リンゴの無農薬栽培一工夫

園芸家が見つけた季節のたより 花と野菜と庭とLIFESTYLE

ニュージーランドに来て驚いた事の一つに、果樹栽培の病害虫が日本に比べて少ない事があげられる。特に私の住むクライストチャーチは冷涼な気候のせいか、あまり大した苦労も無しに無農薬でリンゴや洋梨、桃やプラムなどがゴロゴロできる。日本でそれらの果樹は、ハードルの高いイメージだ。住む地域にもよるのだが、何もしなければ虫やカビ菌が影響する病気にかかる確率が非常に高い。

実に穴があり、食害やフンのあとがあればCodling Mothのしわざ。
地面に落ちてもめんどくさくて放置しがちなリンゴ
このように、ついつい面倒くさくて放置しがちなリンゴ。よく見かける光景だよね。

さて、簡単に育てられると話したリンゴや桃。そうは言っても全く病害虫に会わない訳ではない。リンゴで一番多い被害はCodling Moth。蛾の幼虫が実に穴を開けて食害する。桃のBrown Rotは、果実が茶褐色に腐敗し縮れてミイラのようになる。もし今年これらの被害を少しでも受けたのなら、その症状のある実は木にしがみついていても地面に落ちていても、取り除いて捨てる事をお勧めしたい。悪さをした虫や菌は、その実や地面やバークや枯れ葉などの裏で越冬して、翌春また上がってくる。それを防ぐためにも落ちた実はグリーンビンに捨てるか、蛾に喰われたリンゴは鶏を飼っていたらその餌にしても良い。コンポストでは蛹や菌が生き残ってしまうので、入れてはいけない。冬になったら幹周りや木の下の古いバークをどけて、新しいバークを敷くのも良い。もちろん、スプレーや剪定、トラップを仕掛けるなどの退治方法は色々あるけど、この秋一番簡単にできるのは、被害の実を取り除く事。ちょっとした作業が来年に大きく影響してくるんだから、やるしかないよね!


Naomiさんとネコ先生
Naomi Goto Garrett
五嶋ガレット直美

日本では園芸業界に長く関わりガーデンデザイナー、イラストレーターとしても活動。NZ移住後も日本園芸雑誌にコラムやイラストを描きつつ、NZ国内でもガーデンデザイナー、ガーデナーとして活動。クライストチャーチ近郊在住。
【ブログ】naomigarden8.com