2023日本語スピーチコンテスト大学生部門 2位 Sang Lee Yunさん

2023日本語スピーチコンテスト大学生部門 2位 Sang Lee YunさんEDUCATION

受賞者からのコメント

 JSANZ スピーチコンテストは日本語を学んでいる学生たちに自分の大切な願いや願望を表明する機会で,とても素敵なイベントです。そして、この素晴らしいコンテストで2位に選ばれ本当に嬉しくて光栄だと思っています。人との繋がりが大事だと思う私のスピーチが2位に選ばれたのは、私の想いが伝わった結果だと思いますし、繋がりを大切にするという信念で繋がれたと思うので心から嬉しいです。

2位 Ms. Sang Lee (Sophie) Yun・University of Canterbury
2位 Ms. Sang Lee (Sophie) Yun・University of Canterbury

「繋がりの大切さ」

 皆さんは人生で一番大切なことは何だと思いますか?仕事?お金?家族?

 私の好きな本「星の王子様」ではこう言う名言があります。
「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。 かんじんなことは、目に見えないんだよ。」

 私は目に見えない「心で感じるつながり」が一番大切だと思います。その「つながり」こそが人が幸せになるための秘訣だと信じています。人はどこで何をしても他人とのつながりがあります。たとえば、生まれたらもう家族がいるし、学校に行くと同級生がいるし、仕事をすれば同僚がいます。。。いつも人に囲まれています。

 人は生まれた瞬間から死ぬ時まで他人とのつながりが続いています。その理由は「幸福の基礎のある四つの感情を感じるため」だと思います。私の経験を例にして説明します。

 高校生の時、私はゲームキャラクターのデザイナーになるのが夢でした。毎日毎日その夢のために絵を描くのはとても楽しくて幸せでした。でも、両親から「美術の仕事はお金にならないのよ。ちゃんとした仕事をしなさい」と言われました。私の夢と努力が入った作品を両親は全部捨すてました。空っぽになった気分でした。人生の目的が無なくなり、自分自身も見失いました。でも、あの時、両親が四つの感情の大切さを知っていたら、そんなふうにはならなかったと思っています。その四つの感情とは、共感、理解、受容、愛です。

 共感と理解。両親が私の夢を理解して共感してくれたら反対しなかったかも知れません。

 受容。私をそのまま受け入れてくれたなら、私が何をしようとしても大丈夫だったはずです。このすべてが行われたら、私は愛されているかどうか、幸せかどうか、疑問視しなかったでしょう。
人に理解され、共感され、受容された時、私たち人間は愛されていると感じます。

 そしてそれは、自分一人だけではできないから、人とのつながりが人生で幸福を感じるために必要なものだと伝えたいです。

 だから、私は人とのつながりが幸せになる秘訣だと思います。誰でも、どんな 状況でも、この四つの感情を感じさせてくれる人がいるのは幸せなことだと思います。私は誰にもこの四つの感情を感じさせる人になりたいです。もし私の周りの人に影響を与えるなら、その人が他人に影響を与える可能性があります。世界的に大きな変化ではないけど地域変化になれると希望しています。その変更は私と皆さんから始まります。

 自分自身と他人の幸福のために、もっと暖かくて優しい世界になるために、あらゆるつながりをこの四つの感情を思いながら大事にしましょう。

 ご清聴ありがとうございました。


※スピーチ内容、コメントは原文のまま掲載しています。

JSANZからのコメント
 ビデオ投稿による大学生スピーチコンテスト(Tertiary Japanese Language Speech Contest)は、今年で10年目を迎え、国内の大学から選抜された9人のファイナリストの中から選ばれた入賞者の受賞式が先日オークランド大学で行われました。このコンテストは、ニュージーランド初の大学生による日本語スピーチコンテストとして、ニュージーランド日本研究学会(JSANZ)により2014年に立ち上げられたもので、学習者の学習意欲と日本語能力を高める動機づけとなり、同時に大学間、教員、学生、またスポンサーを含めた支援者とのつながりを生み出すことを発足の意義としています。寄せられるスピーチの質は高く、毎回メッセージ性の非常に高いスピーチが流暢な日本語で語られます。2018年より二水会のご厚意により一位受賞者には日本への往復航空券が送られるという大きな魅力もあり、日本語学習者の大きな目標となっています。

2024年1月号掲載