Good Kiwi Tucker! vol.196 子どもっぽいけど大人も叫ぶ⁉︎ チーゼルズに寄せる思い!

Good Kiwi Tucker!GOURMET

2022年8月号掲載

自分でも子どもっぽいと思うけれど、ごくたまに袋入りのスナック菓子を買ってしまう。わたしはお酒は飲まないから、ビールのお供というわけでもない。ただ買い物に行った時に「そういえばおやつがないなぁ」と思ったら、まずはポテトチップス、そしてそれが続いてしまうと「たまにはこっち」と手が伸びるのがチーズ味のコーンスナック“チーゼルズ”なのだった。

このペンギンマークのコーンスナックにはいくつか種類があり、人によっては、同じメーカーの“バーガー・リングス”や“ツイスターズ”が好みかも?でもわたしはチーゼルズ一択である。リング状のコーンスナックの表面に、オレンジ色のチーズのパウダーがモフッとかかっていて…それだけのものなんだけど、なぜか好きだ。輪っか型だから、指にはめながら食べたいのだが、さすがに大人の指でやるとはまりそうではまらない。それでとりあえず指先に穴を合わせてのせるような形で口に持っていき、パクパク。あー子どもっぽい、でもこの食べ方をしはじめると、ほかの食べ方は考えつかず、指にのせる→パクパク…のエンドレスが続くのだった。

そんなわたしが先日、チーゼルズを買ってきて袋を開けた。え⁉ なんだかオレンジの粉の色がうすーいような⁉ しかも色だけじゃなくて一個一個が小さい‼そもそも買ってくる時に、袋もやや縮んだ気がしたけど、表のデザインだけ変わったのかなぁと思って深く考えなかった。でも改めて全体像を見るにつけ、個人的にどヒイキのチーゼルズには異変が起きていたのだった。いやもう、色だけじゃなくて味もうっすい。そして食感も以前のモフッ(パウダー部分)、カリッ(スナック部分)!という感じではなくスカッ(スナック部分)、スカッ(空気)…なのである。何よこれっ!ああっ、それに今思わずつかんで食べちゃったけど、穴が指先にのっかるサイズでもなくなってるじゃない!

やっぱりコレよねぇ...
イラスト リカ

ええー…この悲しみ。長く生きていると、過去にも好きなお菓子が小さくなり高くなった…という目にあったことはある。チーゼルズよ、お前もなの…。なんかペンギンマークの会社にひとこと言いたいような気持ちになったが、それこそ大の大人がスナック菓子に愛を叫ぶなんて大人げないではないの。それでしばらく「もうチーゼルズを買うこともなくなるのか…」と意気消沈していたら、消費者問題を取り上げるテレビ番組でもこれがけっこうな深刻さでフィーチャーされていて思わず目を見張った。

おおっ、この国の大人の皆さまも、やっぱりそう?わたしと同じ悲しみを、叫びたかった⁉その番組の中では、同シリーズでチーゼルズよりもっと大きなリング型だったバーガー・リングスが指に入らなくなったと言って、大人たちが怒りをあらわにしていた。「五本の指に一個ずつはめて、順番にかじっていく楽しみをどうしてくれる!」だって…。皆さん、わたしと友達になって!

会社の言い分は、それらのスナックの材料は変化なしだが、製造する機械が新しくなり、品質の安定に努めている最中、ということだった。そこで今でもたま〜に買って「ちゃんと安定したか?」とチェックしている。なんとなく、味は元の濃さに近づいているような…。けど、大きさは戻らない。次に機械が変わるまで…ってその頃には『指にはめるもの』という認識もなくなってそう。大人だって、そんなのさびしい‼

*Tuckerとはキーウィ独特の言葉で、「食べ物」というよりは「お腹に詰め込むもの」という意味

マツザキ リカ

ニュージーランド在住25年。クライストチャーチを拠点に暮らし、心も体も豊かにするキーウィフードの探求に余念がない。おいしいものも不思議なものも、いただきます!