても必要な単位を取っていれば可能。そのため、レベル2で高校を離れる生徒もいるが、これは高校中退とは見なされない。義務教育はYear 11まででYear 12以降は任意なため、自分に必要あるいは希望するレベルの学習を終えた時点で高校を卒業することができるのだ。大学に進みたい場合はレベル3を修了し、大学入学資格(UE=University Entrance)を得ることが必要。UE取得の条件は以下の通り。

NCEAレベル3を修了している
●レベル3の指定科目中3科目(例:英語、数学、科学など)で各14単位以上を取得している
●レベル2以上の指定科目のUE Literacy(レベル2以上)で10単位以上を取得している
●レベル1以上の指定科目のUE Numeracy(レベル2以上)で10単位を取得している

指定科目は毎年見直されるため、詳細はNZQAのウェブサイトで確認を。また、UEは大学入学のための最低基準であり、UEを取得したからといって必ずしも希望する大学へ入れるとは限らない。大学によって求める基準が異なるので、入学したい大学の条件を調べておこう。

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