Good Kiwi Tucker! vol.207 遠い日のニュージーランドの思い出はアレだというけどそうなのか⁉︎

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小さい時にたった一度だけニュージーランドに遊びに来た甥っ子が、大学を卒業するのを機にふたたびこの地を訪れたいという。それはもちろんうれしいことなのだが、「昔はまだ小ちゃかったからねぇ。もし今度来るとしたら、ここで何がしたいの?」とわたしが聞いてみたら「絶対に、フィッシュ・アンド・チップスを買ってきて食べる!」というから呆気にとられた。いや…もっとほかにあるでしょうが!ところが、まだ幼稚園児だった彼にとってニュージーランドの思い出といえば、いい景色の中で本物の羊を見たことより何より、ワラ半紙にくるまれたアツアツの揚げ物ざんまいを、我が家のテーブルでパアッと広げてみんなで食べたことなのだそうだ。たしかにね〜。フィッシュ・アンド・チップスの包みの温もりを感じながら歩く帰り道は幸せだし、このメニューの日だけは「野菜も食べなきゃダメよ」とか言われなかったものね〜。そこはやっぱり揚げ物大好き一家の子である。あのおいしさはしっかりと幼き記憶にきざまれているのだろう。

だったら、この国でぜひまたフィッシュ・アンド・チップスを食べてもらわないと。もちろん、ニュージーランドのオバちゃまは、あなたたちが帰ってからもせっせとフィッシュ・アンド・チップスを食べていますよ。ただ、お値段はあの頃の倍以上になったけど!まあ世の中の食べ物の値段がみんな上がっているからこれは仕方がないし、フィッシュ・アンド・チップスはその中でもまだパッと行ってサッと買える物であり続けているのは確か。自分の家のとっても近いところにお気に入りのお店があれば最高…なんだけれど、長い間ここに住んでいたらフィッシュ・アンド・チップスにも好みがあるのがわかってきて、「あのお店がおいしい」なんて聞けば、ついつい車に乗って買いに行ったりもしてるかな。

思い出ふえそう!?
イラスト リカ

最近よく行っているお店は、実はすごーく前からあるけど、お店の見た目がなんか「うわっ…」ていうボロさだから見てみぬフリをしていたところだった。でも、偶然誰かと話していたらそこがいい、って言うから買いに行ってみたわけ。そうしたらフィッシュは衣がサクサクで白身がホロッホロ!チップスも手切りでカラッと揚がっていてね。あっ、これって大事よ。お店によっては衣がシナっとしてたり、魚の鮮度もちがうのがわかる。それから、チップスはいかにも既製品をそのまま使っているな〜というところはイマイチよ。手切りだと大きさはバラバラだけど、この方がおイモの食感も確実に良しなんだから!

なんて書いていたらすっごく食べたくなってきたので、さっそく買ってきてしまったではないか…。そう、お店がお昼も夜もやってますという点も重要(危険)⁉ 最近のオバちゃまは、グルテン・フリーの衣を選んでちょいヘルシーも心がけています(どこが⁉)グルテン・フリーの方がよりカリカリ、サクサクなのに心持ちサッパリしていてお腹に優しい(気がしている)のだ。フィッシュ以外の揚げ物も、今はグルテン・フリーの衣が選べるんだって…誰もが楽しく食べるには、今後はそういうオプションがあることもまたポイントが高いかも。あとは、日本から君が来るのを待つだけよ⁉本当は、今度こそほかにもおいしいものがいっぱいあることや、素敵な場所があることだってしっかり覚えて帰って欲しいけどね⁉

*Tuckerとはキーウィ独特の言葉で、「食べ物」というよりは「お腹に詰め込むもの」という意味

マツザキ リカ

ニュージーランド在住26年。クライストチャーチを拠点に暮らし、心も体も豊かにするキーウィフードの探求に余念がない。おいしいものも不思議なものも、いただきます!

2023年7月号掲載