トライアル雇用中に突然の解雇通告。不当解雇であるとして雇用主に対してアクションを起こせないのでしょうか?

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「困ったときの法律駆け込み寺」日本とは勝手が違い、戸惑うことも多いニュージーランドの法律。現役弁護士がお答えします。

2018年05月号掲載

Q. 2カ月前にトライアル雇用で勤務を始めたのですが、突然、雇用主より来週からは来なくていいと解雇通告を受けました。
理由を聞いても教えてもらえません。不当解雇であるとして、雇用主に対してアクションを起こせないのでしょうか?

雇用契約書の確認を

まずトライアル期間と解雇について説明しますと、現時点(2018年4月1日)の雇用関係法において、すべての雇用主は新規で従業員を雇用する際に最大で90日のトライアル期間を定めて契約を行うことが可能で、この期間で正式雇用とするか、もしくは解雇するかを決めることが出来ます。もし従業員が一度正式雇用となると、書面での通知や双方での話し合いなど適正な手順を踏む必要が発生するため、雇用主は簡単には解雇ができなくなります。

今回のご相談の場合、最初に交わした雇用契約書にトライアル期間の記載があったかどうかによって対応が変わります。雇用主と従業員が書面でトライアル期間を含む契約を交わしていた場合、従業員は解雇通知を受け入れなくてはならず、雇用主に解雇理由の説明義務はありません。不公平と思われるかもしれませんが、雇用主が適正な人材かどうかを判断するための制度であり、法律で認められています。

ただし、左記のような場合は雇用調停機関に提訴し、救済を得ることが出来る可能性があります。

①雇用契約書にトライアル期間が明記されていなかった場合
②雇用契約書(トライアル期間含む)を交わす以前に業務を開始し、後で署名した場

②は実際に争われたケースで、雇用調停機関は解雇された元従業員のトライアル雇用契約を無効とし、業務開始日から正式雇用扱いと判断しました。結果として雇用主側の不当解雇が成立し、雇用主は元従業員に対して慰謝料などの支払いを命ぜられています。

最後に、従業員が20名以上の企業に限って、このトライアル制度を廃止する法案が現在国会で審議されています。この法案が成立すると、比較的規模の大きい企業が採用した従業員はトライアル期間無しで即正式雇用となります。ただし、NZには中小企業が多いため、法改正が行われた後であっても、引き続き多くの新規従業員、特に移民労働者には、今後もトライアル制度が適用されると思われます。

※2021年10月31日時点、トライアル制度は19人以下(20人未満)の企業のみに認められています

弁護士 西村純一
弁護士
Junichi Nishimura
西村純一

ローズバンク法律事務所代表弁護士。オークランド大学法学部を卒業し、ニュージーランドで初の日本人弁護士となる。

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※本記事はあくまでも法律情報の提供を目的としており、法律アドバイスとして利用いただくためのものではありません。

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